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フライトシミュレーション - Wikipedia

フライトシミュレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


動揺装置の例
動揺装置の例
リンクトレーナ
リンクトレーナ

フライトシミュレーションとは、航空機などの飛行の操縦訓練、搭乗体験をするために飛行状況を模擬することであり、模擬機器をフライトシミュレータ(模擬飛行装置)あるいは、フライトトレーナ(飛行訓練装置)、プロシージャートレーナー(飛行方式訓練装置、第4種模擬飛行装置)という。フライトシミュレータはビジュアル装置及びモーション装置を有しているが、フライトトレーナは必ずしも有してはいない。

目次

[編集] フライトシミュレータ

航空法用語では模擬飛行装置と呼ばれる。第1種(さらに3段階)~第4種の6段階に分かれている。 航空機乗組員の訓練試験、審査などに使用される装置であり、通常の操縦訓練とともに事故など考えられる事象での乗組員の対応を疑似訓練などに使用される。特定の型式の航空機の操縦室を模擬したものとなっている。また、現在では航空機の開発段階においても想定される機体の数式モデルを構築し、風洞試験データ等を反映させたフライトシミュレータを用いてパイロットシミュレーション試験を実施し、開発の効率化に貢献している。フライトシミュレータは操縦装置の操作信号を元に機体の反応をコンピュータで計算し、結果を操作パネル表示、視界画像、動揺装置による動き、音響などで出力するようになっている。

国土交通大臣が承認した機種の場合は飛行日誌(ログブック)に記録でき、その欄がある(しかし厳密には「飛行時間」とは違う)。操縦士資格取得訓練の一部を成している。たとえば計器飛行証明であれば、「…時間以上の計器飛行練習(ただし模擬飛行装置によるものは~時間まで)」となる。 航空整備士の訓練にも使用されている。

[編集] フライトトレーナ

航空法用語では飛行訓練装置と呼ばれる。航空機乗組員の訓練に使用される装置であり、一般的な航空機の操縦室の一部を模擬しており、通常航空機に装置されている計器類を搭載もしくは模倣し、計器飛行状態で飛行中の状況を表現できるものとされる。機体の動きを体感できるまでの機能は要求されない。

模擬飛行装置と同じく、国土交通大臣が承認した機種の場合は飛行日誌(ログブック)に記録でき、その欄がある(しかし厳密には「飛行時間」とは違う)。

[編集] プロシージャートレーナー

上記2つとは異なり定められた用語ではない。「飛行手順訓練装置」や「飛行要領訓練装置」などと呼ばれる事もある。 航空法用語では第4種模擬飛行装置と位置づけられているが、使用目的別に分けた場合にはこの装置と上記2つの合計3つに分けた方が理解しやすいので一般ではこの様に区別される。

特定の機種の操縦室を正確に模倣している点は模擬飛行装置と同じであるが、窓に画面は付いていないものが多く、映像や音声による飛行そのものの模擬は出来ない。 交信の模擬や計器類を通しての様々な状況やスイッチ操作による計器表示(たとえば火災や故障、フラップのスイッチを下げたらフラップの角度計器も下がるなど)が模擬できる程度である。

模擬飛行装置があるにもかかわらずなぜこの様な装置が必要と言うと、航空機は自動車とは異なり手順が複雑で、たとえ単発レシプロ機でもエンジンをかける前にでさえ10個以上の手順があり旅客機では出発前の手順が100以上ある。 実際にはチェックリストがあるのでそれを見ながら操縦室の全乗員で進めてゆくのだが、リストを見ながらだけでは非常に時間がかかる上、緊急時にはリストを読んでいる余裕は無いので、地上学習において手順を理解していく必要がある。 また、種別が上の模擬飛行装置は極めて高価なので、この装置での初期訓練は経済的でもある。

[編集] 歴史

  • 1940年代より計器飛行訓練用として使われ始める。(リンクトレーナ)
  • 第二次世界大戦中にアメリカ海軍が汎用性の高いフライトシミュレータの開発をMITに打診。ジェイ・フォレスターらがWhirlwindコンピュータの開発に取り組む。しかし、フライトシミュレータには使われず、SAGEで使われることになった。
  • 1960年に入り航空機の大型化が進み、訓練費用の低減のため広く使われ、機能・性能が向上。
  • 1970,80年代に動揺装置、コンピュータによる視覚映像などが開発される。

