ルイーザ・メイ・オルコット
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ルイーザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott, 1832年11月29日 - 1888年3月6日)は、アメリカの小説家。1868年に書かれた『若草物語』(Little Women)で知られる。
目次 |
[編集] 生涯
[編集] 幼少期と初期の作品
ルイーザ・メイ・オルコットは、著名な超越主義者(Transcendentalist)であるエイモス・ブロンソン・オルコット(Amos Bronson Alcott)とアビー・メイ(Abby May)の娘であり、現在のペンシルベニア州フィラデルフィアの一部であるジャーマンタウン(Germantown)に生まれた。一家は1844年にボストンへ移住し、そこで彼女の父は実験学校を設立し、またラルフ・ウォルドー・エマソンやヘンリー・デイヴィッド・ソローらと共に超越主義者クラブに参加している。
幼少期から成人期初期にかけての間、オルコットは家族の貧困と、超越主義の考えを分かち合っていた。1840年にいくつかの学校設立の試みが挫折した後には、彼女の家族はマサチューセッツ州コンコードのコンコード川(Concord River)沿いにある広さ2エーカーの小屋に移り住んだ。1843年 - 1844年にかけてのわずかな期間には、ユートピア的な共同体であるフルーツランズに移住し、そこが瓦解した後は貸家に住み、さらにその後は母親の遺産とエマソンの援助で購入したコンコードの家「オーチャード・ハウス」(Orchard House)に移住した。オルコット姉妹の幼少期の教育は、自然主義者であるソローも関わったが主に父親によるもので、現代の基準に照らしてもなお非常に独創的かつ革新的なものであった。彼女はまた、家族の友人であるエマソンやナサニエル・ホーソーン、マーガレット・フラー(Margaret Fuller)などの作家・教育者達からも教育を受けた。後にオルコットは新聞に掲載した短編『超越的な烏麦』(Transcendental Wild Oats)の中でオルコット一家がフルーツランズでの「質素な生活と高度な思考」の試みの中で経験したことについて書き、短編集『銀の水さし』(Silver Pitchers, 1876年)の中に収録している。
成長するにつれて、オルコットは奴隷制廃止論者、フェミニストとなっていった。1847年に一家は一週間ほど逃亡奴隷の家に住み、1848年にオルコットはセネカ・フォールズ会議(Seneca Falls Convention)によって出版された女性の権利に関する書物『感情宣言』(Declaration of Sentiments)を読み、賞賛している。家族の貧困のため、彼女は若い頃から臨時採用の教師、針子、家庭教師、家事手伝い、そして作家として仕事をしていた。彼女の書いた最初の本は、エマソンの娘エレン・エマソンのために書かれた『花のおとぎ話』(Flower Fables, 1854年)である。
1860年にオルコットは「ジ・アトランティック・マンスリー」(The Atlantic Monthly)誌に作品を書き始め、また1862年から1863年にかけて六週間ほど、ワシントンD.C.のジョージタウンにある合衆国病院で看護婦を務めている。「コモンウェルス」紙上に掲載され、『病院スケッチ』(Hospital Sketches, 1863年, 1869年再版)に納められた家族宛の手紙には、彼女の観察と気質による批評が蓄えられている。小説『ムーズ』(Moods, 1864年)もまた、考え抜かれた有望な作品である。
彼女の作品の中であまり知られていない分野として、たいていA・M・バーナードの筆名で書いていた熱情的な小説・物語がある。『愛の果ての物語』(A Long Fatal Love Chase)や『ポーリーンの情熱と罰』(Pauline's Passion and Punishment)といったこれらの作品は、ヴィクトリア朝の時代において「ポットボイラーズ(沸騰もの)」あるいは「血と雷の物語」などとして知られ、後にオルコット自身が『若草物語』で「小さな心には危険なもの」として言及している。こうした作品の主人公は、自分の目的の追求(しばしば、彼らを妨害したり屈辱を与えたりした人々に対する復讐が含まれる)のためにはあくまで信念を曲げず、執拗である。これらの作品は直ちに商業的な成功を収め、今日の読者にとっても非常に興味深い作品である。
