ブレット・セイバーヘイゲン
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ブレット・セイバーヘイゲン(Bret William Saberhagen , 1964年4月11日 - )はアメリカ・メジャーリーグで活躍した投手。右投右打。 アメリカイリノイ州シカゴ出身。ニックネームは「Sabes」。
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[編集] 人物・来歴
1982年のドラフトでカンザスシティ・ロイヤルズから19巡目に指名され入団。 20歳を迎える直前の1984年4月4日にメジャー初登板。この年は38試合登板(18先発)で10勝11敗に終わる。 チームは地区優勝を果たすが、ア・リーグチャンピオンシップシリーズはデトロイト・タイガースに敗れ、ワールドシリーズ進出はならなかった。
そして、翌1985年に20勝(6敗)をあげてサイ・ヤング賞に選出される大活躍。ナ・リーグのドワイト・グッデン共々、21歳での受賞となった。 チームはリーグ優勝し、セントルイス・カージナルスとのワールドシリーズに進出。 チームはホームの1・2戦と連敗。第3戦ではセイバーヘイゲンが完投勝利。 第4戦に敗れ1勝3敗と追い込まれたが、第5戦に勝ち、迎えた第6戦。 9回裏、一塁塁審デンキンガーの誤審(詳細は同項参照)もあって幸運なサヨナラ勝ちを収め、3勝3敗のタイに持ち込んだ。 迎えた最終第7戦でセイバーヘイゲンがカージナルス打線を完封し、ロイヤルズがワールドシリーズ史上初の1勝3敗からの逆転でワールド・チャンピオンに輝き、セーバーヘイゲンはシリーズMVPに選ばれた。
その後は、1986年が7勝12敗、1987年が18勝10敗(前半に限れば15勝3敗)、1988年が14勝16敗、1989年が23勝6敗、1990年が5勝9敗と、一年おきに好・不調を繰り返した。 1987年はシーズン前半15勝3敗の素晴らしい成績で、オールスターの先発投手を務める。この年23歳にしてカムバック賞を受賞。 1989年は最多勝と防御率1位(2.16)で2度目のサイ・ヤング賞を受賞。同年ゴールドグラブ賞も受賞した。
1991年は8月26日のシカゴ・ホワイトソックス戦でノーヒット・ノーランを達成したが、13勝8敗とどちらとも言い難い成績に終わり、そのオフにケビン・マクレイノルズ、グレッグ・ジェフリーズ、キース・ミラーとの交換で、ビル・ペコタと共にニューヨーク・メッツに移籍。 メッツは91年の地区5位(6球団中)からの巻き返しを狙い、このオフ他にボビー・ボニーヤ、エディ・マレーらを獲得。 このあたりから一年おきの「原則」は崩れ、活躍は「数年に一度」となる。 1992年・1993年はそれぞれ3勝、7勝に終わる。メッツも92年は変わらず5位、そして93年は拡張されて7球団となったが新球団フロリダ・マーリンズにすら上回れず最下位に沈んだ。 ストライキでシーズンが短縮された1994年は14勝4敗と久々の「好調」で、オールスターにも出場。
翌1995年途中にコロラド・ロッキーズに移籍。 チームは創設3年目で初のプレイオフ進出を果たすが、セイバーヘイゲン自身は移籍後9先発で2勝、防御率6.58に終わる。 ディビジョンシリーズ第4戦(対アトランタ・ブレーブス)に先発するが敗戦投手となり、チームも敗れ去った。 1996年は故障のためプレイできず、解雇された。 1997年にボストン・レッドソックスと契約。その年は6試合の登板に終わるが、1998年には15勝(8敗)をあげて復活。2度目のカムバック賞を受賞。 1999年も10勝をあげるが2000年はまた故障のため登板できず、2001年に3試合に登板し、この年限りで現役を引退。
2005年にロイヤルズの殿堂入りを果たす。
1995年6月2日、ドジャースの野茂英雄がメジャー初勝利を挙げた試合で、対戦相手メッツの先発投手をつとめたのがこの人である。
[編集] 受賞歴・記録
- サイ・ヤング賞2回(1985年、1989年)
- 最多勝利1回(1989年)
- 最優秀防御率1回(1989年)
- ゴールドグラブ賞1回(1989年)
- オールスター出場3回(1987年、1990年、1994年)
- カムバック賞2回(1987年、1998年)
- ワールドシリーズMVP1回(1985年)
- ベーブルース賞1回(1985年)
[編集] 年度別成績
年 | 球団 | 勝利 | 敗戦 | 防御率 | 登板 | 先発 | 完投 | 完封 | セーブ | 投球回 | 被安打 | 失点 | 自責点 | 被本塁打 | 与死球 | 与四球 | 奪三振 |
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1984 | KC | 10 | 11 | 3.48 | 38 | 18 | 2 | 1 | 1 | 157.2 | 138 | 71 | 61 | 13 | 2 | 36 | 73 |
1985 | KC | 20 | 6 | 2.87 | 32 | 32 | 10 | 1 | 0 | 235.1 | 211 | 79 | 75 | 19 | 1 | 38 | 158 |
