多田富雄
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多田 富雄(ただ とみお、1934年3月31日 - )は、日本の免疫学者。
[編集] 来歴・人物
茨城県結城市出身。千葉大学医学部卒業後、千葉大学、東京大学教授、東京理科大学生命科学研究所所長を歴任。1971年に抑制T細胞を発見するなど免疫学者として活躍する傍ら、能の作者として知られ、脳死の人を主題にした『無明の井』、朝鮮半島から強制連行された人を主題とした『望恨歌』、アインシュタインの相対性理論を主題とした『一石仙人』、広島の被爆を主題とした『原爆忌』がある。『免疫の意味論』(青土社、1993年)で大佛次郎賞、『独酌余滴』(朝日新聞社、1999年)で日本エッセイスト・クラブ賞をそれぞれ受賞。その他にも朝日賞(1981年)、文化功労者などを受賞。共著・編著などの著作が多数ある。
2001年に滞在先の金沢にて脳梗塞となり声を失い、右半身不随となるが執筆力は衰えず、往復書簡として鶴見和子と『邂逅』(藤原書店)、柳澤桂子と『露の身ながら』(集英社)をそれぞれ刊行している。
2006年にはリハビリ制度打ち切り反対運動の先駆者としても話題となった。
[編集] 主な著書
単著
- 『イタリアの旅から』(誠信書房)
- 『免疫の意味論』(青土社)
- 『ビルマの鳥の木』(日本経済新聞社)
- 『生命の意味論』(新潮社)
- 『独酌余滴』(朝日新聞社)
- 『私のガラクタ美術館』(朝日新聞社)
- 『免疫の「自己」と「非自己」の科学』(NHKブックス・日本放送出版協会)
- 『脳の中の能舞台』(新潮社)
- 『懐かしい日々の想い』(朝日新聞社)
- 『歌占 多田富雄全詩集』(藤原書店)
- 『寡黙なる巨人』(集英社)
- 『わたしのリハビリ闘争』(青土社)
共著
- (中村桂子・養老孟司)『「私」はなぜ存在するのか』(哲学書房)
- (南伸坊)『免疫学個人授業』(新潮社)
- (山折哲雄)『人間の行方』(文藝春秋)
- (鶴見和子)『邂逅』(藤原書店)
- (柳澤桂子)『露の身ながら』(集英社)
編著