今昔百鬼拾遺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)は、1780年(安永10年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集。
「雲」「霧」「雨」の三部構成となっている。本作で描かれている妖怪には、実際の伝承にあるものではなく、石燕が創作したものも多く含まれている。また『画図百鬼夜行』、『今昔画図続百鬼』、本作、『画図百器徒然袋』とある石燕の作品の中で唯一、本作は彩色版があったとの説もある[1]。
目次 |
[編集] 収録作品
[編集] 雲
- 蜃気楼(しんきろう)
- 燭陰(しょくいん)
- 人面樹(にんめんじゅ)
- 人魚(にんぎょ)
- 返魂香(はんごんこう)
- 彭侯(ほうこう)
- 天狗礫(てんぐつぶて)
- 道成寺鐘(どうじょうじのかね)
- 燈台鬼(とうだいき)
- 泥田坊(どろたぼう)
- 古庫裏婆(こくりばば)
- 白粉婆(おしろいばば)
- 蛇骨婆(じゃこつばば)
- 影女(かげおんな)
- 倩兮女(けらけらおんな)
- 煙々羅(えんえんら)
[編集] 霧
- 紅葉狩(もみじがり)
- 朧車(おぼろぐるま)
- 火前坊(かぜんぼう)
- 蓑火(みのび)
- 青行燈(あおあんどん)
- 雨女(あめおんな)
- 小雨坊(こさめぼう)
- 岸涯小僧(がんぎこぞう)
- あやかし
- 鬼童(きどう)
- 酒呑童子に捕えられていた女が産んだ、酒呑童子の子。父を討った源頼光の命を狙ったが、失敗して斬り殺された。
- 鬼一口(おにひとくち)
- 『伊勢物語』で男が鬼に一口で食べられる話を描いたもの。解説ではこの男は在原業平とされている。
- 蛇帯(じゃたい)
- 小袖の手(こそでのて)
- 小袖(袖下の短い着物)から持ち主の執念のように細長く白い手が現れたもの。ある娘が買った古着を着ると病気になってしまった。そこで、古着を吊るしておくと袖から白い手が出てきたと言う。寺に納めたところ、娘の病気は回復した[2]。
- 機尋(はたひろ)
- 大座頭(おおざとう)
- 火間蟲入道(ひまむしにゅうどう)
- 殺生石(せっしょうせき)
- 風狸(ふうり)
- 茂林寺釜(もりんじのかま)
[編集] 雨
- 羅城門鬼(らじょうもんおに)
- 夜啼石(よなきのいし)
- 芭蕉精(ばしょうのせい)
- バショウの精霊が人の姿となって現れたもの。
- 硯の魂
- 屏風覗(びょうぶのぞき)
- 屏風の外から人を覗きこむ妖怪。石燕の創作。
- 毛羽毛現(けうけげん)
- 目目蓮(もくもくれん)
- 狂骨(きょうこつ)
- 目競(めくらべ)
- 後神(うしろがみ)
- 否哉(いやや)
- 方相氏(ほうそうし)
- 四つ(あるいは六つ)の目を持つ鬼神。右手の神剣で魔を打ち払う。夜になると現れ、出会った人が怖がらなければ何もしないが怖がると刀で斬り付けて立ち去ってしまう。しかもその傷口は治ることなく徐々に腐っていくという。
- 滝霊王(たきれいおう)
- 白沢(はくたく)
- 隠里(かくれざと)