牛肉偽装事件
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牛肉偽装事件(ぎゅうにくぎそうじけん)とは、2001年からBSE対策事業の一環として行われた国産牛肉買い取り事業を悪用し、複数の食肉卸業者が輸入牛肉を国産牛肉と偽り補助金を詐取した事件。牛肉偽装に関してはこの他、販売店における産地偽装などが発覚し、食品表示への信頼性を失墜させた。
安易に生産者の損失補てんに走った国の行政対策の盲点をもついた悪質な犯罪ではある。
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[編集] 背景
BSEの問題発覚以前より、海外と国内産の農畜産物の品質に照らしてもあまりにもかけ離れた価格差が、不正を招く大きな要因ともなっている。
BSE感染牛の発生後、牛肉価格の下落、消費者の牛肉離れが起き、消費者の不安を取除くため、全頭検査前の国産牛を国が買取り、焼却することになった。
[編集] 経緯
- 2001年9月10日 - 国内で初のBSE感染牛が確認される。
- 2001年10月18日 - 牛の全頭検査開始。
- 2001年10月 - 国産牛肉買い取り事業始まる。
- 2002年1月23日 - 雪印食品の牛肉偽装が発覚。
- 2002年4月25日 - 買い取り牛肉の抽出検査を全箱検査に変更。
- 2002年4月30日 - 雪印食品解散。
- 2002年5月18日 - 雪印食品の役員逮捕。
- 2002年6月28日 - 日本食品の牛肉偽装発覚。
- 2002年7月30日 - 日本ハムが買い取り申請を取り下げた牛肉の無断焼却発覚。
- 2002年8月6日 - 日本ハムの牛肉偽装・隠蔽発覚。
- 2002年9月30日 - 西友元町店(札幌市東区)偽装肉返金事件
- 2004年4月17日 - ハンナンの元会長など11人を詐欺の容疑で逮捕。
- 2004年5月7日 - ハンナン元会長を補助金適正化法違反ならびに証拠隠滅教唆の容疑で再逮捕
- 2004年6月18日 - 大阪地検は、ハンナン元会長を補助金適正化法違反ならびに証拠隠滅教唆の容疑で追起訴。
- 2004年11月8日 - 名古屋市内の牛肉卸社長など7人逮捕。
- 2004年12月23日 - ハンナン元会長の保釈請求が通り保釈される。保釈金は、日本での史上最高額となる20億円。
- 2005年12月22日 伊藤ハムが輸入豚肉にかかる差額関税制度を悪用し、関税を免れた豚肉約3000トンを購入したとして、関税法違反(脱税品の購入)の罪に問われた。免れた関税の額は10億円近く。
東京地裁、飯田喜信裁判長は 「多数のダミー会社を介在させて隠蔽をはかった巧妙、悪質な犯行で、食肉輸入会社の脱税行為を助長させた責任は重い」 と述べ、罰金1000万円の求刑を超える罰金3000万円の異例の判決を言い渡した。 大手食肉加工メーカーが同罪に問われたのは初めて。