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ヴェラ・コンスタンチノヴナ - Wikipedia

ヴェラ・コンスタンチノヴナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヴェラ・コンスタンチノヴナ
ヴェラ・コンスタンチノヴナ

ヴェラ・コンスタンチノヴナラテン文字表記:Vera Konstantinovna, ロシア語表記:великая княгиня Вера Константиновна, 1854年2月16日 - 1912年4月11日)は、ヴュルテンベルク公子オイゲン(ヴュルテンベルク公フリードリヒ2世オイゲンの三男オイゲンの曾孫)の妻。

目次

[編集] 生涯

ロシア大公コンスタンチン・ニコラエヴィチ(ニコライ1世の次男)とザクセン=アルテンブルク公家出身のアレクサンドラ・イオシフォヴナの次女として、サンクトペテルブルクで生まれた。

ヴェラは幼年時代をサンクトペテルブルクで暮らした後、1861年に父コンスタンチンがポーランド副王となったために一家はワルシャワへやってきた。ヴェラは手のかかる子供で、怒りにまかせて乱暴になったり、正反対に神経質になったりした。娘に手を焼いた両親は、コンスタンチンの実姉でヴュルテンベルク王妃オリガの元へヴェラを預けた。1863年12月7日、両親に連れられてシュトゥットガルトへやってきた9歳のヴェラは、子供のいないカール1世と王妃オリガに引き合わせられた。公的には、医学の進んだドイツで子供に治療を受けさせるためだとしていたが、ロシア宮廷からヴェラの病気を隠すために両親がしたのだった。オリガはヴェラが手のかかることを承知で喜んで世話をし、すぐに彼女の伯母は実母と同じ存在となった。

オリガとカール1世は養父母として献身したが、最初に彼らはヴェラの症状を少々改善させたのみだった。ヴェラはホームシックになり、より症状が悪化し続け、養父母に向かって身体的暴力をふるい始めたのである。周期的に、ヴェラは陸軍士官の監視下におかれ、鍵のかかった部屋に閉じこめられるのは一度や二度ではなかった。カール1世は、ヴェラを連れて散歩をし、夕刻には彼女のために聖書の一節を読んで聞かせた。1866年頃から、ヴェラの症状は徐々に改善していったが、オリガは辛抱強く時間をかけ、ヴェラはやがて分裂した振る舞いから脱したのである。

今や若い女性として、ヴェラは内省的で、恥ずかしがりやだが知的であった。彼女は儀礼を嫌った。ヴェラの外見は、彼女の性格のように、一風変わっていた。ヴェラはカールした厚いブロンドの髪をしていて、短髪にしずんぐりしていた。

[編集] 結婚

カール1世とオリガは、1871年にヴェラを正式に養女とした。夫妻はヴェラと、ヴュルテンベルク王家の分家出身のオイゲン(1846年-1877年)の縁談を用意し、結婚後もヴェラがドイツを離れなくて良いようにした。

婚約は1874年1月に整い、双方の家族から祝福された。実父コンスタンチンは、義兄夫妻にあてて娘を養育してくれた事への厚い感謝の気持ちを書きつづった。オリガは『(かつての)私の問題児は、今や幸福な花嫁で、花婿と相思相愛です。私はこんな幸せな結末が待っていると夢見たこともなかった。オイゲンは既に王にとって息子同様です。』と書き残している。

19歳のヴェラと28歳のオイゲンの華麗な挙式は、1874年5月4日にシュトゥットガルトで執り行われた。この挙式にヴェラの父方の伯父であるロシア皇帝アレクサンドル2世も出席した。彼は姪に人を惹きつける魅力がないのを知り、慇懃でなく『白状するが、ちっとも花婿をうらやまないね。』と言ったという。しかしながら、アレクサンドル2世は持参金としてヴェラに百万ルーブルの持参金を用意している。

ヴェラとオイゲンは、シュトゥットガルトに『アカデミエ』という大きな邸宅に移り、その年のうちにヴェラは長男カール・オイゲンを出産した(生後七ヶ月で夭折)。1876年、ヴェラは双生児の女児、エルザとオルガを生んだ。

