劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス
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『劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス』(げきじょうばんポケットモンスター みずのみやこのまもりがみ ラティアスとラティオス)とは、テレビアニメ『ポケットモンスター』の映画版第5作目である。2002年7月7日に公開された。同時上映作品は『ピカピカ星空キャンプ』。
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[編集] あらすじ
旅を続けるサトシ達一行は水の都と呼ばれる美しい町・アルトマーレにやって来ていた。
サトシとカスミはそこで行われる水上レースに参加する。その時ひょんなことからサトシは伝説のポケモンラティアスに出会う。
博物館で出会った少女カノンにこの町に伝わる御伽話を聞かされるとサトシはこの町に忍び寄る不穏を感じ取るのだった。
[編集] 概要
- 邦画興行収入26億円を記録。2002年邦画興行収入4位。
- 映画公開記念として、ラティアスとラティオスをデザインしたゲームボーイアドバンスが発売された。(現在生産中止)
- 劇中で使われている「ひとりぼっちじゃない」は表記通り映画バージョンであり、「ポケットモンスター映画主題歌ソング集パーフェクトベスト」などに収録されている。対してマキシシングル「ひとりぼっちじゃない」(2002年7月10日発売。現在廃盤)に収録されている「ひとりぼっちじゃない」は同曲のオリジナルであり、一部歌詞が異なる。
- 作品の舞台であるアルトマーレはイタリア語で意訳すると「永遠なる海」。
- アルトマーレのモデルとなった街はヴェネツィアであり、舞台のモデルに実在する町が使われたのは本作から。
- 主役ポケモンであるラティアス(latias)と同名のワインが存在する。
- また、ラティオ(ratio)とはラテン語で「道理 分別 理性 手段 法律」等様々な意味を持ち、加えてイタリアにはラツィオ(Lazio)と言う名の州も存在(尚、ラツィオ州の県の一つにラティーナと言う名の県も存在)する。アルトマーレのモデルがヴェネツィアであると言う事を踏まえると、少なくてもこれらのいずれかがラティオスの語源となっていると推測される。余談では在るがラティオスの綴りは「latios」である。上記の通りラテン語に於けるラティオは「ratio」である為、注意されたい。
- 2005年公開の劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオのエンディングクレジット中に、アルトマーレと思われる街が登場する。
- また、これの主題歌「ひとりぼっちじゃない」は、ポケモンファンから高い支持を得ている。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 作品概要
ポケットモンスター無印編の劇場版最終作品。無印編以降ポケットモンスターアニメの作風が徐々に変化していく為、本作は重要な節目の作品と言える。また実在する町をモデルにした最初の作品であるというだけあり、町並の演出やシナリオの雰囲気が独特であることに定評がある。そうした雰囲気を重視した作品の映画らしい芸術的な作品性が、これまでの映画版にない本作の特徴の一つである。
ストーリーの基本構造としては映画版第2作『ルギア爆誕』と酷似しており、「一部の身勝手な大人が強大な力を得ようとして、世界が破滅の危機を迎える」という教訓めいたものを含んでいる(同種であることを暗示するかのように、エンディングで『ルギア』に登場したジラルダンの顔写真などが出現する)が「心のしずく」の存在からも本作のテーマはより繊細な追求にいたっている。
もっとも、綿密な「役割分担」が行われていなかったり、破滅の規模がアルトマーレだけに留まったため、各登場人物の個性がいまいち出ていなかったり、話全体としておちついたものになっている。それを反映してか、好評のわりに邦画興行収入は劇場版ポケットモンスターシリーズの中でも最下位だった。
なお、ポケモンが人間に変身するのはこの作品が初であり、アップでのキスシーンもこの作品が初である。 キスシーンに関しては、カノンに変装しているラティアスがしたのか、本物のカノンがしたのかが話題になった。
[編集] 主な登場キャラクター
以上の人物については、ポケットモンスター (アニメ)の登場人物を参照のこと。
- カノン:折笠富美子
- 祖父のボンゴレと共に「こころのしずく」を守る、絵を書くことが大好きな長身の美少女。劇中ではラティアスがカノンに度々変身するが、帽子を被っているのがカノン自身で、被っていないのがラティアス。
