国際協力機構
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独立行政法人国際協力機構(こくさいきょうりょくきこう、英語表記:Japan International Cooperation Agency)は、独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)に基づいて、2003年(平成15年)10月1日に設立された外務省所管の独立行政法人。略称はJICA(ジャイカ)で、こちらの方が親しみを込めてよく使われている。
前身は国際協力事業団(こくさいきょうりょくじぎょうだん)で外務省所管の特殊法人であった。
開発途上地域等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的としている。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 代表者
[編集] 本部
[編集] 沿革
- 1954年4月 - コロンボ・プラン加盟、日本の技術協力事業の開始
- 1962年6月 - 海外技術協力事業団(OTCA)設立
- 1963年7月 - 海外移住事業団(JEMIS)設立
- 1965年4月 - 日本青年海外協力隊(JOCV)発足
- 1974年8月 - 海外技術事業団と海外移住事業団が統合、国際協力事業団(JICA)設立
- 1987年9月 - 国際緊急援助隊(JDR)発足
- 1989年 - ODA拠出額がアメリカを抜いて世界一位になる。
- 1990年4月 - シニア協力専門家(シニア海外ボランティア)派遣事業開始
- 2003年10月 - 独立行政法人国際協力機構発足
- 2006年11月 - 「独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律」成立
2006年5月26日付けで成立した「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行政改革推進法)に基づき、第165回国会(臨時国会)において、2006年11月8日付けで、「独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律」が成立し、別に法律で定める日(新政策金融機関の発足日(平成20年度)を想定)より、国際協力銀行(JBIC)の海外経済協力業務(同行が設立される以前は同行の前身のひとつである旧海外経済協力基金(OECF)が担当していた)は新JICAに承継されることとなった。なお、政府は、国際協力銀行の国際金融等業務(同行が設立される以前は同行の前身のひとつである旧日本輸出入銀行が担当していた)については新政策金融機関に承継する方針を既に決めており、平成19年通常国会への法案の提出を予定している。
政府は、「独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律」の法案提出理由において、「政府開発援助をより効果的かつ効率的に実施するため、独立行政法人国際協力機構について、国際協力銀行の海外経済協力業務を同銀行から移管するとともに、無償の資金供与による協力の実施に関する業務を新たに追加する等の措置を講ずる必要がある。」と説明している。
[編集] 事業内容
JICAは政府開発援助(ODA)の実施機関の一つであり、技術協力と無償資金協力の一部を担っている。JICAの主要事業は開発途上国の人材開発、組織強化などを目的とする技術協力プロジェクト、途上国の政府の開発政策策定や開発事業計画に資するためのマスタープラン調査やフィージビリティ調査の実施などである。このほかの事業である青年海外協力隊、シニア海外ボランティアや、海外で大規模自然災害などが発生した際に派遣する国際緊急援助隊などは日本国内でもよく知られている。
事業内容は多岐にわたっており、その基本は「人を通じた国際協力」である。JICAは政府開発援助の実施機関として、対象地域や対象国、開発援助の課題などについての調査や研究、JICAが行うODA事業の計画策定、国際協力の現場での活動を行う人材の確保や派遣、事業管理、事業評価などの役割を担っている。
JICAは、開発途上国の現場において、相手国の人々と共に働き汗を流しながら開発援助活動を直接担当する国際協力の専門家や開発援助コンサルタント、ボランティアなどの人選や派遣を行う。JICAが日本と途上国の人々との架け橋となっていると言われる所以である。
無償資金協力事業に関しては、予算、案件の採択権限に加えて個別の案件の実施そのものがいまだ外務省の所管となっており、JICAは「実施促進」を担っている。このわかりにくさが既述の改革(2008年の無償資金協力予算の一部(約6割に相当)のJICAへの統合)につながったものと考えられている。
[編集] 主な事業
[編集] 専門家派遣
開発途上国や国際機関の要請をうけて派遣される。専門家は関係省庁の推薦・一般からの公募・専門家登録制度に登録している人から選ばれる。一年以上の長期派遣と、一年未満の短期派遣がある。
[編集] ボランティア派遣
- 青年海外協力隊
- シニア海外ボランティア
- 日系社会青年ボランティア
- 日系社会シニア・ボランティア
[編集] 研修員受け入れ
- 日本国内での研修
- 「集団型研修」
- 「分野別集団コース」
- 対象を全世界とし、それぞれの分野課題の解決のために実施する研修コース。
- 定員はコースにより異なるが、4~15名程度で、平均的には10名程度である。期間もコースにより異なり、3週間程度~約1年と幅がある。
- 「国別・地域別コース」
- 特定の国や地域の課題に対応するために実施される研修コース。
- 「分野別集団コース」
- 「個別型研修」
- 主としてプロジェクトのカウンターパートに特定の技術についての研修を実施するためのコース。
- 「集団型研修」
[編集] JICA関係法令および条文の解説
- 国際協力機構法 (平成14年12月6日 法律第136号)
- (English Translation) Law concerning the Independent Administrative Institution Japan International Cooperation Agency (Law No.136 of December 6, 2002)
- 国際緊急援助隊の派遣に関する法律 (昭和62年9月16日 法律第93号)
- 国際協力機構法施行令 (平成15年9月12日 政令第409号)
- 国際協力機構の設立に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令 (平成15年9月12日 政令第410号)
- 独立行政法人の組織、運営及び管理に係る共通的な事項に関する政令 (平成12年6月7日 政令第316号)
- 国際協力機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令 (平成15年9月30日 外務省令第22号)
- 国際協力機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令の特例を定める省令 (平成15年9月30日 外務・農林水産・経済産業省令第1号)
- 政府開発援助大綱 (平成15年8月29日 閣議決定)
[編集] JICAが派遣した技術協力専門家・コンサルタントが巻き込まれた事件
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 国際協力銀行(JBIC)
- 国際交流基金(Japan Foundation)
- 日本国際協力システム(JICS)
- キルギス日本人誘拐事件(1999年にJICA派遣技師が誘拐された事件)
- 国際緊急援助隊(JDR)
[編集] 外部リンク
- JICA-国際協力機構
- 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案の採決について
- 独立行政法人国際協力機構法(JICA法)改正法の成立に際して
- 「独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律」の成立について
- 東洋経済新聞社
- 海外移住資料館 Japanese Overseas Migration Museum
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外務省設置法 - 国際協力銀行 - 日本国際協力システム |