海洋冒険小説
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海洋冒険小説(かいようぼうけんしょうせつ)は、冒険小説の一分野で、海洋を舞台としたもの。多くの作者と読者層はイギリス人とアメリカ人である。
イギリスでは、大航海時代や大英帝国時代に植民地獲得のために世界各地に雄飛し、大海洋帝国を築いた歴史的経緯から、海洋冒険小説がごく身近なものである。
一方、日本ではC・W・ニコルの『勇魚』、『盟約』などが該当するが、あまり例がない。
目次 |
[編集] 古典的作品
古典的なところでは、ロバート・L・スティーヴンソンの『宝島』、ジュール・ヴェルヌの『海底2万マイル』、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』、ジョゼフ・コンラッドの『ナーシサス号の黒人』、『闇の奥』(映画『地獄の黙示録』が翻案とした)、フレデリック・マリアットの『ピーター・シムプル』などがある。
また架空の海洋の存在を定義したものとしてウィリアム・H・ホジスンによる『サルガッソー海』神話譚などがある。
[編集] 現代の作品
特に帆船時代のナポレオン戦争下の、若いイギリス海軍士官・水兵を主人公にした成長小説の類は、多くのシリーズものがある。多くの亜流を産んだC・S・フォレスターのホーンブロワーシリーズの『海の勇者 ホレイショ・ホーンブロワー』(イギリスにて長編ドラマ化)を代表に、ボライソーシリーズの『海の勇士 リチャード・ボライソー』、オーブリー&マチュリンシリーズの『英国海軍の雄 ジャック・オーブリー』(ハリウッドで映画化)、『ラミジ艦長物語』、『はみだしものの海戦 アラン・リューリー』、トマス・キッドシリーズの『海の覇者 トマス・キッド』などがある。
また、アリステア・マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』、後にスパイ小説で知られるブライアン・フリーマントルの処女作『バウンティ号の反乱』、ユーモアものとしてはブライアン・キャリスンの『無頼船長トラップ』など。
日本語作品では先途の作品の他、多島斗志之『海賊モア船長の遍歴』『海賊モア船長の憂鬱』、鈴木光司『楽園』の前半部、景山民夫『遠い海から来たCOO』等がある。
[編集] 児童文学
児童文学のジャンルでは上に挙げた『宝島』、『海底2万マイル』の他にアーサー・ランサムの『ツバメ号』シリーズ、海洋詩人、ジョン・メイスフィールドの『ニワトリ号一番のり』などがある。
日本語作品としては、川村たかしの『熊野海賊』があげられる。
[編集] SF派生作品
最近では宇宙SFのなかで海洋冒険小説に大きく影響されたものが復権し、人気を博している。
『銀河の荒鷲シーフォート』シリーズ(デイヴィッド・ファインタック)や『紅の勇者オナー・ハリントン』シリーズ(デイヴィッド・ウェーバー)が例にあげられよう。”イギリス海軍物”との共通点は軍隊としての、規律・指揮官の苦悩・懲罰処刑の舞台背景および、敵勢力より劣る戦力で主人公が機転を利かせて危機を乗り切るというストーリなど。「オナー・ハリントン」シリーズなどは、主人公のイニシャルがHHであることや、自国と敵国の体制や人物名がナポレオン戦争当時の英仏になぞらえてあることなど、ホーンブロワーシリーズへのオマージュであることがわかる構成になっている。