海のトリトン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィキポータル |
漫画作品 |
日本の漫画作品 |
漫画家 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『海のトリトン』(うみのトリトン)は、手塚治虫の漫画。および同作を原作としたテレビアニメ。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
原作はサンケイ新聞に1969年9月1日から1971年12月31日まで連載されていた新聞漫画『青いトリトン』だが、タイトルはアニメ放送開始に伴い『海のトリトン』に改められた。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 漫画
当初、海棲人類トリトン族の赤ん坊「トリトン」を拾ってしまった漁村の少年「矢崎和也」を主人公とし、抗争に巻き込まれた第三者の冒険と根性のストーリーになるはずだったが、作者自身が純然たる冒険活劇とした方が作品として面白くなる事に気づき、物語中途で和也を失踪させ、主人公をトリトンに交代させた。
アニメ版のストーリーに比べて、トリトンが陸の人間として成長し、知識と武術を習得して海に出るまでを丹念に描き、水中でも息が出来るだけのようなトリトンが海の怪物にも等しいポセイドン族と互角に戦える理由を説明している。ポセイドン族との抗争の他、トリトン族と人間との好意的とは言いがたい接触がストーリーのもう一本の柱になっている。
[編集] 単行本
[編集] アニメ
1972年4月1日から同年9月30日までABC制作、TBS系で毎週土曜日19:00 - 19:30に全27話が放送された(ここから、それまでTBS制作番組だったのがABC制作番組に変わる)。アニメーション・スタッフルーム製作。もともとは虫プロダクションでアニメ化する予定でパイロット版まで制作された。しかし、虫プロの経営悪化による混乱の中、アニメ化の権利を『宇宙戦艦ヤマト』の西崎義展が取得。虫プロ商事のスタッフを中心に設立したアニメーション・スタッフルームで製作されることとなった。西崎のテレビアニメ初プロデュース作品であり、富野喜幸(現・富野由悠季)の初監督作品でもある。実際に制作の中心となったスタジオは主に東映動画のテレビアニメシリーズの下請けをこなしていた朝日フィルムであり、監督の富野は虫プロ系のスタッフが使えなかったと後に述べた。アニメの内容は原作の手塚色がかなり薄められ、演出の富野色、いわゆる富野節が強い作品となっている。こうした製作の経緯があっため、手塚は秋田書店版の単行本のカバー袖のコメントで、テレビまんがのトリトンは自分のつくったものではないとの断りを入れている。これについて富野は、NHK『トップランナー』に出演した際、手塚は原作を失敗作だと考えていたのではないかと推察し、ストーリーの改変についても、かなり自由に任せてくれたとも回想していた。
トリトン族と人間との関わりの物語を切り捨てた代わりに、スーパーウェポンであり物語の根幹に関わるオリジナル重要アイテム「オリハルコンの短剣」を登場させて、圧倒的な敵を相手に戦闘が成り立つことを説明している。
オープニングアニメーションの作画が放映開始に間に合わなかった最初の作品でもあり、かぐや姫と須藤リカがエンディング・テーマ『海のトリトン』を歌う映像を約1クールの間、オープニングと入れ替えて用いていた。主題歌である『GO! GO! トリトン』は、早い時期にミュージックエイト社による吹奏楽譜がリリースされたこともあり、多くの学校で吹奏楽の演奏曲目として使用されている。特に高校野球の応援によく演奏される曲目でもある。
なお、再放送に関しては、1975年3月31日にABCがテレビ朝日系列にネットチェンジしたことにより、テレビ朝日系列のある地域では、その局に移譲して行われていたところもある。
[編集] アニメ史上の評価
アニメブームを経てからは、手塚作品というよりは、富野喜幸の初監督作品として受け取られ、守るべきものに追われる主人公、トリトン族が悪でありポセイドン族が善という衝撃のラストなど、後の『無敵超人ザンボット3』に繋がるとしてしばしば比較される。
『宇宙戦艦ヤマト』以前に高年齢層に人気を博した、アニメブームの先駆者として『ルパン三世』と並んで重要とされる作品。また日本で初めてテレビアニメのファンクラブが作られた作品で、とりわけ女性ファンの人気が高かった。主演した子役出身の声優の塩屋翼は続けて『科学忍者隊ガッチャマン』に出演したこともあり、当時の人気声優となっている。後に『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』がヒットしたことにより、本作も再評価が進められた。アニメブームが到来すると、西崎プロデューサーにより、劇場アニメ版『宇宙戦艦ヤマト』を監督した舛田利雄が監督し、テレビ版を再編集した劇場版前編(74分)が1979年7月4日に公開されたが、後編(65分)は未公開であった。前後編を合わせて収録した完全版が2002年3月にDVDで発売されている。
