固定翼機
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固定翼機(こていよくき)とは
1. 主翼が機体に対して固定されており、機体が前進することによって揚力を発生させ飛行する航空機のこと。
2. 上記(1)の定義に含まれる航空機をさらに分類して、折りたたみ翼といった翼の形状変更機能を持たない航空機を、折りたたみ翼を持つ航空機と区別する際の呼称である。主に軍事用語である。ただし可変翼機は翼の形状を変更できるが固定翼機とされる場合が多い。
[編集] 固定翼機 (1)の特徴
ふつう飛行機とグライダー、超軽量動力機を指し、ヘリコプターなどの回転翼機に対する語として用いられる。プロペラ機・ジェット機などがある。初期の重航空機はすべてこれである。当初は回転翼機のように、推力で機体を持ち上げるという動作が、エンジンの推力の限界があったため不可能だったためである。
利点としては、ヘリなどの回転翼機には決して出すことができない速度と、その推進力を生かした高い輸送能力がある。また、回転翼機とは比べ物にならないほど大型の機体を製作可能という点もある。なお、グライダーは基本的にすべて固定翼機であるが、これは高強度、軽量という2つの要素を満たす必要があるためである。
ただし、多くの回転翼機がVTOL(垂直離着陸)を前提としているのに対し、固定翼機はハリアーやV-22といった特殊な機体を除いて、そのほとんどが離着陸に滑走路、およびそれに順ずるもの(飛行場、空港)を必要とする。
[編集] 固定翼機 (2)の特徴
艦上機は限られたスペースで駐機する必要性、特に横幅サイズがエレベーターのサイズを超えてはならないという制限があるため、ほとんどが折りたたみ翼を採用している。ただし折りたたみ翼やそれに順ずる機構を持つ機体は、その機構のため翼の強度がおおむね低く、翼下に重たいものを乗せることができないことや、生産工程が複雑化するため高コストになるといった弱点がある。
固定翼機は当然ながらこれらの問題点がなく、駐機スペースを気にする必要がない陸上機のほとんどが固定翼機であり、あえてそれを特筆する意味も無い。よって固定翼機である事が特筆されるのは、艦上機の場合である。
代表的な例としては、アメリカ海軍のA-4がある。この機体は極度の小型化に成功、そのため折りたたみ翼を使用する必要がなくなり翼の強度が増加、機体規模の割に兵装搭載量も高くなっている。
また可変翼(可変後退翼)機は「翼を固定していない」のであるが、折りたたみ形式ではない事を理由に、固定翼機に分類される事が多い。可変翼の機体の最大の利点に、高速巡航時などには後退角を大きくとり、低速巡航や離着陸時など揚力を大きくとりたい場合や、後退角の失速特性の改善、航続距離の延長などを行いたい時はは角度を小さくしてこれを得ることができるというものがあるが、それと同時に最大後退角にしておけば占有スペースを小さくできるという利点がある。ただし、その機構のため重量も増加する上に、後退角の制御に高度な電子機器を必要とする場合が多く、また生産工程が複雑なためおおむね高コストになるという弱点がある。
ボーイング777は、オプションとして翼の折りたたみ機能を有しているため、陸上機・民間の大型機としては珍しく固定翼機 (2)に分類されない可能性がある機体である。ただし、実際はこのオプションが採用されたことはなく、現在のすべてのボーイング777は固定翼機 (2)である。