快楽亭ブラック (初代)

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初代快楽亭 ブラック（かいらくてい ぶらっく、1858年12月22日 - 1923年9月19日）は、落語家・講釈師・奇術師。本名はヘンリー・ジェイムズ・ブラックという。日本名は石井 貎刺屈（いしい ぶらっく）。イギリス国籍、オーストラリア（当時イギリス領）アデレード生まれ。

1865年、週刊新聞『ジャパン・ヘラルド』の記者として招かれていた父の後を追って、母とともに来日した。父は『日新真事誌』という新聞を発行し政府を非難した為圧力で廃刊となり上海に渡った。本人は日本に残り1876年に奇術師3代目柳川一蝶斎の一座に雇われ西洋奇術として雇われる、7月16日には浅草西鳥越の芳川亭と日本橋南茅場町の宮松亭で西洋手品を「ハール・ブラック」の名で興行した記事が載る。その後一説には2、3年アメリカのシアトルに母と共に生活していたという。1878年再度来日し1879年講釈師2代目松林伯圓に誘われ横浜馬車道の富竹亭で政治演説に出演した記事が新聞紙上に掲載される、1879年1月に正式に伯圓に弟子入り「英人ブラック」を名乗る、1880年、当時は政府の許可がないと寄席に出演できなかった為講釈師3代目伊藤燕凌の介入で外務省に許可を取り正式に寄席に本格的に主演するようになる、しかし親戚、知人の猛反発で一時英語の塾を開いたりしていたが寄席の世界に戻り1884年には三遊亭圓朝・4代目三遊亭圓生らの三遊派に入った。1891年3月より「快楽亭ブラック」と名乗る。1893年には日本人木村アカと結婚し日本国籍を取得し本名を石井貎刺屈（石井ブラック）と改名。西洋小説を元にした翻案物や、自作の噺を行い、「べらんめえ」節をしゃべる青い眼の噺家として人気を博した。また、1896年には日本初と言われる催眠術の公開実験を行ったり、高座で手品を行ったり、時には歌舞伎の世界にも飛び込んだりもしている、多芸の芸人として活躍した。

1903年には、ドイツ・グラモフォンの録音技師レッド・ガイスバーグの来日の際、落語、浪曲をレコードに録音し、これが日本初のレコード録音となった。同時期の落語家、4代目橘家圓喬、初代三遊亭圓右、初代三遊亭圓遊、3代目柳家小さんなどのレコード録音を製作した。不鮮明ながらも明治の名人たちの貴重な音源を残した功績は高く評価されている。

晩年は人気を失い、自殺未遂騒動をおこすなど不遇であった。奇術に転じた快楽亭ホスコや弟子で2代目談洲楼燕枝が一時弟子であり、「快楽」の名を貰っていた。

横浜外人墓地に父と共に埋葬された。