本編はDVD-BOXとして2001年9月21日に発売されている。また2002年10月25日には、それぞれの全5巻の単品DVDも発売されている。
[編集] アニメ版ストーリー
老漁師一平に岬で拾われた緑の髪の赤子は、トリトンと名づけられ育てられるが不吉な髪の色として疎外される。ある日一頭の白いイルカ、ルカに出会う。ルカは、トリトンが人ではなく、海棲人類トリトン族の最後の生き残りであること、トリトン族は七つの海を支配し、暴虐を尽くすポセイドン族と戦う運命にあることを告げる。イルカの言葉が判ること自体に狼狽し、それを信じようとしないトリトンであったが、一平がトリトンと一緒に拾ったトリトン族の衣装と宝物「オリハルコンの短剣」を発見し、ルカのいうことが真実だと知る。そのとき、トリトンを発見したポセイドン族の尖兵が漁村を襲い、トリトンは村を救うため、海への旅立ちを決意する。トリトン族の他の生き残りを探すため、父母の仇、村の仇であるポセイドン族を倒すため……。苦難の旅の果て、ポセイドン族の本拠地へのりこんだトリトンは衝撃の真実を知る。ポセイドン族はアトランティス人によってポセイドンの神像の人身御供として捧げられた人々の生き残りで、トリトン族は彼らの復讐によって亡びたアトランティス人の手によってポセイドン族に復讐するためにつくられた新人種であったこと、そして、ポセイドン族は安心して地上で暮らすために世界中の海を荒らし、トリトン族を虐殺してきたに過ぎないのだということを。このように、トリトン族の滅亡はアトランティス人とポセイドン族による復讐劇による因果応報の結果であって、子ども向きの勧善懲悪の物語から逸脱した当時としてはかなり救いのないラストで物語は終わってしまう。
[編集] スタッフ
- 原作:手塚治虫
- プロデューサー:西崎義展
- 脚本:松岡清治、辻真先、宮田雪、松元力
- 演出(総監督):富野喜幸
- 演出(各話監督):富野喜幸、永樹凡人、正延宏三他
- 演出助手:川田武範、山吉康夫、清水マサル、井出康道、田村善行
- コンテ:永樹凡人、正延宏三、山吉康夫、斧谷稔、大貫信夫、池原成利、西谷克和、平田敏夫、佐々木正広
- キャラクターデザイン・作画監督:羽根章悦
- 作画:古沢日出夫、落合正宗、石黒育、平賀みちる、塩田秀考、米川功真、坂井俊一、桜井美知代、タイガープロ、スタジオジョーク、スタジオテイク、タマプロダクション、Fプロダクション、アニメスター、高プロダクション
- 美術監督:伊藤主計、牧野光成
- 背景:勝又激、水谷昇、西芳邦、西原繁男、明石貞一、プロペロン、スタジオ・アクア
- 撮影:菅谷正昭(スタジオ珊瑚礁)、高橋宏固、豊永安義、長谷川令子、佐藤博司、金沢和男
- 仕上:西牧たみ子(アド・リブ)、高橋達雄、前田峯子
- 音響監督:浦上靖夫
- 音楽担当:松原武俊
- 音楽:鈴木宏昌
- 効果:森賢二
- 編集:菅谷正昭(スタジオ珊瑚礁)、高橋宏固、豊永安義、長谷川令子、山本栄子、むつごろう一座
- 製作助手:片山秀男
- 文芸進行:鶴見和一
- 製作担当:鈴木紀男
- 製作担当プロデューサー:黒川慶二郎
- 製作協力:朝日フィルム
- 録音:アオイスタジオ
- 現像:東洋現像所
- 制作:朝日放送、アニメーションスタッフルーム
- 主題歌
[編集] キャスト
- トリトン:塩屋翼
- ピピ:広川あけみ
- ルカー:北浜晴子
- イル:大竹宏
- カル:肝付兼太
- フィン:杉山佳寿子
- 一平爺ちゃん:八奈見乗児
- トリトンの父:野田圭一
- トリトンの母:沢田敏子
- メドン:外山高士
- プロテウス:滝口順平
- ラカン:峰恵研
- ジェム:山本圭子
- ポセイドン像・ナレーター:北川国彦
- ドリテア:沢田敏子
- ヘプタポーダ:中西妙子
- ボリペイモス:加藤精三
- ミノータス:柴田秀勝
- マイペス:加藤修:野田圭一
- レハール:富田耕生
- マーカス:矢田耕司
- ネレウス:八奈見乗児:今西正男
- ゲルペス:兼本新吾:増岡弘
- ブルーダ:中曽根雅夫:山田俊司
- ゴルセノス:水鳥鉄夫
- クラゲ:杉山佳寿子:吉田理保子
- ポセイドン:渡部猛
[編集] 放送リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 演出助手 | 作画 | 撮影 | 編集 | 背景 | 制作進行 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 海が呼ぶ少年 | 松岡清治 | 斧谷稔 | 富野喜幸 | 山吉康夫 | 石黒育 古沢日出夫 落合正宗 |
高橋宏固 | 辻井正則 | 勝又激 | 佐野禎史 |
2 | トリトンの秘密 | 永樹凡人 | ? | スタジオジョーク | 菅谷正昭 | ? | ? | ? | ||
