第三二航空隊
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第三二航空隊（初代）(だい32うくうたい）および昭和17年6月20に再編した第二一航空隊（二代）(だい21こうくうたい）、さらに昭和17年11月1日に改称した第九〇二海軍航空隊(だい902かいぐんこうくうたい）は、日本海軍の部隊の一つ。太平洋戦争序盤に南フィリピン攻略作戦に従事し、中盤より内南洋の拠点基地近海航路の哨戒に従事した。
なお、三二空が内南洋に再編される以前に内南洋哨戒部隊として編成されていた第七航空隊→第一六航空隊（二代）・第一七航空隊・第八航空隊→第一八航空隊（二代）も併せて述べる。
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[編集] 沿革
ミンダナオ島を攻略する部隊は、パラオ諸島を補給基地として活動していた。パラオ出撃の際、前路哨戒はパラオに駐留する一六空が担っていた。ミンダナオ島の中枢都市ダバオの占領に成功した海軍は、ダバオを前進基地としてミンダナオ島全土の掌握に着手する。この際、上空偵察を担当する水上機偵察隊として、一六空から派遣隊6機を借り受けた。この一六空ダバオ派遣隊を正式に独立させたのが三二空である。
- 昭和17年2月1日 第一六航空隊ダバオ派遣隊を独立し開隊。第三南遣艦隊附属。(水上偵察機6)
- 昭和17年3月上旬 ザンボアンガ掃討作戦に従事。
現地邦人の監禁地点を発見、救出隊誘導を実施。
- 昭和17年4月8日 セブ島上陸作戦支援。
以後、ミンダナオ島・セブ島を拠点に南フィリピンの残敵掃討に従事。
- 昭和17年6月10日 内南洋に旧一六空・旧一七空を基幹として「第二一航空隊」設置。
三二空の司令部員・基地要員はトラック島に転出、二一空に編入。
機体および操縦偵察要員は呉飛行場に帰還。
※実働要員が交代していることから、「戦史叢書」では三二空解散・二一空新編として別系統と見なしている。
トラック諸島・パラオ諸島・ニューギニア島カビエン飛行場に分散配置。
- 昭和17年8月3日 運送船浪速丸、パラオ沖で被雷漂流。捜索・救出に従事。
以後、パラオ派遣隊は対潜掃討に従事。
- 昭和17年11月1日 「第九〇二海軍航空隊」に改称。
- 昭和17年12月1日 旧一八空を編入、マリアナ派遣隊発足。
- 昭和18年6月21日 パラオ近海で敵潜水艦の活動が活発化。連合艦隊艦載偵察機8機を貸与。
- 昭和18年9月30日 貸与中の連合艦隊艦載偵察機を正式に編入
継続してトラック・パラオ・メレヨン・マリアナの哨戒に従事。
- 昭和19年2月17日 トラック基地、空襲で壊滅。
- 昭和19年3月30日 パラオ基地、空襲で壊滅。
- 昭和19年4月頃 メレヨン基地、空襲で壊滅。
- 昭和19年6月上旬 相次ぐ空襲により、テニアン基地壊滅。
- 昭和19年8月1日 解隊。
実働部隊と同じく、拠点基地もろとも空襲によって撃滅された。地上戦が展開されたテニアンの要員は玉砕した。基地は破壊されたものの、トラックとパラオはかろうじて自活しながら終戦まで持ちこたえたが、メレヨン派遣隊は物資も爆撃で失い、地上戦に備えて派遣された 陸海軍将兵も併せた500人余りは餓死者が続出し、生還できたのは60名ほどでしかない。
[編集] 主力機種
[編集] 歴代司令
- 埴田照之（昭和17年2月1日‐）
- 林田如虎（昭和18年7月10日‐）
- 古瀬貴季（昭和19年3月1日‐）
- 今川福雄（昭和19年7月10日‐昭和19年8月1日解隊）
[編集] 第七航空隊→第一六航空隊
南洋庁を置くパラオ諸島の防衛のため、昭和15年11月15日に第三根拠地隊が設置され、哨戒航空隊として七空を臨時編成して編入した。昭和16年4月10日の対米臨戦態勢を機に二代目一六空へと改称した。
- 昭和15年11月15日 臨時編成し開隊。第三根拠地隊附属。(水上偵察機10)
- 昭和16年4月10日 「第一六航空隊」に改称。
- 昭和16年12月6日 南比支援隊パラオ出航。前路哨戒。
- 昭和16年12月8日 レガスピー攻略隊パラオ出航。前路哨戒。
