地方入国管理局
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地方入国管理局(ちほうにゅうこくかんりきょく;Regional Immigration Bureau)は、日本の法務省の地方支分部局の一つ。管区(ブロック)ごと8か所に本局が置かれ、主として出入国管理及び難民認定法に基づく出入国管理、在留審査・審判、違反審査・審判、違反調査・収容、被収容者の処遇・執行、難民認定等の行政事務を担当する。略称は地方入管局。単に入管と略することもある。
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[編集] 概要
法務省の内部部局である入国管理局(法務省入国管理局)が、一般への窓口を持たず、国会対応、法案・政策立案、外国機関との折衝、特異・困難事例(いわゆる進達事案)の法務大臣決裁の補助など上級庁としての業務を行うのに対し、地方入国管理局は、窓口を持ち、日本への入国を目的とする外国人、既に日本に在留中の外国人、出入国管理制度に違反した在日・滞日外国人、さらには難民条約・難民議定書上の難民を主張する外国人(又はそれらの代理人等)からの申請を受け、その審査・調査・許認可・摘発等の、いわゆる「現場」の業務を取り扱うほか、入国者収容所へ収容される外国人の過渡的な収容施設として「収容場(しゅうようば)」を持ち、その処遇等にも当たる。
地方入国管理局という呼称は総称であり、個別具体的な名称は「東京入国管理局」のように「地方」を省いて代わりに都市名の地名部分を冠したものとなっている(ただし、英語名称では Regional は外さず地名を冠する)。本局出張所・支局には本局の名称を、支局出張所には本局及び支局の名称をそれぞれ冠する。他省庁の大半の地方支分部局と同様、正式な辞令には「法務省」は冠されない(法務省が冠されるのは法務本省の入国管理局のみ)。旧組織(後述)については、それぞれ「出入国管理庁東京出張所」、「入国管理庁東京出張所」、「東京入国管理事務所」のように称した。
密接に関連する官署として、法務省の施設等機関である入国者収容所(入国管理センター)がある。地方入国管理局の職員にとって、他省庁あるいは(同じ法務省にあっても)法務局等への異動は出向(人事交流)とみなされるのに対し、入国者収容所は本省入国管理局とともにいわば通常の人事異動の範囲内の官署として認識されている。
[編集] 沿革
- 1949年(昭和24年)8月10日 - 出入国の管理に関する政令(昭和24年政令第299号)等により、各地の税関に税関職員の一つとして入国監理官(Immigration Official、定数30人以内、1950年4月1日定数60人以内に増員)が置かれる。この時点では中央組織として外務省管理局入国管理部はあったが、独自の地方組織は置かれなかった。
- 1950年(昭和25年)10月1日 - 出入国管理庁設置令(昭和25年政令第295号)により、税関の入国監理官を出入国監理官(Immigration Official、定数120人以内)に改めるとともに、外務省の外局として出入国管理庁を設置、同庁に入国審査官、入国審査官補、入国警備官及びそれらを配置する地方支分部局として5出張所(Local Station、東京、神戸、松江、下関、福岡)が置かれる。
- 1951年(昭和26年)4月1日 - 地方支分部局が11出張所(仙台、東京、横浜、名古屋、神戸、高松、松江、下関、福岡、大村、鹿児島)に拡充される。
- 1951年(昭和26年)11月1日 - 出入国管理令(昭和26年政令第319号)及び入国管理庁設置令(昭和26年政令第320号)により、出入国監理官及び出入国管理庁を廃し、外務省の外局として入国管理庁(Immigration Agency)を設置、従前の11出張所を改めて入国管理庁の地方支分部局として規定。
- 1952年(昭和27年)4月28日 - 札幌出張所が新設される(建制順は筆頭。12出張所体制)。
- 1952年(昭和27年)8月1日 - 法務府の法務省への改称に伴い、入国管理庁を廃し、法務省の内部部局として入国管理局が設置され、法務大臣の管理に属する地方支分部局として12入国管理事務所(Immigration Office、従前の出張所を事実上継承)が置かれる。
- 1955年(昭和30年)8月1日 - 大村入国管理事務所を廃し、大阪入国管理事務所が新設される(建制順は名古屋の次。12事務所体制は変わらず)。
- 1957年(昭和32年)7月1日 - 松江入国管理事務所を廃し、広島入国管理事務所が新設される(建制順は高松の次。12事務所体制は変わらず)。
