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若草物語 - Wikipedia

若草物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文学
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若草物語(わかくさものがたり,Little Women)とは、1868年ルイーザ・メイ・オルコットLouisa May Alcott,1832年11月29日 - 1888年3月6日)によって書かれた自伝的小説である。

『続 若草物語』(Little Women Married, or Good Wives
『第三若草物語』(Little Men
『第四若草物語』(Jo's Boys
の続編もある。

若草物語というと日本において第一作が有名だが、一群の作品としては上記の四作ある。 日本では、吉田勝江の訳によって広く知らされた。

目次

[編集] 概要

時は南北戦争時代、父が黒人奴隷解放のため北軍の従軍牧師として出征し、女ばかりとなったあるピューリタンとして慎ましく暮らす一家の約1年を描く。父の無事と帰還を祈り、優しく堅実な母親に見守られ、時に導かれ、マーチ家の四人姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミーは裕福ではなくとも明るく仲睦まじく暮らしている(もっとも、これはこの家族の豊かな時代に比して慎ましいのであって、実際にはミドルクラスの家庭である)。家庭に起こる楽しい出来事や悩み、事件、そして大きな試練が姉妹達を少女から「リトル・ウィメン」へと成長させる。この「リトル・ウィメン」とは著者の父親が実際に娘たちを呼称するのに用いた言葉で、単なる幼い少女ではなく一人の立派な女性であるという意味合いで用いられていた。第一作と続編においては、聖書や『天路歴程ジョン・バニヤン著)』が姉妹たちの導きの書であり、これに関する記述が多々見られる。一家の行うフィランソロピー(慈善活動)もそれらの影響を受けているものと考えられる。

続編や続々編へと続き、姉妹の成人・結婚やその後の生活が描かれている。

『続 若草物語』では、長女メグの結婚に始まり、ジョーの結婚に至るまでにそれぞれの姉妹が出会う出来事が群像的に描かれる。メグは小さな苦難をジョンと共に乗り越え、双子をもうけ、元来の頑固な性格のため海外旅行に行き損ねたジョーは、その他の理由もあってニューヨークに作家修業に出る。ベスは闘病中ながらも温かく家族に尽くす生活をつづけ、淑女として成長したエイミーは持前の社交上手とたおやかな性格からマーチおばに気に入られ海外旅行に同行する。  ジョーは闘病中のベスを熱心に看病し看取ることになる。その過程の中で、ジョーはそれまで抱いてきた野心よりも、家族のために尽す誠実な努力こそが自らのためになるのだということをベスを通して知る。また、ベスの喪失を経たジョーは、悲嘆にくれるもののその人間性は深みを増し、それまでに書いた大衆小説よりも真に迫る小品を書き、それは各方面から評価されることになる。

『第三若草物語』においては、ジョーがマーチおばさまから遺贈されたプラムフィールドでベア教授と開いた「ベア学園」での子供たちの生活により重点を置いた内容になっている。よって、第二作に較べるとマーチ家については描かれず、エイミーや姉妹の父母に関しては台詞が殆どなく、毛色の異なる作品となっている。「ベア学園」のモデルは著者の父親が開いた学校である。個性ある子供たちの活き活きとした生活や自己の欠点との闘い、また特に当時としては珍しいといえる障がい児と健常児の統合教育も描かれるが、現代の人間の視点からはやや差別的と取れる箇所もみうけられる。この作品においては主人公は、タイトルLittle Men(小さな男の子)からも分かるように、ナットやダンを中心としたプラムフィールドの少年少女たちが主人公である。

『第四若草物語』では、先述の「ベア学園」が老ローレンス氏の遺贈によって大学へと変わっており、この時点でジョー達姉妹の支えであった賢母が亡くなっている。『第三若草物語』において成長過程にあった子供たちはほぼ成人しており、それぞれの進路を歩む。この作品ではジョーはもちろんエイミー、ローリー、メグたちも重要な役を演じ台詞も多い。 子供たちとしてはジョーの二男であるやんちゃなテッド(テディ)と、メグの二女である活発なジョーズィ、エイミーの娘のベスがその中心となり、また、第一作からの悲願であったジョーの大小説家になるという野望は、この作品で2人の大きな男の子たちの母となったジョーが叶えることになる(その代りに自由を失い、その細かい描写もややコミカルに描かれる)。当時のアメリカで問題となっていた婦人参政権の問題などが作中で語られるのも特徴といえる。


映画漫画アニメにもなっており、1933年、1949年のMGM映画は特に良く知られている。

[編集] 登場人物

[編集] マーチ家

[編集] メグ

四姉妹の長女。本名は、マーガレット。母の名前を引き継いでいる。第一作では16歳。非常に美しく、女らしいが、やや保守的な性格。金持ちの家庭の家庭教師となってマーチ家の生計を助けている。まだ家庭が裕福だった頃の事を姉妹の中では唯一覚えているため、美しい衣服や装飾品や社交界の話を見聞きする度辛く思い、虚栄心に悩まされる。続編以降では、隣人であるローリーの家庭教師だったジョン・ブルックと結婚、双子のデーズィ・デミ、またジョーズィをもうける。彼女は夫であるジョンを第三作の終盤で喪うが、メグが生活するにあたって困らない程度の資産を彼が節制によって遺していたことが判明する。モデルは作者の姉、アンナ・ブロンソン・オルコット。

