一本足打法
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一本足打法(いっぽんあしだほう、またはフラミンゴ打法) とは、野球においての打撃フォームの一つ。投手の投球に合わせて、足を高く上げてテークバックをする際に、片方の足(一本足)のみで立つ状態から。
[編集] 解説
投手の投球フォームに合わせて投手側の足を高く上げる打法。習得が難しいが本塁打を打つには適した打法、と言われるが実際は足を高く上げてボールを手元まで引き付ける、あるいは人によってはタイミングを取りやすくするのが目的な為、そういう訳ではない。しかしこのフォームを行うのはホームランバッターが多い。これは足を上げることにより体にタメを作ることができるためだと思われる。ちなみにどうしても動作が大きくなるために150kmを超えるような速球や、手元で鋭く変化する球への対応が難しくなるため、メジャーリーグではあまり良いものとされない(実際、日本人打者がメジャーに移籍して構えが小さくなるケースが多々見られる)。
更にバットを持つグリップの高さが低い位置にあるのも特徴的である。グリップの位置はバックスイングからステップに入るまで絶対に変わらない。精密機械を思わせる一本足フォームの原点は、グリップに隠されている。それは一本足打法が、「パワーや遠心力でボールを飛ばす打法ではなく、タイミングで打つ打法」であることを示している。半ば自動的にシンクロが掛かるため、長打力と打率の両方を併せ持った打者が目立つ。
一本足打法を採用している選手は多いが、下半身への負担が強く、軸がぶれる可能性が高いことから、「どの打法よりも1番会得が難しい」と言う意見もある。意外にも王の全盛時代に巨人監督だった川上哲治は一本足打法に否定的な考えを持っている。川上は、王が一本足打法を試行していたのはあくまでボールをとらえるタイミングを自分の物にするためで、それさえ会得すればすぐ二本足に戻すものだと思っており、最後まで一本足を貫き通してはるかな高みに登りつめた事に呆れさえ感じたという(文春ビジュアル文庫「豪打列伝」長嶋&王の項より)。最近の王に関するテレビ番組でも「あれで成功した王はすごい。難しいですよ、一本足打法なんてのは」と語っている。
実際、王貞治に一本足打法を指導した荒川博は駒田徳広ほか多くの選手に一本足打法を伝授しようとしたが、ほとんどものにならなかった。
[編集] 一本足打法で有名なプロ野球選手
- 王貞治(元巨人選手~巨人監督~現ソフトバンク監督)
- 片平晋作(元南海~西武~大洋)
- 大豊泰昭(元中日~阪神)
- 立浪和義 (中日)
- 田中幸雄(日本ハム)
- 高橋由伸(巨人)
- 小久保裕紀(ダイエー~巨人~ソフトバンク)