- 1961年(昭和36年)6月5日 - 東京国際空港供用開始に伴い、羽田入国管理事務所が新設される(建制順は東京の次。13事務所体制)。
- 1972年(昭和47年)5月15日 - 沖縄の本土復帰に伴い、那覇入国管理事務所が新設される(建制順は末尾。14事務所体制)。
- 1978年(昭和53年)5月20日 - 新東京国際空港の供用開始に伴い、羽田入国管理事務所を廃し、成田入国管理事務所が新設される(建制順は東京の次。14事務所体制は変わらず)。
- 1981年(昭和56年)4月1日 - 行政機構改革により、14入国管理事務所が8地方入国管理局(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)及び2支局(District Office、東京に成田、福岡に那覇)に再編される。
- 1982年(昭和57年)4月6日 - 旧入国管理事務所でありながら出張所となっていた横浜と神戸が支局となる(東京に横浜(東京の支局建制順筆頭)、大阪に神戸。8本局4支局体制)。
- 1987年(昭和62年)5月21日 - 審査担当部署への専門官制導入に伴い、それまでの課制(審査第一課など)が首席審査官(○○部門)へ変更される(総務・経理・警備等の課等はそのまま)。
- 1994年(平成6年)9月4日 - 関西国際空港の供用開始に伴い、大阪入国管理局に関西空港支局が新設され(大阪の支局建制順筆頭)、名称の均衡上、成田支局が成田空港支局へ改称となる(8本局5支局体制)。
- 1998年(平成10年)4月9日 - 警備担当部署への専門官制導入に伴い、それまでの課制(警備第一課など)が首席入国警備官(○○部門)へ変更される(総務・経理等の課等はそのまま)。
- 2001年(平成13年)1月6日- 中央省庁再編により、(新)法務省の地方支分部局として新設(事実上の存続)。建制順が北南順(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)となる。東京の支局は成田空港、横浜の順に入替え。大阪の支局は関西空港、神戸の順のまま。
- 2005年(平成17年)2月17日 - 中部国際空港の供用開始に伴い、名古屋入国管理局に中部空港支局が新設される(8本局6支局体制)。
[編集] 職員
- 幹部である本支局長・次長・審査監理官には入国審査官が、警備監理官には入国警備官(警備監)が、それぞれ充てられる。
- 総務・人事・経理・登録等に関する課等においては、課長・課長補佐(相当職含む。)・係長には法務事務官が、係員には原則として入国審査官が充てられる。
- 審査・実態調査・審判・鑑識等に関する部門においては、首席審査官(課長相当職)以下ほぼ全員が入国審査官により占められる(勤務年数の短い職員は法務事務官)。
- 警備・違反調査・処遇・執行等に関する部門においては、首席入国警備官(課長相当職)以下ほぼ全員が入国警備官により占められる。
- 出張所など人員が限られた官署にあっては、これらの原則を踏まえつつ、場合により併任発令による兼務も行われる。
- その他、他官庁と同様にいわゆる非正規雇用職員(事務補佐員など)も適宜配置される。
[編集] 本局及び支局の配置
- 各種手続・申請は原則として居住地を管轄する地方入管局の官署で行う。支局の管轄内に居住する者は本局への申請等も可能であるが、その逆(支局管轄外で本局管轄内の者による支局への申請等)はできない。
- 支局・出張所のうち名称に「空港」のあるものは原則として在留審査は取り扱わない。
- 一部の申請・手続については省令等で取扱庁が(大規模官署に)限定されている場合があり、全ての申請が出張所を含む全官署で可能という訳ではない。
幹部 |
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法務大臣 - 法務副大臣 - 法務大臣政務官 - 法務事務次官 |
内部部局 |
大臣官房(司法法制部) - 民事局 - 刑事局 - 矯正局 - 保護局 - 人権擁護局 - 入国管理局 |
審議会等 |
司法試験委員会 - 検察官適格審査会 - 中央更生保護審査会 - 日本司法支援センター評価委員会 - 法制審議会 - 検察官・公証人特別任用等審査会 |
施設等機関 |
刑務所 - 少年刑務所 - 拘置所 - 少年院 - 少年鑑別所 - 婦人補導院 - 入国者収容所 - 法務総合研究所 - 矯正研修所 |
特別の機関 |
検察庁 |
地方支分部局 |
矯正管区 - 地方更生保護委員会 - 法務局 - 地方法務局 - 地方入国管理局 - 保護観察所 |
外局 |
公安審査委員会 - 公安調査庁 |
関連項目 |
法務省設置法 |