圧送式サイクル
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圧送式サイクルまたはガス押し式サイクルとは、ロケットエンジンの動作方式の1つである。推進剤タンクに別系統の高圧ガスを加え、燃料と酸化剤を燃焼室に供給する。ガス圧式サイクルは最も単純で、低コストな2液推進系ロケットエンジンの形式である。
この方式の利点は、タービンやポンプなどといった、複雑なシステムを導入する必要がないことである。一方短所としては、供給圧力をあまり高くすることができずエンジンの効率が低いことである。供給圧力を高めようとすれば高圧ガスのタンクそのものやガスの圧力に耐える推進剤タンクの質量が大きくなり、極めて非効率なものになる。
商用ロケットの1つであるファルコン1の上段エンジン、ケストレルはガス押し式サイクルの一例である。また、スペースシャトルのOMS/RCSやその他のロケットの姿勢制御エンジンのような、推力や比推力は多少小さくとも良いが確実な動作が求められるエンジンに用いられる。