- 昭和16年12月16日 ダバオ攻略隊パラオ出航。前路哨戒。
- 昭和16年12月下旬 6機をダバオに派遣。ミンダナオ島平定作戦に従事。
残る4機でパラオ出入港船団を護衛。
- 昭和17年2月1日 ダバオ派遣隊独立。三二空を開隊。
一六空司令部を解散。以後、第三根拠地隊附属水偵隊として任務継続。
- 昭和17年6月10日 「第二一航空隊」設置に際し編入。二一空パラオ派遣隊に改編。
過半数を三二空に持っていかれた上に、パラオへの脅威が去ったことから、残った機体は司令を欠いた附属水偵隊となった。その後は二一空パラオ派遣隊となり、パラオ空襲で壊滅するまで出入港護衛を継続した。
[編集] 主力機種
[編集] 歴代司令
- 菅原正雄（昭和15年11月15日‐昭和17年2月1日解隊）
[編集] 第一七航空隊
トラック島基地防衛のため、カロリン諸島防衛隊として昭和16年8月11日に第四根拠地隊が設置され、哨戒航空隊として一七空を臨時編成して追加した。この航空隊は内南洋哨戒隊の中で最も遅く編制されたため、1桁の番号を持たない。実質的には哨戒以上に最前線の偵察行動に従事した。
※クェゼリンには第一九航空隊が駐留していたが、東方海上警戒のためにウェーク作戦に投入できなかった。
- 昭和16年12月14日 ラバウル攻略のためグリニッジ島に2機進出。
以後、イギリス軍の爆撃が相次ぎ、グリニッジ派遣隊は消耗と補充を繰り返す。
- 昭和17年1月以降 トラック・ウェーク・グリニッジに分散しつつ哨戒を継続。
- 昭和17年2月24日 ウェーク島に敵機動部隊襲来。艦隊への接触に成功するが、千歳海軍航空隊・横浜海軍航空隊が機動部隊の追尾に失敗。
- 昭和17年4月1日 一七空司令部を解散。以後、第四根拠地隊附属水偵隊として任務継続。
- 昭和17年6月10日 「第二一航空隊」設置に際し編入。二一空本隊に改編。
千歳空・横浜空を主軸とした長距離哨戒体制が確立したため、哨戒任務を降りてトラック出入港の護衛に専念した。壊滅は前述のとおり19年2月17日のトラック大空襲である。
[編集] 主力機種
[編集] 歴代司令
- 山本栄（昭和16年10月1日‐昭和17年4月1日解隊）
[編集] 第八航空隊→第一八航空隊
アメリカ領グァム島攻略・防衛のため、マリアナ諸島防衛隊として昭和15年10月1日に第五根拠地隊が設置され、哨戒航空隊として八空を臨時編成して追加した。昭和16年4月10日の対米臨戦態勢を機に一八空へと改称した。
- 昭和15年11月15日 臨時編成し開隊。第五根拠地隊附属。(水上偵察機6)
- 昭和16年4月10日 「第一八航空隊」に改称。
- 昭和16年11月4日 グァム島を事前偵察。
- 昭和16年12月4日 グァム島を直前偵察。
- 昭和16年12月8日 聖川丸水偵隊と共同でグァム島を爆撃。
- 昭和17年2月1日 ラバウル攻略部隊サイパン出航。前路哨戒。
一八空司令部を解散。以後、第三根拠地隊附属水偵隊として任務継続。
- 昭和17年12月1日 第九〇二海軍航空隊に編入。九〇二空マリアナ派遣隊に改編。
マリアナは後方となったため、残った機体は司令を欠いた附属水偵隊となった。その後は九〇二空パラオ派遣隊となり、テニアン地上戦で壊滅するまで出入港護衛を継続した。
[編集] 主力機種
[編集] 歴代司令
- 和田三郎（昭和15年11月15日‐）
- 高橋農夫吉（昭和16年8月11日‐昭和17年2月1日解隊）
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 『日本海軍編制事典』（芙蓉書房出版 2003年）
- 『航空隊戦史』（新人物往来社 2001年）
- 『日本海軍航空史2』（時事通信社 1969年）
- 『戦史叢書 海軍航空概史』（朝雲新聞社 1976年）
- 『戦史叢書 比島・マレー方面海軍進攻作戦』（朝雲新聞社 1969年）
- 『戦史叢書 中部太平洋方面海軍作戦1』（朝雲新聞社 1970年）
- 『戦史叢書 中部太平洋方面海軍作戦2』（朝雲新聞社 1973年）
- 『参拾壱 頁』（個人サイト）
- 『連合艦隊海空戦戦闘詳報別巻１』（アテネ書房 1996年）