- ボンゴレ:グッチ祐三
- アルトマーレのゴンドラ職人で、カノンの祖父。「こころのしずく」をカノンと共に守っている。
- ザンナー:神田うの
- 怪盗姉妹の姉。宝石などの金品を好む。自らの容姿に心酔している。使うポケモンはエーフィ。
- リオン:釈由美子
- 怪盗姉妹の妹。姉とは違い、宝石などの金品には興味が無い。使うポケモンはアリアドス。
- ロッシ:山寺宏一
- 水上レースの前大会優勝者。レース時のパートナーはホエルコ。カスミが優勝した際には、餞別としてゴンドラに乗せてくれるなど、気前の良い人物。
- ラティアス:林原めぐみ
- 水の都「アルトマーレ」に住まう伝説のポケモン。ラティオスと共に「水の都の護神」と呼ばれ、「秘密の庭」に住まう。大昔、街に齎された「こころのしずく」を代々護って来た。水上レース中、壁に激突しそうになったサトシを助け、その後水道を使いたがっていたピカチュウの為に水を出してあげるなど、心優しい性格。また、好奇心旺盛で、カノンに変身して秘密の庭から出て街を散策する事もある。サトシの人間性を感じたのか彼に好意を持ち、自分達が住んでいる秘密の庭に導く。ラティオスとはとても仲の良い兄妹で、劇中の前半部分ではその仲の良さが強く描かれている。
- ラティオス:江原正士
- ラティアスと共にアルトマーレに住まう伝説のポケモン。ラティアス同様「こころのしずく」を代々護っている。サトシが初めて庭を訪れた際は、全力で追い払おうとしたが、誤解が解けた後は傷付いたピカチュウを気遣い、遊びに付き合ってあげたり、ラティアスの悪戯で空中から落とされたサトシを受け止めたりする等、素直な優しさも見せるようになる。非常に妹想いであり、怪盗姉妹の秘密の庭への襲撃時、自らの身が傷付く事を厭わずラティアスを庇い、逃がした。物語終盤では、傷付きながらも街を護る為に津波に立ち向かう。
[編集] 主題歌
[編集] オープニングテーマ
[編集] 挿入歌
- 「SECRET GARDEN」
- 作詞:Natsumi Watanabe/作曲・編曲:宮崎慎二/歌:MADOKA
[編集] エンディングテーマ
[編集] スタッフ
- 原案:田尻智
- スーパーバイザー:石原恒和
- アニメーション監修:小田部羊一
- エグゼクティブプロデューサー:久保雅一、川口孝司
- プロデューサー:吉川兆二、松追由香子、盛武源
- アニメーションプロデューサー:奥野敏聡、神田修吉
- 脚本:園田英樹
- 絵コンテ:湯山邦彦
- 演出:日高政光、越智浩仁、吉村章、井硲清高
- キャラクターデザイン:一石小百合、松原徳弘、玉川明洋
- 総作画監督:玉川明洋
- 色彩設計:吉野記通、佐藤美由紀
- 美術監督:金森勝義
- 撮影監督:白川久男
- 音楽:coba、宮崎慎二
- 音楽プロデューサー:斎藤裕二、たなかひろかず
- 音響監督:三間雅文
- アニメーション制作:OLM
- 制作:小学館プロダクション
- 監督:湯山邦彦
- 製作:ピカチュウプロジェクト2002
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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◆ 総監督(10作品共通):湯山邦彦 | |
無印 | (1998) ミュウツーの逆襲 - (1999) ルギア爆誕 - (2000) 結晶塔の帝王 - (2001) 時を超えた遭遇 - (2002) 水の都の護神 |
アドバンスジェネレーション | (2003) 七夜の願い星 - (2004) 裂空の訪問者 - (2005) 波導の勇者 - (2006) 蒼海の王子 |
ダイヤモンド&パール | (2007) ディアルガVSパルキアVSダークライ - (2008) 氷空の花束 |
短編 | (1998) ピカチュウのなつやすみ - (1999) ピカチュウたんけんたい - (2000) ピチューとピカチュウ - (2001) ドキドキかくれんぼ - (2002) ピカピカ星空キャンプ - (2003) 踊るポケモン秘密基地 - 3D-ミュウを探せ! - 3D-海底大冒険 |
長編主題歌 | (1998) 風といっしょに(小林幸子) - (1999) toi et moi(安室奈美恵) - (2000) 虹がうまれた日(森公美子) - (2001) 明日天気にしておくれ(藤井フミヤ) - (2002) ひとりぼっちじゃない(宮沢和史) - (2003) 小さきもの(林明日香) - (2004) 夢見るLOVELYBOY (Tommy february6) - (2005) はじまりのうた (PUFFY) - (2006) 守るべきもの (Sowelu) - (2007) Be With You (Sarah Brightman) - (2008) ONE (Crystal Kay) |