妖魔夜行
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妖魔夜行(ようまやこう、英 THE DAMNED STALKERS)は、現代の日本で生活する妖怪たちとそれに関わる人間をテーマとした一連のライトノベル。1991年から2000年にかけてグループSNE所属の小説家を中心に複数の作家によって書かれ、角川スニーカー文庫より発刊された。基本ジャンルはホラーとしているが、執筆者によっては作風が異なる。
背景世界を共有するテーブルトークRPG(TRPG) 『ガープス』用のルールブックはグループSNEによって製作され、1994年に文庫タイプ(角川スニーカー・G文庫)で発行。サプリメントやリプレイ集なども発売された。
元々、ガープスのスーパーヒーロー用サプリメント『GURPS Supers』を翻訳する際に日本向けの世界設定として作られたものである。
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[編集] 概要
小説は現代の日本(特に東京)を舞台に、基本設定、登場キャラクター、作品間の時間軸を共有する小説群シェアード・ワールド・ノベルズとして、山本弘、友野詳、高井信、水野良、柘植めぐみ、清松みゆき、下村家恵子、西奥隆起、伏見健二、北沢慶など多くの作者によって書かれた。同様のグループSNEのシェアード・ワールド・ノベルズとしてはソード・ワールドノベルが存在する。
大半のエピソードでは、渋谷の一角にある妖怪たちが集うバー「うさぎの穴」に出入りする(「ネットワーク」に所属する)妖怪が主人公で、妖怪が原因となった事件を解決していく。執筆者が多彩なこともあり、各エピソードの内容は、ホラーからアクション、パロディ、人間ドラマ、SFなど多岐にわたる。書き下ろし作品が多いが、一部『コンプRPG』誌に掲載されていたものもある。
2000年発売の「戦慄のミレニアム」で発生した大事件によってシリーズはいったん終了し、続編シリーズである百鬼夜翔が開始された。
作家の乙一は自身の作品「GOTH リストカット事件」のあとがきでGOTH リストカット事件は妖魔夜行作品を目指して作ったものであると書いている。
[編集] 妖怪とは
本シリーズにおける妖怪とは人間の"想い"(恐怖、愛情、憧れ等)が生命エネルギーに形を与えることによって生まれた生命体で、寿命を持たず、一度死んでも人間の"想い"さえあればいつかまた蘇る存在である。そのため、はるか昔に誕生した伝統的な妖怪もいれば、近年になって都市伝説の中から生まれた妖怪や実在を信じられた架空の人物(例:シャーロック・ホームズ)・特撮番組のヒーロー等、個人的に強い愛情を持たれた器物に魂が宿った存在(付喪神)等も妖怪として扱われている。果ては宗教の神まで人間の思いから生まれた強大な妖怪に過ぎないとしている。
妖怪は人間に比べて身体的に頑丈であり、怪力や飛行能力・変身能力などの「妖力」や、火炎・電撃・天候等の事象を操作するなどの「妖術」を身に着けた、人間を超越した存在として描かれるが、精神的には人間とそれほど変わらない。その妖怪に似合った能力(狸や狐の「変化」など)を生まれながらに獲得している。また、同種族の妖怪同士で社会を形成して妖怪の親から産まれた二代目以降の妖怪や、人間と妖怪の間に生まれたハーフ、先祖が妖怪であったために人間から妖怪として覚醒してしまった者(隔世遺伝による、いわゆる「先祖返り」)も存在する。また、稀に人間でありながら「妖力」や「妖術」を僅かながら身に着けていたり、妖怪を使役する例もある(妖怪の血を引いている可能性もあるが)。
妖怪によっては「弱点」が存在する。その多くは妖怪が苦手とする、と信じられているもの(吸血鬼なら陽光や十字架やニンニク、うわばみなら煙草のヤニなど)であり、これらによって死んだ者は甦る事ができない場合もある。
[編集] ネットワーク
