自由民主党総務会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
自由民主党 総務会(じゆうみんしゅとう そうむかい)は、自由民主党において党大会・両院議員総会に次ぐ党の意思決定機関であり、常設機関としては党内最高意思決定機関である。議長は総務会長が務める。
目次 |
[編集] 概説
総務会は31名の総務をもって構成され、党の運営及び国会活動に関する重要事項を審議決定する。幹事長を始めとする党内人事の指名に関する承認権限も持っているが、総裁や幹事長の指名を追認する事例が殆どである。また、総務会が党の役員会に決定を一任する事例もある。政府が国会に提出する政府案は閣議決定前に総務会で事前承認されることが原則となっている。総務会で可決された案には「党議拘束がかからない」とする旨の文言がある場合を除いて、党議拘束がかかる慣例となっている。また、党則では総務会は多数決が明示されているものの、党内に亀裂を残さないために全会一致を原則とすることが慣例化されており、議題に反対する総務がいても反対意見を述べた上で退席し、形式的に全会一致としていた。総務会決議による党議拘束を解除するには、党則によると党大会もしくは両院議員総会における議決が必要であるが、過去に例はない。
小泉純一郎が総裁に就任してからは、総務会による事前審査なしでの政府案提出や多数決による採決が行われるようになってきている。
[編集] 総務
総務は次のように選出される。
- 党所属の衆議院議員の公選による者 14名
- 党所属の参議院議員の公選による者 6名
- 総裁の指名による者 11名
[編集] 総務会構成員(2007年9月時点)
- 会長 二階俊博(二階派)
- 会長代理 杉浦正健(町村派)
- 副会長 萩山教嚴、井上喜一、稲葉大和、臼井日出男、実川幸夫、森英介
- 総務 伊藤公介、稲田朋美、今津寛、小野晋也、太田誠一、加藤紘一、久間章生、高市早苗、竹下亘、津島雄二、中山太郎、浜田靖一、堀内光雄、三ツ矢憲生、森山眞弓、加治屋義人、河合常則、北川イッセイ、田中直紀、中村博彦、山本一太
[編集] 総務会長
総務会長は総務会の議長を担当する。幹事長、政調会長、選対委員長と合わせて党四役(旧党三役)と呼ばれる。党の総合戦略調整機関である役員会に参加できる。
任期は1年であり、任期途中で辞職した場合は新任者の任期は前任者の残任期間までである。総裁が新たに選任された場合は在任期間に関わらず、総務会長の任期は終了となる。
全会一致が原則である総務会を取りまとめるため、総務会長には調整役の政治家が多く起用される。
自由民主党総務会長 | |||
代 | 総務会長名 | 在任期間 | 所属派閥 |
1 | 石井光次郎 | 1955年-1956年 | 石井派 |
2 | 砂田重政 | 1956年-1957年 | 河野派 |
3 | 佐藤栄作 | 1957年-1958年 | 佐藤派 |
4 | 河野一郎 | 1958年-1959年 | 河野派 |
5 | 益谷秀次 | 1959年 | 池田派 |
6 | 石井光次郎 | 1959年-1960年 | 石井派 |
7 | 保利茂 | 1960年-1961年 | 佐藤派 |
8 | 赤城宗徳 | 1961年-1963年 | 岸派 |
9 | 藤山愛一郎 | 1963年-1964年 | 藤山派 |
10 | 中村梅吉 | 1964年-1965年 | 河野派 |
11 | 前尾繁三郎 | 1965年-1966年 | 前尾派 |
12 | 福永健司 | 1966年 | 前尾派 |
13 | 椎名悦三郎 | 1966年-1967年 | 川島派 |
14 | 橋本登美三郎 | 1967年-1968年 | 佐藤派 |
15 | 鈴木善幸 | 1968年-1971年 | 前尾派 |
16 | 中曽根康弘 | 1971年-1972年 | 中曽根派 |
17 | 鈴木善幸 | 1972年-1974年 | 大平派 |
18 | 灘尾弘吉 | 1974年-1976年 | 旧石井派 |
19 | 松野頼三 | 1976年 | 福田派 |
20 | 江崎真澄 | 1976年-1977年 | 田中派 |
21 | 中曽根康弘 | 1977年-1978年 | 中曽根派 |
22 | 倉石忠雄 | 1978年-1979年 | 福田派 |
23 | 鈴木善幸 | 1979年-1980年 | 大平派 |
24 | 二階堂進 | 1980年-1981年 | 田中派 |
25 | 田中龍夫 | 1981年-1982年 | 福田派 |
26 | 細田吉蔵 | 1982年-1983年 | 福田派 |
27 | 金丸信 | 1983年-1984年 | 田中派 |
28 | 宮澤喜一 | 1984年-1986年 | 鈴木派 |
29 | 安倍晋太郎 | 1986年-1987年 | 安倍派 |
30 | 伊東正義 | 1987年-1989年 | 宮澤派 |
31 | 水野清 | 1989年 | 宮澤派 |
32 | 唐沢俊二郎 | 1989年-1990年 | 中曽根派 |
33 | 西岡武夫 | 1990年-1991年 | 宮澤派 |
34 | 佐藤孝行 | 1991年-1993年 | 渡辺派 |
35 | 木部佳昭 | 1993年-1995年 | 旧渡辺派 |
36 | 武藤嘉文 | 1995年 | 旧渡辺派 |
37 | 塩川正十郎 | 1995年-1996年 | 旧三塚派 |
38 | 森喜朗 | 1996年-1998年 | 旧三塚派 |
39 | 深谷隆司 | 1998年-1999年 | 旧渡辺派-山崎派 |
40 | 池田行彦 | 1999年-2000年 | 加藤派 |
41 | 小里貞利 | 2000年 | 加藤派 |
42 | 村岡兼造 | 2000年-2001年 | 橋本派 |
43 | 堀内光雄 | 2001年-2004年 | 堀内派 |
44 | 久間章生 | 2004年-2006年 | 旧橋本派-津島派 |
45 | 丹羽雄哉 | 2006年-2007年 | 丹羽・古賀派 |
46 | 二階俊博 | 2007年- | 二階派 |
- ※…形式上な派閥解消または派閥離脱は実質的な所属派閥を記載
- 斜字体は総裁派閥出身の総務会長
- 太字は首相になった人
[編集] 他党の総務会
現在、自由民主党以外で総務会という名称の機関を設置している例はない。
民主党は1999年に次の内閣の設置に伴い総務会を廃止した。他には、かつて存在していた新党さきがけが総務会を設置していたことがある。他の政党では党幹部による会議の決議によって党議拘束をかける政党が多い。