[編集] ジョー

四姉妹の次女。本名は、ジョゼフィーン。背が高く手足が長く痩せぎす。第一作では15歳。マーチ家の「息子」と自ら標榜している。容姿はこれと言って優れてはいないが、唯一の女らしい部分は美しく豊かな髪だが、父が前線で病となり母が看護にでかけるための旅費を助けるために売ってしまう。父の伯母にあたる金持ちのマーチ叔母宅へ通い、お相手をする事でマーチ家の生計を助けている。ボーイッシュな性格だが裁縫が上手で、趣味は読書。作家を目指して自分でも小品を書いている(それが『ジョーおばさんのお話かご』)。短気でカッとなりやすい事に自分でも苦慮する。続編以降では、その短気な性格ゆえに損をするが、結果的にはその損によってベスを看病することが可能となる。また、カーク夫人の元で家庭教師をしながら文筆修行をしていたニューヨーク時代にフリッツ・ベア教授に出会い、のちに結婚、ロブとテッドの二人の男子をもうける。結婚後は夫と主に、マーチ叔母の遺言により、遺贈されたプラムフィールドで夫と共に学園を開く。作者自身がモデル。

[編集] ベス

四姉妹の三女。本名は、エリザベス。黒髪に青い目の非常に内気、しかし内に強さを秘めた少女。第一作では13歳。音楽が大好きで、ピアノをよく弾く。ピアノがきっかけとなって老ローレンス氏との間に年齢を超えた友情が芽生えた。おとなしく愛情深く、子猫や小鳥や人形を可愛がって面倒を見ている。自分とは正反対の性格のジョーと特に仲良し。内気な性格に加えて病弱な為、学校には通わず自宅で勉強し、家事を手伝っていた。他の姉妹のやり残した仕事も率先して片付け、かといって報酬を得ようとは思わない。物語の途中で猩紅熱にかかり、一命を取り留めるもすっかりひ弱になる。続編においては体調が悪化するなかで周囲のものをその性質によって感化し、特にジョーに大きな影響を与える。モデルは作者の妹の三女、エリザベス・スーウェル・オルコットで、実際にも病弱であり、若草物語の執筆が始まった時には既に他界していた。作者が姉妹の中で最も愛していたと言われている。

[編集] エイミー

四姉妹の四女。第一作では金髪の巻き毛が自慢のおしゃまな12歳。貴婦人らしく振舞うのが好きで、覚えたての難しい言葉を使いたがるが、大抵こっけいな言い間違いをする。美術の才能があり、写生をするのが好きである。生意気盛りでジョーとはよくぶつかってしまう。自分の鼻の低さを気にしている。第二作以降は、幼さも影をひそめて大人びた淑女へと成長し、ローリーに忠言をするほどになる。けして美人ではないらしいが、非常に上品な品の良さがあり、たおやかで社交上手、おしゃれ上手な様はややぶっきら棒で社交のあまり得意でないジョーと対照的に描かれる。後に隣人であったセオドア・ローレンスと結婚し、ベス(三女Bethとはスペルが異なる)を設け蝶よ花よと育てるが、娘の鼻が立派であることで非常に喜ぶことになる。モデルは作者の妹の四女、アバ・メイ・オルコットである。

[編集] ミセス・マーチ

四姉妹から尊敬され、慕われる賢母。姉妹には聖書や『天路歴程』を礎とした道徳・愛の実践を自らが慈善活動を行うことによってやさしく教える。姉妹の父親に対し母親は現実的であったとされる。姉妹は何かトラブルに見舞われると、この母に教えをこい、それは姉妹たちが成人してからも続く。ジョーが第一作においてエイミーと大喧嘩した後の談によると、若いころはジョーと同じように短気であったらしく、実際にマーチ叔母からの手紙を見るなり焼いてしまうなどその片鱗を垣間見られる行動もしていた。晩年は、ジョーの小説が大成功したことによって、安楽な日々を過ごした。

[編集] ミスター・マーチ

四姉妹の父。友人のために、自身の富を犠牲にしたため、マーチ家は貧乏になった。第一作では当初軍の従軍牧師として出征していたが、物語の中盤で戦地で負傷し、重傷を負う。しかし、その後は回復し無事に家に帰ってくる。第二作以降も出てくるが、ミセス・マーチに比べるとあまり出てこない。