妖怪たちは現代社会に適応する為、「ネットワーク」と呼ばれる一種の共同体を形成し、互いに情報交換を行なったり、援助しあっている。全世界に存在するが、作中に頻繁に登場するのは東京にある「うさぎの穴」「海賊の名誉亭」など。ネットワークの拠点(喫茶店やバーである場合が多い)には、妖怪以外にも、妖怪と知り合いであったり、妖怪絡みの事件で助けを求める人間たちも出入りする。中には人間が代表者を勤めるネットワークも存在する。妖怪たちの多くは自主独立の気風が強い為、これらは「組織」というほどの大規模かつ強力なものではなく、ネットワークからの依頼などにも基本的に強制力はない。
ネットワークの拠点は、無関係の人間などは出入りできない「隠れ里」と呼ばれる場所に存在する場合もある。「うさぎの穴」もこれに該当し、雑居ビルの「存在しない5階」にあって、用のない人間は看板を見つけることも、エレベーターの「5」のボタンを見る事もできない。
人間に敵対する「悪のネットワーク」も存在し、これらはいわばヒーローものの敵の組織に相当する。作中でもいくつかのエピソードでの事件は、彼らの陰謀によるものである。
- うさぎの穴
- 新宿の「存在しない5階」に存在するバー「うさぎの穴」を拠点に活動するグループ。後に巨大ネットワーク「バロウズ」の母体となる。小説妖魔夜行の主要人物は殆どこれに所属している。
- 海賊の名誉亭
- 秋葉原にあるバー「海賊の名誉亭」(一般人も出入可)を拠点に活動するグループ。後に「うさぎの穴」と合併して「バロウズ」の母体となる。小説での出番は少ないが、妖魔夜行リプレイではここのメンバーがキャンペーンのPCとなる。
- 赤い靴
- 横浜にあるホテル「スーリエ・ルージュ」を拠点に活動するグループ。百鬼夜翔の主要人物の殆どはこれに所属している。
- ザ・ビースト
- 聖書の黙示録に登場する「獣」の記述から誕生した組織。世界の支配をもくろみ、そのためのテロ活動や経済操作、宗教活動などを行う。表の顔は大企業「シャイアーテックス」(666(スリーシックス)のアナグラム)。
- ローズ・クルセイダース
- 科学への歪んだイメージがマッドサイエンティストの形をとって生まれた妖怪、「妖科学者」達の組織。実験と称して事件を引き起こしたり、他の悪ネットワークに技術提供をしたりする。リーダーはフランケンシュタイン(人造人間ではなく造り手の方)。
- ナイト・フォッグ
- 元々、魔女狩りに追われた魔女達を霧の中に隠して逃亡の手伝いを行っていた組織。いつしか凶悪犯などの逃亡なども手伝うようになり、人間へと害をなす組織となった。百鬼夜翔での主な敵となる。
- ハンターズ・ネスト
- 妖怪ハンターたちの組織。基本的にネット上での情報交換のみで、組織内での協力は行わない。
[編集] 主な登場人物
[編集] 妖魔夜行
- 守崎 摩耶(人間)
- ある事件を機に自分の能力について知り、うさぎの穴の面々と妖怪とかかわっていくことになる。
- 井神 かなた(化け狸)
- バーうさぎの穴マスターの娘。摩耶と親友。アニメ・漫画の好きな現代っ子。
- 水波 流(龍)
- 中国の龍王と日本人戦災孤児との間に生まれたハーフ。プレイボーイ。
- 八環 秀志(烏天狗)
- 九鬼 未亜子(濡れ女)
- 高徳 大樹(算盤小僧)
- コンピュータ等に深い知識を持つ。ステレオタイプのオタク。
- 狩野 霧香(雲外鏡)
- 墨沢 文子(文車妖妃)
- 古今東西のあらゆる本(書かれなかった本も含む)が存在する古本屋「稀文堂」の店主。メンバーの情報源として重宝されている。普段は内気な性格だがメールなどの文面では別人のような性格になる。
[編集] 百鬼夜翔
- 波田 洋大(人間)
- 通称ヨーダイ。初登場時高校生。ある事件をきっかけに自分の持つ万年筆ジェラルドが妖怪であることを知り、赤い靴のメンバーとともに妖怪達とかかわっていくことになる。ベイスターズファン。
- ジェラルド・ヘンドリクス(万年筆の付喪神)
- 9世紀末にイギリスで作られた万年筆。現代に至るまで様々な作家・ジャーナリストなどの手を渡っている。パートナーに自分が今まで書いた物語の登場人物の能力を与えることが出来る。また自らの姿をレイピアに変えることができる。その名はかっての持ち主が書いた探偵小説の主人公の名前から。
