発泡ワイン
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発泡ワイン(はっぽうワイン)またはスパークリング・ワイン(Sparkling wine)とは、ワインの一種で、炭酸ガスを含んだもの。
製造の過程で発泡するようになったワインを、日本ではシャンパンと呼ぶ事も多いが、シャンパンとは“AOCの規定に従った、フランスのシャンパーニュ地方産の発泡ワイン”にのみ許された呼称である。シャンパーニュ地方以外で製造される、シャンパンと同様の製法を用いたワインをフランスではクレマン(Crémant)と呼ぶ。それぞれ呼称が異なるが、シャンパン、クレマンともに発泡ワイン(フランス語ではヴァン・ムスー Vin Mousseux、英語ではスパークリング・ワイン sparkling wine)の一種である。普通の(発泡性でない)ワインも開栓せずに放置した場合などに発泡することがあるが、これは発泡ワインには含まず、品質の劣化として忌み嫌われる。
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[編集] 製法
製造方式には、シャンパン方式(瓶内二次発酵,シャンパーニュ地方以外では、「トラディッショネル方式と呼ぶ)、シャルマ方式(タンク内二次発酵)、トランスファ方式、炭酸ガス注入方式がある。
ワインは発酵の段階で炭酸ガスを放出するが、シャンパン方式では、これを発酵が終わりきらないうちに瓶詰めする。すると瓶の中で発酵が続き、発生した炭酸ガスはワインの中に溶け込んで発泡する。ただし、炭酸ガスの発生をより活発にするため、瓶詰め時に砂糖などの糖類を加えることもある。
瓶の栓はほとんどがマッシュルーム型に成形したコルク製であるが、ビール瓶の栓と同じ王冠を使用するものもある。スティルワイン(非発泡ワイン)で普及しつつあるスクリューキャップは、ガス圧のため現在のところ使用できない。
[編集] 主な発泡ワイン
[編集] フランス
- シャンパン
- シャンペンとも。シャンパンの項参照。フランス・シャンパーニュ地方原産。総じて泡が非常に細かいのが第一の特徴。
- クレマン (Crémant)
- フランス・シャンパーニュ地方以外で、シャンパンと同様の製法で造られた発泡ワイン。芳香の強い白ワインの産地であるアルザス地方の発泡ワイン、クレマン・ダルザス (Crémant d'Alsace)等が有名。「Crémant de」の後に産地名が続く(ロワール、ブルゴーニュ等)。
- ムスー(mousseux)
- 「ムスー」とは、「泡」の意味。AOCに指定されているものから、テーブルワインまで各種ある。上記のCrémentはトラディッショネル方式で作られるが、ムスーは様々な方式で作られている。
- ペティヤン
- フランス語で「ぱちぱちはねる」の意味で、弱発泡性のワインのこと。いくつかのAOCがある。
[編集] スペイン
- カバ(Cava)
- スペイン産の発泡ワイン。カバ (ワイン)の項参照。シャンパーニュ地方産ではないのでシャンパンとは呼ばないが、基本的な製法はほぼ同じ発泡ワイン(スパークリングワイン)である。シャンパンと同じくらい古い歴史を持つ良質の発泡ワインである。
[編集] イタリア
- スプマンテ(Spumante)
- イタリア語で「発泡性の」という意味の言葉で、発泡ワイン全般を指す。日本では特に発泡性のイタリアワインの意味で使用する。代表的な物にはアスティ・スプマンテ、フランチャコルタ、プロセッコがある。
- フリザンテ(frizzante)
- イタリアで「微発泡」「半発泡」のものをフリザンテと呼ぶ。モスカートなどがある。
[編集] ドイツ
- ゼクト (Sekt)
- シャンパンと同様の製法で造られた、ドイツの発泡ワイン。
[編集] オーストラリア
- スパークリング・シラーズ
- オーストラリアの発泡赤ワイン。フルボディで甘みの残るものが多い。シラーズ以外の品種も用いられる。
[編集] 日本
日本では北海道池田町で発泡ワインが少量ながら生産されている。また2007年よりメルシャンが「日本のあわ」シリーズと題して、同社の勝沼ワイナリーにて「勝沼のあわ」「穂坂のあわ」の2品種を生産・発売している。