理事
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理事(りじ)は、組織・団体を代表し、事務を管掌する地位にあるもののこと、またその職名である。
法人においては、法人の事務を処理し、法人を代表し、法人の代表権を行使する機関または人のことをいう。ただし、株式会社などでは、理事にあたるものを取締役という。また、地方公共団体では、首長以下の特別職の下にあって、一般職の中での最高幹部クラスにある職員を理事という例がある。
[編集] 法人の理事
法人においては、理事は、一般的に1名もしくは複数人置かれる。また、理事の長たる職は、法により理事長(りじちょう)と定められているもの(医療法人等)のほか、定款や寄附行為により内部的に理事長もしくは代表理事などと呼称することがある。独立行政法人や国立大学法人等においては、理事の長たる職を理事長以外の職名(所長、学長等)で呼称する場合もある。
法人の運営は、複数の理事が集まって行う理事会という最高議決機関があることも多い。株式会社の場合はこれを「取締役会」という。
理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、当該法人を所管する法律の定めにより、利害関係人または検察官の請求で、裁判所や監督行政庁に仮理事の選任を求めることができる。
ほとんどの理事は非常勤の名誉職であり、唯一の常勤者が機関運営の最高責任者たる「専務理事」である(「専務」とあるとおり、理事以外の職には就かず、給与も法人職員として受け取る)。
[編集] 地方公共団体の理事
地方公共団体においては、局長級・部長級・次長級などの一般職公務員における最高幹部クラスの職層名、またはスタッフ職の職名として使用される。
スタッフ職の理事は、「A県理事」というように特定の部・局に属さしめず、首長の直下に置かれて、直接に首長の命を受けて特定の重要事項に関する事務を処理するポストとして設けられている場合が多い。
職層名として理事が使われている例には、東京都がある。東京都においては、理事は階級的な呼称である職層のひとつで、局長級の職員に対して用いられる。ただし、局長級のスタッフ職の職名としても使用されるのは他の自治体と同様である。しかし東京都における理事ポストは局長と同列の知事直属ではなく、局内に設けられるポストであるため、待遇はライン局長より若干低いものになっている。