小川博
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小川 博(おがわ ひろし、 1962年4月2日 - )は、栃木県足利市出身、群馬県育ちの元プロ野球選手(投手)。現役時代の背番号は26。
また2004年に強盗殺人事件を起こしたことでも知られ、2008年5月現在受刑者。
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[編集] 来歴・人物
[編集] 出生~球界在籍時代
出生は栃木県だが、1歳のとき子供に恵まれなかった群馬県在住の大工・清掃作業員夫婦の養子となり、以後養父母のもとで育つ。前橋工高では3回甲子園に出場。甘いマスクと豪腕で人気を集め「群玉(群馬の玉三郎)」とよばれ、甲子園のアイドルとなる。卒業後、青山学院大学へ進学、当時東都大学野球連盟で弱小だった青学大野球部の躍進に貢献した。
青学大卒業後の1984年にドラフト2位でロッテオリオンズに入団。甘いマスクもさることながらサイドスローから繰り出す速球と変化球・シンカーが魅力的であった。
元祖ドクターKの異名を持つ。1988年にはオールスターに出場し、5者連続三振を奪う。伝説の10.19の第1試合にも先発した。この年は両リーグ最多の204奪三振を記録し、最多奪三振のタイトル創設のきっかけを作った。なお、シーズン最多奪三振投手で投球回数を上回る奪三振を記録した最初の右投手(左投手ではそれ以前に金田正一、江夏豊が記録している)。
このように華々しい活躍でさらに飛躍が期待されたが、翌1989年に肩を痛めてから輝きを取り戻すことはできなかった。1992年に引退、1999年までコーチ。2000年~2002年まで編成担当の球団職員を務めた。2002年に退職して以降は球界を離れ、産業廃棄物処理会社に就職。それ以降小川の消息は2004年秋の下記の事件を起こすまで報道されることはなかった。
[編集] 人生の暗転
2004年11月、小川は勤務していた産廃処理会社の会長宅に住み込みで働いていた67歳の女性に土下座して借金を申し込んだものの断られた。このことから逆上した小川は女性を突き飛ばして2階にあった現金入りの封筒を奪い、さらにはその発覚を恐れて、気を失った女性を車に乗せ約4km先の旧荒川に投げ込み水死させた。
そして事件の約1ヶ月後、2004年12月21日埼玉県警上尾警察署に強盗殺人容疑で逮捕された。逮捕時から、小川は一貫して容疑を認めていた。なお産廃処理会社では営業部長の肩書きで勤務していたが、逮捕前日に解雇されていた。また、ロッテ球団にコーチとして在籍していた頃から多額の借金を重ねる、自己破産宣告(2003年)など経済的に非常に追い詰められた状態であったことが明らかになった。
2005年9月29日、さいたま地裁(福崎伸一郎裁判長)は求刑通り無期懲役の判決を下した。この地裁判決の争点は、どの時点で殺意を持ったと裁判所が判断するかであった。検察側は借金を断られた時点で殺して金を奪おうと考えたと主張した。しかし、福崎裁判長は「借金を断られたからと言って、直ちに殺して金を奪おうと考えたというのはあまりに飛躍がある」と判決の中で述べ、また、突き飛ばした時点で凶器等を使わなかった事からも、計画性の薄い事後的強盗殺人として認定した。
小川は「無期懲役は重過ぎる」と量刑不当を理由に、東京高等裁判所へ控訴していたが、2006年2月23日、東京高裁(仙波厚裁判長)は一審のさいたま地裁判決を支持し小川側の控訴を棄却、二審でも無期懲役の判決を受けた。同裁判長は、判決の中で「引退後も浪費を重ねて金銭的困窮に陥ったのが原因で、動機に酌量の余地はない」と述べた。長いプロ野球の歴史においては、交通事故、八百長、闇賭博、脱税、婦女暴行、強制わいせつ、薬物使用といった不祥事が発覚し、選手や元選手が検挙された事例はあったが、殺人事件は初めてであった。当然このような前代未聞の事件には、各方面から批判が相次ぎ、現役時代のロッテ監督であった有藤道世は、『サンデーモーニング』のインタビューで「目の前にいたら死ねって言ってやりたい」と語った。
なお、小川が現役時代に付けていた背番号26は、現在千葉ロッテマリーンズでは「26番目の選手」(定員25人の一軍選手の次)という意味のファン向けの背番号としているため、欠番となっている。しかし、これは小川が現役時代につけていた番号のため、縁起が悪いとして封印で欠番にしたのではないかといった声も一部では聞かれる。
[編集] 通算成績
- 132試合 21勝 26敗 5セーブ 460奪三振 535.1投球回 防御率4.12
[編集] 関連書籍
- 『地獄に堕ちた有名人』(宙出版 ISBN 978-4776721666)
[編集] 関連項目
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ロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ) 1984年ドラフト指名選手 |
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1位:笠原栄一 / 2位:小川博 / 3位:岡部明一 / 4位:横田真之 / 5位:金沢健一 / 6位:伊藤優 |