[編集] 体験できる施設

[編集] ゲーム

フライトシミュレーションゲーム (flight simulation game)とは、航空機の操縦を再現した実機シミュレータの一種。プラットフォームは、PC家庭用ゲーム機アーケードゲームの他、稀にゲームブック型式の物も存在する。フライトシミュレータが、研究、訓練等現実世界へのフィードバックがあるのに対して、こちらは完全に娯楽である。 また、航空機の操縦を主題としていても、操縦の再現よりも、(敵機の撃墜を得点とするような)ゲーム要素が強い場合には別ジャンルであるフライトシューティングとされる。
短縮して、「フラシム」、「フラシミュ」などとも呼ばれる。なお、海外においては、ゲームであってもFlight Simulatorと呼ばれている。

リアルさを追求するため、アーケードゲームでは主に大型筐体によりコクピットが再現されている。PCや家庭用ゲーム機では、ジョイスティック、ラダーペダル、スロットルの俗に3点セットと呼ばれる入力機器や、単体である程度のボタン操作が可能な多機能ジョイスティック(マイクロソフトのサイドワインダー等)が用意されている。また、フライトスーツの入手や実在する航空機のコクピットを自宅に再現する等、他のジャンルとも関わる多額の投資をする熱心なユーザーもいる。
特に海外においては、雑誌等にもコクピットの製作記事が掲載されることもある。

[編集] フライトシミュレーションゲームにまつわる事件、問題点

  • 1999年7月におきた全日空61便ハイジャック事件では、犯人はフライトシミュレーションゲームのマニアであり「レインボーブリッジの下をくぐってみたかった」と自供していた。自宅でパソコンのフライトシミュレーションゲームに興じていた、と供述している。
  • アメリカ同時多発テロ事件で犯人グループが機体操作の訓練で使用したと言われているが、真相は不明。
  • 上記のような多数の民間航空機を対象としたハイジャックテロ事件を機に、コックピットを公開することでテロリスト航空機の操縦を習得するための教材として転用される恐れがあるという理由から、コックピットの見学やフライトシミュレータの公開・使用を民間人(部外者)に対して全面的に禁止する動きが、世界的に強まるようになった。
  • 基本的には、航空業務で使われる共通言語は英語である。ゆえに「シミュレーション」とはいっても、フライトをひととおり行なうためには、英文の読み書きができるだけではなく多数の航空専門用語にも長けていなければならない。このため、海外では名作と呼ばれるソフトの多くが、日本国内では販売予測数が少ないというセールス上の理由によって日本語化ローカライズされない事も多く、結果的に日本でのフライトシミュレータの愛好者が増えず、ユーザー予備軍が日本製の手軽なフライトシューティングゲームに流れてしまうという結果を招くなど、一種の悪循環の状態に陥っている。
  • ユーザーの平均年齢層が高いことや、PCや周辺機器(ラダー・操縦桿など)に多額の投資を必要とするソフトが多く(ソフト自体は海外からの輸入であるため低価格)、かつ高いレベルでの専門知識を必要とする事を起因として、ユーザーの志向が原理主義者化するといった傾向がある。
  • ジャンルの明確な基準が存在しないため、欧米のように実在する航空機を操作できるものはフライトシミュレーションゲームと言ったある意味豪快な分類を行う例や、日本語圏ではゲーム専門誌ではゲームソフトメーカーがフライトシミュレーションゲームと主張しているからこのソフトはフライトシミュレーションゲームと言った分類を行っているが、航空専門誌航空ファン2008年5月の連載記事で航空機の完全再現ができない家庭用ゲーム機用ソフトは、ゲームソフトメーカーがフライトシミュレーションゲームと主張しようとシューティングゲームだとする記事が掲載されるなど、業界による温度差が存在する例も存在する。
  • 海外においても調査、開発に多額の費用と期間が必要となるため現在発売されているゲームよりも過去に発売されたゲームの方が実機の再現性に関しては高い場合がある。

[編集] 作品

[編集] PC用ソフト

詳細はフライトシミュレーションソフトの一覧を参照

軍用機系

民間機系

軍用機・民間機共用

RC練習用

  • REAL FLIGHT
  • REFLEX
  • REVO

[編集] アーケード

民間機系

軍用機系

  • ウィングウォー:セガよりリリースされた対戦型フライトシューティング。使用可能機体は、フォッカー,零戦,P-38ライトニング,P-51マスタング,アパッチ,ハインド,ハリヤー,Yak-144フリースタイル。

[編集] PC/コンシューマ機兼用

[編集] コンシューマ機

軍用機系

民間機系

その他

[編集] ゲームブック

軍用機系

  • F-4JファントムIIラインバッカー作戦

[編集] ボードゲーム

軍用機系

  • 空戦マッハの戦い

[編集] カードゲーム

軍用機系

  • Down in Flames (PC版も発売されている)

[編集] 外部リンク


[編集] 関連項目


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