3 | 輝くオリハルコン | 正延宏三 | ? | スタジオテイク | ? | ? | ? | |||
4 | 北海の果てに | 辻真先 | 斧谷稔 | 富野喜幸 | ? | ? | ? | ? | ? | ? |
5 | さらば北の海 | 宮田雪 | 山吉康夫 | ? | ? | ? | ? | ? | ? | |
6 | 行け、南の島! | 松岡清治 | 大貫信夫 | ? | ? | ? | ? | ? | ? | |
7 | 南十字星のもとに | 辻真先 | 山吉康夫 | ? | ? | ? | ? | ? | ? | |
8 | 消えた島の伝説 | 松元力 | 大貫信夫 | ? | ? | ? | ? | ? | ? | |
9 | ゆうれい船の謎 | 富田宏 | 山吉康夫 | 清水マサル | タイガープロ 古沢日出夫 |
菅谷正昭 | 高橋宏固 | 勝又激 | 佐野禎史 | |
10 | めざめろ、ピピ! | 松岡清治 | 池原成利 | 井出康道 | タマプロダクション | ? | 菅谷正昭 | 水谷昇 プロペロン |
芝野達弥 | |
11 | 対決・北太平洋 | 宮田雪 | 山吉康夫 | 清水マサル | 石黒育 古沢日出夫 |
? | 高橋宏固 | 勝又激 | 佐野禎史 | |
12 | イルカ島大爆発 | 松岡清治 | 斧谷稔 | 田村善行 | 塩田秀考 タマプロダクション |
菅谷正昭 | むつごろう 一座 |
? | 芝野達弥 | |
13 | 巨獣バキューラの追撃 | 松元力 | 山吉康夫 | 川田武範 | 落合正宗 平賀みちる |
? | 高橋宏固 | 勝又激 | 岡吉弘 | |
14 | 大西洋へ旅立つ | 辻真先 | 斧谷稔 | 田村善行 | 米川功真 | ? | 菅谷正昭 | 西芳邦 スタジオ アクア |
井出康道 | |
15 | 霧に泣く恐竜 | 宮田雪 | 大貫信夫 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション |
? | 豊永安義 | 勝又激 | 川畑健二 | |
16 | 怪人レハールの罠 | 辻真先 | 西谷克和 | 田村善行 | タマプロダクション アニメスター |
? | 菅谷正昭 | 西原繁男 | 佐野禎史 | |
17 | 消えたトリトンの遺跡 | 松元力 | 平田敏夫 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション |
? | 豊永安義 | 勝又激 | 岡吉弘 | |
18 | 灼熱の巨人タロス | 辻真先 | 大貫信夫 | 田村善行 | アニメスター | 菅谷正昭 | ? | 明石貞一 | 吉岡優一 | |
19 | 甦った白鯨 | 宮田雪 | 佐々木正広 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション |
高橋宏固 | ? | 勝又激 | 佐野禎史 | |
20 | 海グモの牢獄 | 松岡清治 | 斧谷稔 | 田村善行 | 山プロダクション | 菅谷正昭 | ? | 西芳邦 スタジオ アクア |
井出康道 | |
21 | 太平洋の魔海 | 辻真先 | 山吉康夫 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション |
豊永安義 | ? | 勝又激 | 佐野禎史 | |
22 | 怪奇・アーモンの呪い | 宮田雪 | 大貫信夫 | 田村善行 | スタジオジョーク アニメスター |
菅谷正昭 | ? | ブロベロン | 川畑健二 | |
23 | 化石の森の闘い | 松岡清治 | 斧谷稔 | 山吉康夫 | Fプロダクション 高プロダクション |
佐藤博司 | ? | 勝又激 | 佐野禎史 | |
24 | 突撃ゴンドワナ | 辻真先 | 池原成利 | 田村善行 | 坂井俊一 桜井美知代 |
菅谷正昭 | ? | 明石貞一 | 丸山秀男 | |
25 | ゴルセノスの砂地獄 | 宮田雪 | 斧谷稔 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション タイガープロ |
? | 長谷川令子 | 勝又激 | 佐野禎史 | |
26 | ポセイドンの魔海 | 辻真先 | 大貫信夫 | 田村善行 | 坂井俊一 桜井美知代 |
菅谷正昭 | ? | 西芳邦 スタジオ アクア |
川畑健二 | |
27 | 大西洋 陽はまた昇る | 松岡清治 | 斧谷稔 | 川田武範 | 石黒育 Fプロダクション タイガープロ |
金沢和男 | 山本栄子 | 勝又激 | 佐野禎史 |
[編集] 番組の入れ替わり
TBS系 土曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
海のトリトン
(ここからABC制作枠に移行) |