自殺の名所
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自殺の名所(じさつのめいしょ)とは、自殺行為が多発する場所の俗称。日本では自殺の名所には、自殺者の霊が地縛霊となってとどまっていると言われており、心霊現象の有名スポットを兼ねていることもある。
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[編集] 概要
自殺の名所の類型としてよく見られるのは、断崖絶壁や深山幽谷で有名な観光地である。これらの観光地では、仮に誤って転落や遭難したとしたら、生存の可能性はほとんどないような場所にいとも簡単に近寄れる。このような場所を本能的に恐怖を覚えたり忌避する人もいるが、そうであるがゆえに、逆に自殺志願者にとっては「確実に死ねる場所」として、格好の立地条件となってしまう。これらの観光地は、本来の意味でも「名所」であるために、もともと人が集まりやすく、その場所で自殺が多発して「自殺の名所」として有名になると、全国各地から自殺志願者を引き寄せてくる悪循環が生じてしまう。
また、別の類型として鉄道路線、中でも三大都市圏の通勤路線がある。これは、ストレスのたまった労働者が勤務等を終えて帰宅する途中に、衝動的にホームから電車の入ってきた線路内に飛び込むからである。これは自殺志願者が計画的に自殺するために訪れる前述の観光地とは対照的である。
自殺の手法は、当然ながらそこの立地条件に適した手法が取られる。断崖絶壁などの高所では飛び降り、深山幽谷では首吊りや餓死、凍死などである。鉄道路線では前述のように飛び込みとなる。
[編集] 予防法
「自殺の名所」という風評が立つとイメージダウンとなり、観光地の場合は地元観光業者の死活問題にもかかわってくるため、場所によっては自殺を思いとどまらせる文面の看板や立て札を、地元の有志が費用を自己負担して立てることがある。また、「いのちの電話」などの人生相談団体の電話番号を書いたものと一緒に、公衆電話を設置するところもある。
鉄道路線の場合はホームドアを設置し、飛び込みにくくしているところもあるが、すべての鉄道路線に導入するには、費用や構造的な問題(車両によってドアの位置が違う場合は設置できない)があるため、完全な普及には至っていない。
[編集] 「自殺の名所」と呼ばれている場所
[編集] 日本国内
- 札幌市営地下鉄(北海道)
- 八木山橋(宮城県)
- 華厳の滝(栃木県)
- 中央快速線(東京都)
- 京浜東北線(埼玉県、東京都、神奈川県)
- 青木ヶ原樹海(山梨県)
- 東尋坊(福井県)
- ヤセの断崖(石川県)
- 三段壁(和歌山県)
- 足摺岬(高知県)
- 阿蘇大橋(熊本県)
- 犬吠崎(千葉県)
- 錦ヶ浦(静岡県)
- 残波岬(沖縄県)
[編集] 海外
- ゴールデンゲートブリッジ(金門橋) - アメリカ合衆国
- エンパイアステートビル - アメリカ合衆国
- 漢江(ハンガン) - 大韓民国
- ビーチ岬 - イギリス
- エッフェル塔 - フランス
- ハーバーブリッジ - オーストラリア
- モントリオール地下鉄 - カナダ
- メキシコシティ地下鉄 - メキシコ
- ウィーン地下鉄 - オーストリア
[編集] 過去に「自殺の名所」と呼ばれていた場所
- 1933年1月8日、実践女学校の生徒が火口へ投身自殺。2月12日に同じく実践女学校の生徒が投身自殺。2件とも同じ同級生が自殺に立ち会っていたことからセンセーショナルに報道され、この年だけで944人が投身自殺した。
- 現在は外廊下の開いているところに柵を張りめぐらせるなどの自殺防止対策が進んだため、「自殺の名所」とは呼ばれなくなっている。
- 早稲田大学大久保キャンパス(理工学部)51号館
- 完成当初は東京一の高層ビルだったため。理工学部の学生が課題、実験に忙しくストレスのたまる環境であった事、コンクリート作りの殺風景な場所であった事も関係しているとされる。現在、合格発表はインターネットや電話による方式なので、不合格した直後に飛び降り自殺をすることは少なくなっている。また、上層部の階の窓には現在飛び降り防止のために鉄格子がはめてある。
[編集] ギャラリー
[編集] 外部リンク
- 自殺多発地点でとられるべき活動の手引 英国保健省著/国立精神・神経センター発行