- ナギ(蠎薙剣)
- 弥生時代に竜退治の為作られた霊剣。妖怪を退治することを目的としている。女性。
- 日野山 麦(竈神・かまどの付喪神)
- スーリエ・ルージュのシェフ。常に和服をまとっている。食べ物を非常に大事にしている。生まれて間もないため世間知らずで感情の制御が不十分な面がある。
- イ・ワヤン・ダムディ(サマール)
- スーリエ・ルージュの支配人。妹に関して過保護な面がある。
- 三崎 真幸(猫又・他称招き猫)
- 寺尾 明徳(三上山の大ムカデ)
- 数年前までは普通の人間としてサラリーマンをしていたが、ある日突然先祖返りで妖怪となってしまった。
- 鳴神 雷蔵(雷神ヴァーナ)
- 風花の双子の兄。
- 鳴神 風花(風神シャラスティ)
- 雷蔵の双子の妹。兄と比べ人間不信なところがある。
- ガブリエル早坂(早坂人形の付喪神)
- 神父。江戸時代にキリシタン拷問の為鉄の処女に似せて作られた早坂人形が妖怪化したもの。本来残忍な性質であったがキリスト教の教えを受け聖職者として生活している。
- 星野 ひかり(魔女)
- 日本人とフランス人(魔女)のハーフ。初登場時中学生。徳島出身。
- 名執 桐子(抜け首とろくろ首のハーフ)
- 職業税理士。父である抜け首が失踪したことにより幼少期苦労したためフェミニストとなる。
- 石動 諒一郎(人間・妖怪ハンター<ザ・ネット>)
- オカルトライターを生業とする。恋人を失ったことをきっかけに妖怪ハンターとなる。携帯電話型ツールからネットを出して戦う。
- エニグマ(電子ネットワーク妖怪)
- ネット上のマスコットから生まれた妖怪。有線でつながっているコンピュータに進入することができる。桐子に好意を持っている。
- 朱音 夕音/結城 茜(赤い靴はいてた女の子の都市伝説から)
- ホテル「スーリエ・ルージュ」のオーナー。ネットワーク赤い靴の責任者でもある。金髪の美女、幼い少女の二種類の人間の姿と名を使いわける。
[編集] 作品リスト
[編集] 小説
- 妖魔夜行/真夜中の翼
- 妖魔夜行/悪夢ふたたび……
- 妖魔夜行/真紅の闇
- 妖魔夜行/悪魔がささやく
- 妖魔夜行/鳩は夜に飛ぶ
- 妖魔夜行/魔獣めざめる
- 妖魔夜行/闇より帰りきて
- 妖魔夜行/影と幻の宴
- 妖魔夜行/私は十代の蜘蛛女だった
- 妖魔夜行/暗き激怒の炎
- 妖魔夜行/しかばね綺譚
- 妖魔夜行/眠り姫は夢をみない
- 妖魔夜行/穢された翼
- 妖魔夜行/迷宮の化身
- 妖魔夜行/戦慄のミレニアム(上)
- 妖魔夜行/戦慄のミレニアム(下)
- 妖魔夜行/幻の巻
- 百鬼夜翔/夜からの招待
- 百鬼夜翔/白昼の冥路
- 百鬼夜翔/黄昏に血の花を
- 百鬼夜翔/蛇心の追走
- 百鬼夜翔/水色の髪のチャイカ
- 百鬼夜翔/闇に濡れる獣
- 百鬼夜翔/蒼ざめた森の怒り
- 百鬼夜翔/空から奴がやってきた
- 百鬼夜翔/暁に散る翼
- 百鬼夜翔/黒き蟲のざわめき
- 百鬼夜翔/昏い霧に眠る街
- 百鬼夜翔/真夜中の道化師
- 百鬼夜翔/霧が閉じる黄昏
- 百鬼夜翔/霧が惑う暗夜
- 百鬼夜翔/霧が開く黎明
[編集] TRPG
[編集] 妖魔夜行
- 基本ルール
- 妖怪アクションRPG ガープス・妖魔夜行
- サプリメント
- ガープス・妖魔夜行 妖怪伝奇 - 資料集
- ガープス・妖魔夜行・アドベンチャー 妖魔荘の怪事件 - シナリオ集
- ガープス・妖魔夜行データ集 闇紀行 - 追加データ集
- リプレイ
- ガープス・妖魔夜行リプレイ 妖怪秘聞
- ガープス・妖魔夜行リプレイ 東京クライシス
- ガープス・妖魔夜行リプレイ 戦慄のチェスゲーム
- その他
- 妖魔百物語 妖の巻 - 読者からの応募作も含む百物語になぞらえたショートストーリー集
- 妖魔夜行(コミック) 原作:友野詳 作画:高田むつみ
[編集] 百鬼夜翔
- 基本ルール
- ガープス・百鬼夜翔
- リプレイ
- ガープス・百鬼夜翔リプレイ 暗夜に迷える鬼よ
- ガープス・百鬼夜翔リプレイ 黎明に眠れる鬼よ
- ガープス・百鬼夜翔リプレイ 黄昏に狂える鬼よ