[編集] ハンナ

マーチ家のお手伝い。

[編集] マーチ叔母

四姉妹たちの叔母さんで、ミスター・マーチとは姉弟である。ミスター・マーチが破産した際に娘たちの誰かを養子として引き取ろうと提案したが、これを拒否されたため彼を恨んでいるが、実際には彼女なりマーチ家を心配しているだけである。裕福ではあるが、足が不自由のためジョーが身の回りの世話をする仕事をしている。第一作の後半にはベスの病気が感染することを防ぐため、隔離された幼いエイミーをしばらく預かることになり、このことでエイミーを気に入り、第二作ではエイミーをヨーロッパ旅行に連れてゆく。なお、彼女は第二作の最後に亡くり、その際にジョーにプラムフィールドを遺贈し、ここがジョーと夫のベア教授が開いた学園となり、物語第三作以降の話の中心となる。

[編集] ローレンス家

[編集] セオドア・ローレンス

マーチ家の隣人で、非常に裕福であるローレンス家の一人息子。第一作では15歳でジョーと同い年。祖父と2人、使用人に囲まれて立派な屋敷に住んでいるが、近所づきあいがなく孤独な毎日を送っていたところ訪ねて来たジョーと意気投合し、以後マーチ家の人々と親しく交流する。ドーラという愛称で呼ばれるのを嫌い、姉妹たちには自らをローリーと呼ばせる。また、セオドアの愛称であるテディとも呼ばれる。両親は早くに亡くなっているが、母の音楽の才能を引き継いで自らもピアノを弾く。性格は快活で茶目っ気があり紳士的。誰からも好かれるが、育ちのよさからくるのかやや世間知らずで無鉄砲。活発で性格の似たジョーを熱愛するが、結果的にはエイミーを娶る。第三作以降もジョーたちのよき隣人であり、協力者になった。第三作の主人公であるナットは彼の勧めで、ジョーが経営する学園へやってきた。

[編集] 老ローレンス

セオドア・ローレンスの祖父。一見気難しそうに見える老人だが、根は非常に優しく親切で、マーチ家では特にベスを愛していた(彼の亡くなった孫娘の面影を重ねてもいた)。ローリーの両親の結婚には反対で、それと関係してローリーが音楽をやることを嫌う。ローリーに対しては厳格でもあるが、一面では非常に甘い。何かとマーチ家の力になり、「ベア学園」には財産を遺贈する。

[編集] ジョン・ブルック

ローリーの家庭教師でとして登場。マーチ家四姉妹と、ローリーと彼の友人らがキャンプへ出かけた際にメグと出会い後に結婚する。第一作終盤には、ミスター・マーチが負傷した際、ミセス・マーチの付き添いでミスター・マーチが収容された病院へ同行し、しっかりとその責任を果たした。第二作の最初にメグと結婚しその後は双子の兄妹デミとデーズィ、次女のジョーズィを設ける。性格はやさしく、いたってまじめで倹約家。しかし、第三作で心臓発作で急死する不幸に見舞われるが、同時に彼がどれほど周りから愛され、慕われていたかも判明する。

[編集] プライムフィールド

[編集] フリッツ・ベア(ベア教授)

第二作より登場。ジョーが文筆修行のためにニューヨークへ行った際に彼と出会い、後に結婚する。性格は穏やかで子供好き。ジョーと出会った時、すでに30代後半ジョーとは歳が離れており、その時は家庭教師をして生計を立てていた。第三作以降は妻のジョーと共にプライムフィールドを経営し、そこで教師となる。

[編集] ナット

第三作でプライムフィールドにやってきた12歳の少年。実質彼が第三作の主人公である。貧乏な父と共に、ヴァイオリン弾きとして各地を転々としていたが、父が死に、行き場を失っていたところをローリーに拾われ学園にやってきた。将来はヴァイオリニストになるのが夢。性格は気弱で誰にでも優しいが、まれに恐怖から嘘をつく悪い癖がある。学園時代からデーズィと仲が良く、成人した第四作では恋人同士となるも、ヴァイオリンの修行のため、ヨーロッパへ旅立ち離れ離れになる。しかし、帰国後にその恋は成就したようである。

[編集] ダン

ナットが放浪をしていた際に出会った無法者の少年。ナット同様行き場がなく、ナットの紹介でプライムフィールドにやってきた。当初は問題ばかり起こし、一度はページ氏の元へ預けられるがその後すぐに脱走し、その後は再び学園に帰ってくる。学園に帰ってきたあとは、迷惑をかけても愛情を注いでくれるベア夫妻、特にジョーに対する感謝の気持ちが、当初の彼の荒々しさを徐々に和らがせてゆく。ページ氏に預けられていた際に、ある老人と出会い、そこで博物学に興味を持ち始め、それを聞いたローリーからそれらに関する本や、子供たちが集めたものを展示するプライムフィールドの博物館を寄贈される。成人した第四作以降は各地を転々とする旅人となる。

[編集] メディア

[編集] 映画

[編集] アニメ

[編集] 漫画

若草物語
漫画
原作・原案など ルイーザ・メイ・オルコット
作画 高河ゆん
出版社 学習研究社
レーベル ハイコミック名作
発売日 1985年6月
その他 構成:恋塚稔
テンプレート使用方法 ノート

[編集] ミュージカル


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