ラッフルズ・ホテル
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ラッフルズ・ホテル(Raffles Hotel)はシンガポールの最高級ホテルで、グッドウッド・パーク・ホテルとならぶ伝統的なコロニアルホテルでもある。1989年に設立されたラッフルズ・インターナショナルにより全面改装が行われ、1991年に再開された。ホテルの名称はトーマス・ラッフルズに因んで名付けられた。
イオ・ミン・ペイ(Ieoh Ming Pei)によってデザインされたラッフルズ・シティと相まって再構築、管理されている。
マーライオンの近くにある最高級ホテルのザ・フラトン・シンガポールは、外観はコロニアルな雰囲気があるが、ホテルとしての歴史はラッフルズやグッドウッド・パークに大きく及ばない(フラトンは2001年1月に開業)。
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[編集] 歴史
ラッフルズ・ホテルはイギリス植民地時代の1887年12月にアルメニア人のサーキーズ兄弟によって、客室数わずか10室のバンガローをホテルにして開業した。開業当時の名はビーチハウスであった。1899年には現在の原型となるコロニアル様式の建物が完成し、ヨーロッパ諸国から「スエズ以東でもっともすばらしい施設」と高い評価を得た。
この建物はシンガポール在住の欧米人や旅行者の社交の場として使われ、ダンスパーティーが夜ごと行われ、バーではカクテルが振る舞われた。なおこのホテルが発祥の地と言われているシンガポール・スリングは、1915年にこのホテルのバーテンダーで海南島出身のニャン・トン・ブーンの手によって誕生した。
シンガポールが日本に占領された第二次世界大戦時の1942年2月15日にラッフルズ・ホテルは日本軍に接収され、陸軍将校の宿泊施設となり、ホテル名も昭南旅館に変更させられた。日本軍は宿泊した名士の記録や愛用品などを破棄し、その中にはサマセット・モームやラドヤード・キップリングが残していったサインなども含まれていた(日本軍だけではなく、アメリカ軍やドイツ軍なども占領した国の有名ホテルや施設を接収した際に同様の廃棄・略奪行為を行っている)。なお終戦直後は、イギリス軍の宿営所及び臨時戦犯収容所として一時利用された。
1946年、ホテルとして再オープンを果たす。開業して100年となる1987年には建物がシンガポールの歴史的建造物に指定された。1989年には一時休館し、全面改装を行い、豪華な調度品や8000点を超える銀食器、陶磁器はそのままに、最先端の技術を導入し、優雅さを増して1991年9月16日に再開された。
[編集] 特徴
客室数は103室で、シンガポールの最高級ホテルの中で一番少ない。全室がスイートである。
パッケージツアーやホテルクーポンで利用される客室はコートヤード・スイートとパーム・コート・スイートで、どちらも十分な広さがあり、高級感に浸れる。全室ともシャワーとバスタブが独立している。
パーム・コート・スイートは宿泊客以外の者が立ち入ることができないパーム・コート(中庭)に面しているが、コートヤード・スイートはパーム・コートに面していない。コートヤード・スイートは58~67平方メートル、パーム・コート・スイートは60~79平方メートルである。
ホテルクーポンでの1室1泊あたりの料金は、コートヤード・スイートで約7万円、パーム・コート・スイートで約8万円(いずれも時期により変動あり)で、シンガポールのホテルの中でホテルクーポンで通常利用される客室の料金が一番高く、他のシンガポールの最高級ホテルと比べて、最低でも約2倍高く設定されている。
[編集] 宿泊した主な名士
- サマセット・モーム
- ジョゼフ・コンラッド
- ラドヤード・キップリング
- チャーリー・チャップリン
上記4人の名前はスイートルームの名前として残されている。宿泊した名士の名前から付けられたスイートルームは上記の他に6室ある。
[編集] 設備
- ドク・チェンズ(Doc Cheng's) インターナショナル料理
- アー・テンズ・ベーカリー(Ah Teng's Bakery) 軽食
- ラッフルズ・グリル(Raffles Grill) フランス料理
- 皇朝(Royal China at Raffles) 中華料理
- エンパイア・カフェ(Empire Café) カフェ
- ラッフルズ・カフェ(Raffles Café) カフェ
- ティフィン・ルーム(Tiffin Room) インド料理、ハイティー
- ラッフルズ・コートヤード(Raffles Courtyard) シーフード
- ロング・バー・ステーキハウス(Long Bar Steakhouse) ステーキ、シーフード
- ロング・バー(Long Bar) バー
- バー&ビリヤードルーム(Bar & Billiard Room) バー、ハイティー
- シアー・ストリート・デリ(Seah Street Deli) 軽食
- ライターズ・バー(Writers Bar) バー
- ラッフルズ・ホテル・アーケード(Raffles Hotel Arcade) ショッピングアーケード
- ラッフルズ・アムリタ・スパ(RafflesAmrita Spa) 宿泊者限定スパ
- ラッフルズ・ホテル博物館(Raffles Hotel Museum) ラッフルズ・ホテルの歴史を紹介する博物館で、入場無料
- プール 屋上に1か所
など
[編集] その他
2006年9月16日に行われた7か国(G7)財務大臣・中央銀行総裁会議で、ラッフルズ・ホテルが会議開催会場として利用された。