天下一品
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天下一品(てんかいっぴん)
- 世の中で最も優れているさま・(こと)。誉め言葉で使う。「―の腕前」「彼の英語は―だ」
- 京都府京都市左京区に本店を置くラーメン店。以下で詳述する。
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[編集] 概要
天下一品(てんかいっぴん)は京都府京都市が発祥のラーメンチェーン店である。天一(てんいち)と省略して呼ばれることも多い。代表的な京都のラーメンの一つである。創業者は木村勉。1971年頃に屋台を開業したのがはじまりで、試行錯誤の末作られた独特のラーメンが京都の学生に愛され人気店に成長していった。現在では全国に店舗が広がった。京都には自社工場をもつ。
本店は京都市左京区一乗寺築田町94にある。叡山電鉄茶山駅から徒歩10分ほど。観光ガイドにも掲載され全国各地からファンが訪れている。
[編集] メニュー
[編集] 独特のラーメン
木村が当初屋台で始めたラーメンは、京都では珍しくない鶏ガラ白湯ラーメン(京都で言うところのこってり系ラーメン)であったが、屋台仲間からスープを教わったり、自らの家財を次々と質に入れ[1]費用を捻出して研究を重ね、それまでに無いスープを作り出した。 通常は注文時にニンニクの有無を聞かれる。店舗によっては特にニンニク無しを希望しない場合に自動的にニンニク入りが提供されることがある。また、ラーメンの注文自体も、特に指定しないと後述の「こってり」が出てくる場合もあるので注意が必要。、ここで言う、「ニンニク」は、いわゆる「ニントン」(ニンニク唐辛子)のことであり、「おろしニンニク」のことではない(「おろしニンニク」は置いている店舗もあるが、通常は置いてない)。
[編集] 「こってり」と「あっさり」
基本的には天下一品のラーメンスープは「こってり」(名古屋等「スタミナ」と呼ぶ店もあり)と「あっさり」の二種類から選ぶことができる。(その他のメニューについては後述。)鶏と野菜から作ったこってりのスープはコラーゲンでドロドロでポタージュのようなスープと称される。「ドロドロ」の正体については、コラーゲンだけでなく、持ち帰り用のスープパックの成分表記から米粉ではないかといわれているが、定かではない。店内には鍋に入ったスープと「健康食品」と描かれたポスターが貼られている。
鶏ガラ清湯スープ(いわゆる「中華そば」)である「あっさり」は、「こってり」に合わない人には普通のラーメンとして楽しむことができる。また、「こってり」は、あまりにもインパクトが強い為、敬遠する者も多く、好みのはっきりと分かれるラーメンであり、『天一はラーメンとは別種の麺類である』と認識する者も多い。たいてい「あっさり」を頼むのは熱狂的ファンと一緒に来店した女性が多い(意外にも、もっとも「あっさり」を食べることが多いのは従業員または元従業員である。理由は簡単で、天下一品で出されるまかない食は毎食ラーメンなので、こってりばかり連続で食べ続けるにはつらいものがあるからである)。但し、「あっさり」と言う名は天一基準であり、店舗によっては一般的な京都ラーメン並に油が浮いており、本当に「あっさりした」ラーメンを期待して注文すると後悔する。なお、ここでいう油はこってりしたラーメンとしてよくイメージされる固形の背脂(ラード)ではない。
初期は「こってり」しかなく、当然、選択肢はなかったので彼らには「あっさり」という概念は無い。ファンの多くは、学生時代を京都で過した者で、彼らがその魅力を全国へ広め、また地元にも天一の出店を望み、全国展開への足がかりとなった。今日では、全国展開して以降のファンも多くいる。
[編集] その他のメニュー
- 2004年1月に新メニューとして、「味がさね」という自分で濃度を調整できる野菜入り味噌ラーメンが加わった。それまで存在した「4号」と呼ばれる味噌ラーメンは、味がさねの登場により販売終了となった)。なお、「味がさね」は定食に組み込むことが出来ない店舗がほとんどである。
- また、「こってり」と「あっさり」のスープを半々に混ぜた「2号」(別名「屋台ラーメン」、「こっさり」あるいは「マイルド」)というのもある。もともとは、"裏メニュー"だったが(「こってり」が「1号」、「あっさり」が「3号」という厨房の符丁が有り、そこから来ている)、最近、多くの店でメニューに記載されるようになった。メニューに記載がない店でも、「中間」あるいは「二番」と言えば、大抵は作ってくれる。
- また、店によっては裏メニューとして「超こってり」を出す店もある。「天下一品に「超こってり」があった!」製法はこってり用のスープを小鍋に取り煮詰める、というもの。ただ、これは天下一品本部未公認であり、数店舗しか対応していないようだ。
[編集] サービスとその変遷
- カウンターにはスープのタレが置かれており、味の微調整をすることができる(置いてない店舗もあり)。また、前述の唐辛子入りのおろしニンニクや、発酵した芳香のあるからし味噌(唐辛子入りの味噌)が備えられているのも特徴である。
- 1985年頃までは基本的に各店舗でスープを仕込んでいたため、チェーンといえども各店舗ごとに味のばらつきがあった。仕込鍋の中のスープにはスープを煮出す材料がふんだんに投入されており、そのまま丼に入れると、元が何かわからない細かいものが浮いていたが、後に、丼投入時には笊で漉すようになった。現在のスープは関連会社「株式会社タック・フーズ」のセントラルキッチンで仕込んだスープを真空パックで各店舗に配送し、各店舗ではこの真空パックのスープを元に濃度や味の調整を行った上で提供している。セントラルキッチン方式にも関わらず店舗によって(以前に比べれば統一されているとは言え)味にバラつきがあるのは、この調整(具体的には元ダレの量や、加温方法など)について店の裁量に任されている部分が大きい為である。現在は経営が大きく分けて直営店・フランチャイズ店の2系統の店舗があり、価格設定が異なる場合がある。提供されるメニューもフランチャイズ店などにおいては、サブメニューが多かったり、またランチバイキングを行っている店舗もある。
- 当初、北白川総本店をはじめとした直営店においては青ネギは青いプラスチック製のザルに入れて供され、自由に入れることができた。最近は北白川総本店においてもこのネギの入ったザルは姿を消し、一部の直営店でしか見ることはできない。また、ゆで卵を食べ放題とする店舗もある。
- 2007年より、従来のストレート麺の他に、縮れ麺が選択できるようになった(縮れ麺は数量限定、置いてない店舗もあり)。
[編集] CM
テレビCMには、過去に河内家菊水丸や筒井康隆が出演しており、現在はベッキー(「味がさね」のイメージキャラクターだったが、以降も継続してCMに出演)が出演したバージョンが放送されている。CMには、しばしば、創業社長の木村勉も出演している。またハワイで放送されているローカルCMには、元横綱の武蔵丸光洋が出演している。
[編集] 天一の日
毎年10月1日は天一の日として各店舗でキャンペーンが行われる。麺類や麺類を含む定食を注文すると、1ヶ月間有効のラーメン1杯無料券が貰えるというもの。翌日からの1週間はスピードくじが配布される。2005年はストラップや100円割引券などが景品だった。過去には店の丼を模した小型の丼などの景品もあった。
[編集] 外部リンク
- 天下一品公式サイト
- 天下一品西日本 - 中四国・九州の店舗を直営・フランチャイズする「ベスト天下一品」のウェブサイト
- 天下一品みゅうじあむ - 東京の天下一品ファンのサイト
[編集] 脚注
- ^ 木村は最後には自らが使っていた布団をも質屋に持ち込んだが、流石に質屋はそれを担保にとらず、信用で金を貸してくれた。