主事
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主事(しゅじ)は、現代の日本では、公的機関や各種の法人、団体に置かれる職員の職名の一種である。公務員において用いられる主事の職名は、一般的に定型的な事務に従事する下級の正規職員にあてられることが多く、民間企業でいうところの平社員にあたる。
明治以来、主事の職名は国の機関に勤務する官吏の官職名ではほとんど用いられず、市町村に勤務する吏員や、各種の法人、団体において比較的下級の正社員・正職員の職名として用いられてきた。今日でも主事の職名は国家公務員には見られないが、地方公務員では広く用いられており、また民間企業でも見られることがある。
[編集] 国
国家公務員では、現在、主事の職名は用いられていない。これは、もともと戦前には官吏(現在の国家公務員)には主事という官名がほとんど使われていなかったという経緯に関係があり、例えば地方公共団体で統計主事と称される職に相当する官職も、国では「統計官」と称するものと定められている。
ただし、かつては国会職員に主事の職名が存在した。国会職員の主事は、国会職員の職制が成立した昭和20年代に、戦前の官吏制度における判任官に相当する定員内の下級の職員を呼称したものである。しかし、後に国会職員の主事の職名はより上位の職名であった参事に統合され、昭和30年代には消滅した。
[編集] 地方公共団体
地方公共団体(自治体)における主事は多くの場合、末端の事務職という位置づけである。
主事は、地方自治法や地方公務員法に基づく職名ではないが、歴史的経緯等から今日でも多くの自治体では、「主事」の職名を条例や教育委員会規則に規定して、下級の職員の職名に採用している。指導主事、社会教育主事、建築主事といった法令に基づいて自治体に置かれる職の中に「主事」の語を含むものが多くみられるのも、同じ事情のためである。
通常、主事は県職員・市役所などにおける担当者レベル(主任・係長より下の職のレベル)の事務吏員の職名として用いられる。しかし、東京都においては、課長補佐級以下の職層名、特別区においては、総括係長級以下の職層名として用いられているように、そうではないものも多い。
主事より上位の職名には、伝統的に副参事、参事、理事といったものがあるが、今日の自治体では肩書きの煩雑さを避けるため、係長、主査、課長補佐、課長、部長といった役職名をそのまま主事の上位のレベルの職にある者の職名として用いているものも多く、現在ではあまり見られない。先述の東京都・特別区における職層名は、古い職名の呼称を残す例である。
主事の下に主事補を置く自治体もあるが、もともと主事補とは雇用人のような定員外の職員が多く置かれていた時代に定員外職員の職名として用いられることが多かったもので、今日ではあまり例がない。主事補を置いている場合も、規定のみに存在があってほとんど任命が行われていないか、自治体の職員に任用されたばかりの初任者が短い期間任命されるだけという自治体もある。
なお、先述の指導主事等のように職層に関係なく用いられる例もあり、また三役より下の一般職の職員すべてを主事の職名で呼ぶこととしている地方公共団体もあるので、現在では主事は吏員と同じように、地方公務員の事務職一般を指す程度の意味しか有しないこともある。
[編集] 民間企業
他の役職同様、その位置づけは企業ごとに異なる。
何らかの役職に対応付けている企業の場合、主任・係長・課長クラスを想定していることが多い。また企業によっては、主事となる場合に社内試験を課すところもあり、合格した場合は前述のクラスに昇格する候補者とされる。