フリホレス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フリホレス(frijoles)は、インゲンマメのことで、恐らくメキシコ先住民の言語であるナワトル語からスペイン語に移入された語。アクセントの位置からフリホーレスとも音写される。フリフォーレスと音写されている事例もあるが、スペイン語綴りの "jo" の発音はあくまで「ホ」であるので誤り。ちなみに「フリホレス」は複数形で、単数形は「フリホル」(frijol)。
メキシコでは古来から、トウモロコシとインゲンマメが伝統的な主食作物であった。日本食において米を炊いた米飯と、ダイズを原料とする味噌汁が最も基本的な食事の骨格を成すのと同様に、メキシコの伝統食では先スペイン期以来、トウモロコシから作った薄焼きパンであるトルティーヤと、インゲンマメ(主に赤または黒色の品種)を塩味で煮たもの、あるいはそれとつぶしてペースト状にしたものが最も基本的な食事の骨格を成してきた。そのため、メキシコ料理においてフリホレスといえば、インゲンマメそのものを指すと同時に、インゲンマメの塩味の煮豆(フリホレス・デ・オヤ frijoles de olla)、及びそれをつぶして汁気がなくなるまで炒めた餡状のペースト(フリホレス・レフリトス frijoles refritos)をも指す。
日本ではメキシコの調理文化はなじみがないため、フリホレスといえば上記の基本調理を施されたインゲンマメのうち、後者のペースト状のものを指すことが一般的である。これは英語のビーン・ディップ(bean dip)もしくはフリホレス・レフリトスの直訳であるリフライド・ビーンズ(refried beans)に相当する。これを日本で作る場合には虎豆やうずら豆といったインゲンマメをやわらかくなるまで煮、すり鉢やフォークを使って潰し、塩、刻みタマネギや唐辛子少々を加えて水分がなくなるまで少量の油で炒めればよい。
また、ブラジルではフェイジャンあるいはフェイジョン(feijão、日本語表記が違うのはポルトガル語の発音の転記法が人によって異なるため)と呼ばれ、白米にかけて食べるのが一般的であり、また同国料理を代表するフェジョアーダでもふんだんに使われている。