ホンダ・ホーネット
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ホンダ・ホーネット (Hornet) とは、本田技研工業が製造しているオートバイの名称であり、広義には250cc、600cc、900ccの排気量のシリーズ総称、狭義には250ccモデルを指す。ホーネットとはスズメバチのことである。
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[編集] 解説
ボリューム感のあるタンク、一本の角型パイプで車体を支えるモノバックボーンフレーム、リアにワイドタイヤを装備し、アップマフラーという特徴を持っている。水冷4ストローク直列4気筒エンジン搭載のネイキッドであり、本来リッターバイクが装備するワイドタイヤを装備したことも話題になり、250ccロードスポーツでは高い人気を誇る。
なお、フレーム形式であるモノバックボーンフレームはロードバイクとして見ればダイヤモンドフレームの変形であるが実際はオフロードバイクのバックボーンフレームのロードバイク版と言った方が近いフレームである。 また、エンジンは各グレードともにCBR系のエンジンを搭載しており、CBR系のネイキッドモデルであるという見方が強い。
[編集] ホーネット250
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日本国内でホーネットと言えば、ほとんどの場合この排気量のモデルを指す。1996年1月発表。
最大の特徴は外観であり、ボリューム感のある車体を強調するかのように250ccクラスのネイキッドでは類を見ないタイヤ幅180のワイドタイヤが装着されているほか、シートカウル付近まで上げたマフラーも特徴である(そのため、シートカウルは左右非対称である)。
エンジンは、CBR250RRのエンジン(MC14E)を街乗り向けに改良(パワーバンドを低/中回転域へ移す)したものを搭載する。このエンジンはCBR250FOURに搭載されていた時代から改良され続けている水冷4ストロークDOHC並列4気筒エンジンであり、その歴史は長い。このエンジンはカム駆動にギアを利用するカムギアトレーンを採用しており、2007年3月現在、カムギアトレーンを採用したオートバイはこのホーネットとVTR1000 SP-2のみである。ちなみにこのエンジンは構造上、カムギヤがうなる音が発生するため、独特のサウンドを響かせる。
本来はレーサーレプリカに搭載されていたエンジンであるため、レッドゾーンが16,000rpmから(メーター刻み値)という「超」がつく高回転ユニットである。また、それに見合ってギヤがクロス化されているため、乗りこなすのにある程度の慣れが必要であるが、操る楽しさについてはオーナーから非常に高い評価がされている。
また、このクラスのバイクとしては珍しくスイングアームにリンク機構が無いタイプのリヤサスペンション構造をしている。 従来のスタンダード及びカラーオーダープランに、2005年9月からDX(デラックス)が追加された。他の同年式モデルとスペックに違いはないが、ホーネット初のツートンカラー(黒に赤または黄)を採用するなど、よりアグレッシブな雰囲気を強調するものとなっている。
2006年12月にはマイナーチェンジ(カラーリング変更)を受け、スタンダード及びデラックスともにカラーラインナップが刷新された(スタンダード:ブラック及びホワイト、デラックス:黒に青、シルバーまたは赤)。カラーオーダープランは終了している。
2007年12月にメーカーHPにて生産終了アナウンスが出された。後継車種の発表はされていない。
[編集] ホーネット600
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1997年発表。
[編集] PC34(1998年-2002年)
出力の増加に対応してフレームに補強が施されているが、基本的な構成は250ccのホーネットとほぼ同じで外観は酷似しており、メーカーが作った600ccへのエンジンスワップモデルとも言える。 そのため250ccモデルとほぼ同じ車格ながら大型二輪のパワーを持ち、高価な軽量パーツを使うことなく軽い車体に仕上がっている。 このような特徴からジムカーナでは人気車種の一つであり、また250ccモデルの販売のない海外ではホーネットを代表するモデルとなっている。 エンジンはCBR600Fのものを流用し、給排気系のセッティング変更で中低速回転域を強化し乗りやすくしている。 2000年にはコンパクトなハーフカウルを装着したホーネットSが発表された。
海外仕様はエンジン出力、ブレーキキャリパーなどが異なり、CB600F Hornet(北米仕様は599)の名称を持つ。2001年の国内販売終了後も販売は継続された。
[編集] PC36(2003年-2006年)
国内販売終了後初のモデルチェンジ。フレーム・エンジン周りはそのままに、デザインと車体の生産はイタリアに移された。
他の国内メーカーや欧州メーカーも、同クラスの車種を次々にモデルチェンジ・または新規投入をしていった時期にあたりこのモデルも細かな仕様変更が繰り返され、2005年モデルでは倒立フロントフォークの採用などフロントまわりを中心にデザインが大きく変更された。
また、エンジンやフレーム等の基本コンポーネントを同じくするCBF600/Sという姉妹モデルがある。
[編集] PC41(2007年-)
このモデルチェンジは、ホーネットのイメージを覆すほどの全面的なものとなった。フレームレイアウトは類似しながらも材質はアルミに変更され、メーターと一体化した異型ヘッドライト、エンジンは同年式CBR600RRと共用、マフラーはミッドシップのショートタイプとなった。また、ABS装備のモデルも用意された。前モデル同様エンジン以外の生産とデザインはイタリアで、販売もイタリアを中心としたヨーロッパ大陸となっており、2007年末時点でこのモデルの北米仕様は存在しない。
[編集] CB900ホーネット
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2001年9月発表。
シリーズで唯一ツインマフラーを標準装備している(下位車種ではツインマフラーへの改造が人気を博している)。1998年モデルのCBR900RRに搭載された919ccの物をインジェクション化、また中低速域を強化することで乗りやすくデチューンしたエンジンを持つ。250及び600とフレーム形状はほぼ同じであるが、メインパイプの板厚が1.6mmから2.3mmになるなどの変更点が存在する。また、エンジンの大型化やマフラー等250/600との相違点に対応して、タンクやシートカウルなどの外装は独自の物を採用している。
このモデルもホーネット600と同様に海外仕様が存在する(北米仕様の名称はHONDA 919)。国内販売終了後も点火タイミングの変更、メーター内に時計を追加、サスペンションのアジャスト機構の追加・見直し、ヘッドカバーの色変更、車体色の変更等のマイナーチェンジで生産・販売が継続されたが、2007年モデルを最後に生産を終了。CB1000Rにその座を譲ることとなった。2007年モデルのホーネット600とイメージを同じくするCB1000Rだが、このモデルにHornetの名称は付けられていない。