それとは対照的に、オルコットは子供向けの道徳的・健全な物語も発表した。そして、半ば自伝的な物語『労働』(Work, 1873年)や、ジュリアン・ホーソーン(Julian Hawthorne)の作品ではないかと疑われた匿名出版の中篇『現代のメフィストフェレス』(A Modern Mephistopheles, 1877年)などの例外を除いて、彼女は大人向け作品の執筆に戻ることはなかった。
[編集] 文学的成功と後半生
ルイーザ・メイ・オルコットの大成功は、『若草物語』(Little Women: or Meg, Jo, Beth and Amy, 1868年)の第1部が掲載された時から始まった。この物語は、彼女が姉妹達と一緒にコンコードで過ごした少女時代をもとにした半自伝的な話である。続編である『続・若草物語』(Good Wives, 1869年)では、主人公であるマーチ姉妹の大人時代と、それぞれの結婚について描かれている。『第三若草物語』(Little Men, 1871年)では、コンコードのオーチャード・ハウスで共に暮らした彼女の甥たちの人物と行動について記している。『第四若草物語』(Jo's Boys, 1886年)は、「マーチ家物語」の完結作である。彼女の後半生の作品は、『昔気質の一少女』(An Old-Fashioned Girl, 1870年)、『ジョーおばさんのお話かご』(全6巻、1871年 - 1879年)、『8人のいとこ』(Eight Cousins)とその続編『花ざかりのローズ』(Rose in Bloom, 1876年)など、その大部分が、彼女の多くの支持者達の間で有名であり続けた『若草物語』と同じ路線をとっている。
『若草物語』においてはジョーのキャラクターがオルコット自身をモデルにしたものであったにもかかわらず、オルコットはジョーと異なり、生涯結婚しなかった。1879年に彼女の妹のメイが亡くなり、彼女は当時2歳のメイの娘を引き取った。
後半生において、オルコットは女性参政権の主張者となり、コンコードで初めての投票権をもつ女性となった。
健康状態の悪化に反して、オルコットは残りの生涯も物語を書き続け、最後には南北戦争中の労働時に発症した水銀中毒の後遺症で倒れた(彼女は腸チフス患者の治療のためにカロメルを使用していた)。ルイーザ・メイ・オルコットは1888年3月6日、死の床に伏していた父を見舞った2日後にボストンで逝去した。
オルコットの生涯と活動の物語は最初にエドナ・D・チェニーの『ルイーザ・メイ・オルコット:その生涯、手紙、日記』(Louisa May Alcott: Her Life, Letters and Journals, 1889年)、続いてマデリーン・B・スターンの独創的な伝記『ルイーザ・メイ・オルコット』(Louisa May Alcott, 1950年)に記された。
[編集] 主な作品
- 花のおとぎ話(1855年)
- 病院スケッチ (1863年)
- ローズ一家 (The Rose Family: A Fairy Tale, 1864年)
- ムーズ (1865年、再編集版1882年)
- 3つの教訓物語 (1868年)
- 若草物語 (1868年)
- 続・若草物語 (1869年)
- 昔気質の一少女 (1870年)
- 第三若草物語 (1871年)
- ジョーおばさんのお話かご (1872年 - 1882年)
- 労働:経験物語 (1873年)
- 8人のいとこ (1875年)
- 銀の水さし (1876年)
- 花ざかりのローズ (1876年)
- 現代のメフィストフェレス (1877年)
- ライラックの花の下 (Under the Lilacs, 1877年)
- ジャックとジル (Jack and Jill: A Village Story, 1880年)
- 第四若草物語 (1886年)
- ルルのお話集 (Lulu's Library, 1886年 - 1889年)
- 花物語 (A Garland for Girls, 1888年)
- 喜悲劇 (Comic Tragedies Written by Jo and Meg and Acted by the 'Little Women' , 1893年)
[編集] 参考文献
- Shealy, Daniel, Editor. "Alcott in Her Own Time: A Biographical Chronicle of Her Life, Drawn from Recollections, Interviews, and Memoirs by Family, Friends and Associates." University of Iowa Press, Iowa City, Iowa, 2005. ISBN 0-87745-938-X.
[編集] 関連項目
- 愛の若草物語 - 『若草物語』のアニメ化作品。
- 若草物語 ナンとジョー先生 - 『第三若草物語』のアニメ化作品。