松翁 (行司)
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松翁(しょうおう)は、相撲用語としては、行司に与えられる名誉の尊号。立行司を力士の横綱とすれば、一代年寄に相当するものともされる。過去、5代目、15代目、20代目の木村庄之助の3名にだけ与えられている。
もともとは年寄名跡のひとつ。一度現役を退いて「松翁」を名乗った5代目庄之助が、諸事情から木村庄太郎として現役復帰、番付に
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松翁 木村庄太郎 木村庄之助 式守伊之助
と書き出されたことから、後世「松翁は立行司より一枚上の存在」という誤解が生じた。
15代目庄之助も引退後に松翁を名乗ったが、番付にその名で出たわけではなく、名誉の尊号としては20代目庄之助が最初で、現在までただひとりとなっている。裁きの確かさ、土俵態度などの風格が見事だったので、5代目の前例をひいて「松翁 木村庄之助」の名乗りを許されたもので、この時には横綱免許と同様、吉田司家の裁可が仰がれた。
近年では28代目庄之助が松翁にならなかったのに首をかしげる好角家も多いが、上述の通り20代目は吉田司家から免許を受けている。戦後横綱推挙の権限は日本相撲協会に譲渡されたが、松翁免許についてははっきりせず、日本相撲協会と吉田司家の絶縁状態が続くとすると、今後新しい松翁の誕生は難しい。