胡桃沢耕史
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胡桃沢 耕史(くるみざわ こうし、1925年4月26日 - 1994年3月22日)は日本の作家。本名は清水 正二郎。東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京府立第六中学校(現在の東京都立新宿高等学校)から拓殖大学商学部卒業。趣味はバイク。
[編集] 経歴
高校時代から作家を志す。1942年に拓殖大学に入学、在学中に召集を受けて大陸に渡り、終戦後はシベリアで抑留生活を送った。1947年に帰国し大学を卒業、1949年に抑留体験をもとにした作品を執筆、東映でシナリオライターとなった後、放浪生活を送る。1953年からNHKプロデューサーとなり、1955年に中央アジア探検を舞台にした冒険小説『壮士再び帰らず』で第7回オール読物新人賞を受賞し、作家専業となる。高校の先輩寺内大吉の始めた同人誌「近代説話」の同人となるとともに、本名の清水正二郎名義で多くの性豪小説を発表。その500編近くを書いたうち64編が発禁処分となり、実刑判決を受けたため、作品の版権をすべて売り飛ばし、海外旅行会社などに勤めて世界旅行へ旅立つ。
9年間の沈黙の後、1977年に胡桃沢耕史名義で「父ちゃんバイク」を発表して復帰、海外での体験を生かして異境を舞台にした冒険小説を発表する。1981年に「父ちゃんバイク」「ロンコン」などを含む作品集『旅人よ』で第85回直木賞候補、『僕の小さな祖国』で第87回候補。1983年、満州、中国大陸を舞台にした『天山を越えて』で第36回日本推理作家協会賞を受賞。同年、シベリア抑留生活を描いた『黒パン俘虜記』で念願の第89回直木賞受賞。
代表作に東大法学部卒の岩崎白昼夢が活躍する『翔んでる警視』、『翔んでる警視正』両シリーズ。胡桃沢名義の2割を占める。
1994年3月22日、多臓器不全のため横浜市金沢区の横浜南共済病院で死去。68歳。