苦味
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苦味・苦み
苦味(にがみ)は、味覚のうちの1つ。5つの基本味の1つで、タンニンなどの苦味物質を口に入れることで知覚される。渋味(しぶみ)も生理学的には同一の味覚である。えぐ味(えぐみ)、収れん味(しゅうれんみ)などとも呼ばれる。液性が塩基(アルカリ)性であることが多い。
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[編集] 苦味物質
渋柿、茶、ワインなどに含まれるタンニンは、口に入れると強い苦味を感じさせる。これはタンニンが舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変性させることによると言われている。このようなタンニンによる粘膜の変性作用のことを「収れん作用」と呼ぶ。苦味は厳密には味覚の一種というよりも、このタンパク変性によって生じる痛みや触覚に近い感覚だと言われており、このため苦味のことを収れん味と呼ぶこともある。
タンニンが苦味を感じさせるためにはそのタンニンの水溶性が高く唾液に溶けることが必要である。逆に、縮合タンニンの重合度が増したことなどによって不溶化すると苦味を感じさせなくなる。渋柿を甘くするために干し柿にするのは、この効果を狙ってのことである。
タンニンと同様の生理的作用を引き起こす苦味物質としては、他に茶などに含まれるカテキン、コーヒーなどに含まれるクロロゲン酸などがある。デナトニウムは、最も苦味の強い物質としてギネスブックにも記載されている。
[編集] 苦味のうまさ
苦味と渋味は生理学的には同一の感覚であり、味覚の差は苦味物質の濃度、混合比率、複合体の形成[1]などによってもたらされる。
「苦い」という味覚は古来より敬遠される傾向にあったので「苦々しい(苦いものを食べた時のような渋い顔)」、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん、苦い肝を嘗めてつらい思いを忘れずに精進する」、「苦虫を噛み潰したよう(不愉快な時のな顔つき)」などといった言葉の語源にもなっている。
適度な苦味はブラックコーヒー、魚介類の「わた」など内臓料理の珍味、酒、渋茶(濃茶)などで親しまれているケースもある。かすかに苦いと感じることを「ほろ苦い」という。適度なほろ苦さは好まれる傾向にあるが、どのレベルの苦さを「ほろ苦い」と感じるかは人による。
[編集] 苦味のあるもの
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 国際苦味単位 - ビールの苦味の単位