1986 | KC | 7 | 12 | 4.15 | 30 | 25 | 4 | 2 | 0 | 156.0 | 165 | 77 | 72 | 15 | 2 | 29 | 112 |
1987 | KC | 18 | 10 | 3.36 | 33 | 33 | 15 | 4 | 0 | 257.0 | 246 | 99 | 96 | 27 | 6 | 53 | 163 |
1988 | KC | 14 | 16 | 3.80 | 35 | 35 | 9 | 0 | 0 | 260.2 | 271 | 122 | 110 | 18 | 4 | 59 | 171 |
1989 | KC | 23 | 6 | 2.16 | 36 | 35 | 12 | 4 | 0 | 262.1 | 209 | 74 | 63 | 13 | 2 | 43 | 193 |
1990 | KC | 5 | 9 | 3.27 | 20 | 20 | 5 | 0 | 0 | 135.0 | 146 | 52 | 49 | 9 | 1 | 28 | 87 |
1991 | KC | 13 | 8 | 3.07 | 28 | 28 | 7 | 2 | 0 | 196.1 | 165 | 76 | 67 | 12 | 9 | 45 | 136 |
1992 | NYM | 7 | 7 | 3.29 | 19 | 19 | 4 | 1 | 0 | 139.1 | 131 | 55 | 51 | 11 | 3 | 17 | 93 |
1993 | NYM | 7 | 7 | 3.29 | 28 | 28 | 7 | 2 | 0 | 196.1 | 165 | 76 | 67 | 12 | 9 | 45 | 136 |
1994 | NYM | 14 | 4 | 2.74 | 24 | 24 | 4 | 0 | 0 | 177.1 | 169 | 58 | 54 | 13 | 4 | 13 | 143 |
1995 | NYM COL |
7 | 6 | 4.18 | 25 | 25 | 3 | 0 | 0 | 153.0 | 165 | 78 | 71 | 21 | 10 | 33 | 100 |
1997 | BOS | 0 | 1 | 6.58 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 26.0 | 30 | 20 | 19 | 5 | 2 | 10 | 14 |
1998 | BOS | 15 | 8 | 3.96 | 31 | 31 | 0 | 0 | 0 | 175.0 | 181 | 82 | 77 | 22 | 6 | 29 | 100 |
1999 | BOS | 10 | 6 | 2.95 | 22 | 22 | 0 | 0 | 0 | 119.0 | 122 | 43 | 39 | 11 | 2 | 11 | 81 |
2001 | BOS | 1 | 2 | 6.00 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 15.0 | 19 | 11 | 10 | 3 | 1 | 0 | 10 |
通算 | 15年 | 167 | 117 | 3.34 | 399 | 371 | 76 | 16 | 1 | 2562.2 | 2452 | 1036 | 952 | 218 | 59 | 471 | 1715 |
※太字はリーグ最多。
[編集] エピソード
- 四球が少なく、1994年には177回1/3を投げてわずか13四球、この年14勝を記録し「二桁勝って、それを下回る四球数」というのは長いメジャーの歴史でもほとんど例がない。9イニング平均0.66個という少なさだった。
- 9イニング平均の与四球は、通算でも1.65個。同時期に活躍したドワイト・グッデンは3.06、フランク・バイオーラが2.74、ロジャー・クレメンス(現役)が2.89。四球が少ないグレッグ・マダックス(現役)でも1.81である。(現役選手については2007年終了時点。)
[編集] 外部リンク
- 選手の通算成績と情報 ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube
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1 バディ・ビアンカラナ / 2 オニキス・コンセプシオン / 3 ホルヘ・オルタ / 4 グレッグ・プライヤー / 5 ジョージ・ブレット / 6 ウィリー・ウィルソン / 8 ジム・サンドバーグ / 9 ディーン・オーゲ / 11 ハル・マクレー / 12 ジョン・ワーザン / 15 パット・シェリダン / 20 フランク・ホワイト / 21 ロニー・スミス / 24 ダリル・モトリー / 25 ダニー・ジャクソン / 27 ジョー・ベックウィズ / 29 ダン・クイゼンベリー / 31 ブレット・セイバーヘイゲン / 35 リン・ジョーンズ / 37 チャーリー・リーブラント / 40 バド・ブラック / 45 スティーブ・バルボニ 監督 ディック・ハウザー |