しかし、ヴェラとオイゲンの結婚生活は短かった。ヴュルテンベルク軍士官であったオイゲンは、デュッセルドルフで軍務中、1877年1月27日に突然死去した。死因は公的には落馬が原因とされたが、実際は冒険心のはやる公子は、決闘によって殺されたのだった。結婚生活はわずか3年で終わり、23歳で未亡人となったヴェラは再婚しなかった。

故国ロシアへ戻ることも選択できたが、若い未亡人は母国とも思い、王の庇護を受けるヴュルテンベルクにとどまった。しかし、ヴェラはギリシャ王妃となっていた実姉オリガ・コンスタンチノヴナ同様、頻繁にロシアの家族に会いに行き来をしていた。

1891年にカール1世が死去すると、ヴェラは相当の資産を相続し、その一年後に王妃オリガが亡くなると、オリガの住居であったシュトゥットガルトのヴィラ・ベルグを相続した。ヴェラは詩作を好み、自宅は家族縁者同様に多くの芸術家が集う場所となった。

才気に富み話し好きの大公女ヴェラはヴュルテンベルクで人気があり、彼女は慈善活動に身を投じていた。彼女は30以上の組織を運営し、貧窮した女性のために『ヴェラの家』という避難所をつくり、シュトゥットガルト市内で診療所を開いた。市内に建設された正教会の聖ニコラス教会にも関わった。

[編集] 晩年

ヴェラはしばしばロシアを訪問し、1896年5月のニコライ2世戴冠式には2人の娘たちと出席した。長女エルザは、1895年1月にザクセン=コーブルク=ゴータ公アルフレートの長子アルフレートと婚約が整ったがすぐに破談となり、エルザは遠縁にあたるアルブレヒト・フォン・シャウンベルク=リッペ(ヴュルテンベルク王ヴィルヘルム2世の二度目の妃シャルロッテの兄)と結婚した。同じ年、次女オルガは義兄の弟マクシミリアン・フォン・シャウンベルク=リッペと結婚した。オルガの運命は母ヴェラと似ていた。オルガは3子の母となり、結婚から数年のうちに1子と夫を失って若い未亡人となり、二度と結婚しなかった。

年を重ねるに連れ、ヴェラは健康を害した。専門家は、ヴェラが舞踏病(顔面や手足に激しいけいれん的運動を呈す)を発病していると指摘した。ヴェラの付き添いのため軍士官がつけられ、外出先でぶつかったり転倒して自身で負傷しないよう配慮された。

20世紀になると、ヴェラは小さくなり肥えて丸い顔になっていた。彼女は短髪にして男性のような服装を好んだ。極端な近視になって鼻メガネをかけていた。彼女は一風変わっていると思われていたが、ユーモアのセンスと面白い仕草で甥や姪たちに好かれていた。彼女は家族に好かれる存在だった。

長くヴュルテンベルクに暮らすために、結果としてヴェラは政治的にも信仰も自分のロシアの親族と相容れなくなった。彼女は親ドイツ派で、反ドイツ的なロマノフ家とは合わなくなった。ヴェラは非常に信心深くなったが正教の教義を理解することはなく、1909年にルター派に改宗し、ロマノフ家を仰天させた。彼女は、ヴィラ・ベルクの敷地内にプロテスタントの教会を建設するよう命じた。

1912年、ヴェラはシュトゥットガルトで死去した。

[編集] 家族

ヴェラとオイゲンは3子をもうけた。

  • カール・オイゲン(1875年、夭折)
  • エルザ(1876年-1936年) 1897年にアルブレヒト・フォン・シャウンベルク=リッペ(1869年-1942年)と結婚。
    • マクシミリアン(1898年-1974年)
    • フランツ・ヨーゼフ(1899年-1963年)
    • アレクサンダー(1901年-1923年)
    • バティルド(1903年-1983年)
  • オルガ(1876年-1932年) 1898年、マクシミリアン・フォン・シャウンブルク=リッペ(1871年-1904年)と結婚。
    • オイゲン(1899年-1929年)
    • アルブレヒト(1900年-1984年)
    • ベルンハルト(1902年-1903年)


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