ビンス・コールマン
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ビンス・コールマン(Vincent Maurice Coleman , 1961年9月22日 - )はアメリカ・メジャーリーグで活躍した元野球選手。 外野手(主に左翼手)。右投両打(スイッチヒッター)。アメリカ合衆国フロリダ州ジャクソンビル出身。 通算752盗塁はメジャー歴代6位(2007年終了時点)。
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[編集] 人物・来歴
フロリダA&M大学時代の1981年に65盗塁を記録し、大学野球のシーズン盗塁記録を樹立。この年、フィラデルフィア・フィリーズからドラフトで指名されるが入団を拒否し、翌年セントルイス・カージナルスに1巡目で指名され入団する。
コールマンは、俊足だが打球の判断が悪く守備力の評価が低い選手だったが、マイナーリーグでも数々の盗塁記録を成し遂げ、カージナルスはとうとう1984年オフに、実績のある一番打者ロニー・スミスをカンザスシティ・ロイヤルズに放出してまで、新人のコールマンを一番・レフトで起用する。コールマンは1985年にメジャーデビューを果たすとその年いきなり110盗塁を記録して盗塁王に輝き、20勝したトム・ブラウニング(シンシナティ・レッズ)らの有力候補を押しのけてナ・リーグ新人王を受賞する。チームはその年ワールドシリーズに進出したが、コールマンはリーグチャンピオンシップシリーズで、試合前の練習中に足を故障してこの年のシリーズには出場できず、チームはロイヤルズに敗れた。
以後、1987年まで3年連続100盗塁を達成する。これはメジャーリーグでは20世紀唯一の記録である。[1]そもそも年間100盗塁自体、他にリッキー・ヘンダーソン、モーリー・ウィルス、ルー・ブロックしか達成していない。 また、1990年まで6年連続盗塁王を獲得。前後するが、1987年にはミネソタ・ツインズとのワールドシリーズに出場、しかし3勝4敗で惜しくも敗れる。
1990年オフにフリーエージェント(FA)となってニューヨーク・メッツに移籍。 メッツは、この翌年オフにかけてコールマンの他に、ボビー・ボニーヤ(当時メジャー最高級で契約)、エディ・マレー、ブレット・セイバーヘイゲン(交換トレードよる獲得)らの高額プレイヤーと次々に契約するが、これはメッツにとっても、コールマンにとっても転落の始まりであった。 コールマンはメッツの3年間(1991年~1993年)は故障がちとなり毎年100試合以下の出場に終わり、盗塁は最高でも38。 1991年には、「ジャッキー・ロビンソンについて何も知らない」と発言して、ファンや関係者をあきれさせた。 メッツは1991年と1992年が6球団中5位であった。1993年はさらにひどく、コールマンはクラブハウスでゴルフクラブを振り回してチームメイトドワイト・グッデンの腕を負傷させ、さらにドジャー・スタジアムの駐車場でサインを求めてきた大勢のファンに点火した爆竹を投げ込んで負傷させる事件を起こし、200時間の地域奉仕活動を宣告される。メッツは残りシーズンの出場停止処分を科す。 そして、ナ・リーグに2球団が拡張されて、東地区も7球団となったこの年、メッツは新球団フロリダ・マーリンズすら上回れず、最下位に終わる。 コールマンはこの年のオフに、かつてメッツに在籍していたケビン・マクレイノルズ(セイバーヘイゲンとの交換トレードでロイヤルズに移籍していた)との交換トレードでカンザスシティ・ロイヤルズに移籍。
初のア・リーグでのキャリアとなった1994年は、ストライキでシーズンが短縮されたシーズンとなったが、104試合に出場して50盗塁。翌1995年はシーズン途中にシアトル・マリナーズに移籍して42盗塁を記録し、まずまずの活躍を見せるが、1996年はシンシナティ・レッズで33試合の出場に終わり、解雇。 1997年はデトロイト・タイガースと契約するが、打率.071の大不振で開幕直後に解雇され、そのまま現役引退となった。
[編集] 受賞歴・記録
- ルーキー・オブ・ザ・イヤー (MLB)(1985年)
- 盗塁王:6回(1985年~1990年)
- オールスター出場:2回(1988年~1989年)
- 連続盗塁成功:50(1988年9月18日~1989年7月26日:メジャーリーグ記録)
[編集] 年度別打撃成績
年 | 球団 | 試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 塁打 | 四死球 | 三振 | 盗塁 | 盗塁死 | 打率 |
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1985年 | STL | 151 | 636 | 107 | 170 | 20 | 10 | 1 | 40 | 213 | 50 | 115 | 110 | 25 | .267 |
1986年 | STL | 154 | 600 | 94 | 139 | 13 | 8 | 0 | 29 | 168 | 60 | 98 | 107 | 14 | .232 |
1987年 | STL | 151 | 623 | 121 | 180 | 14 | 10 | 3 | 43 | 223 | 70 | 126 | 109 | 22 | .289 |
1988年 | STL | 153 | 616 | 77 | 160 | 20 | 10 | 3 | 38 | 209 | 49 | 111 | 81 | 27 | .260 |
1989年 | STL | 145 | 563 | 94 | 143 | 21 | 9 | 2 | 28 | 188 | 50 | 90 | 65 | 10 | .254 |
1990年 | STL | 124 | 497 | 73 | 145 | 18 | 9 | 6 | 39 | 199 | 35 | 88 | 77 | 17 | .292 |
1991年 | NYM | 72 | 278 | 45 | 71 | 7 | 5 | 1 | 17 | 91 | 39 | 47 | 37 | 14 | .255 |
1992年 | NYM | 71 | 229 | 37 | 63 | 11 | 1 | 2 | 21 | 82 | 27 | 41 | 24 | 9 | .275 |
1993年 | NYM | 92 | 373 | 64 | 104 | 14 | 8 | 2 | 25 | 140 | 21 | 58 | 38 | 13 | .279 |
1994年 | KC | 104 | 438 | 61 | 105 | 14 | 12 | 2 | 33 | 149 | 29 | 72 | 50 | 8 | .240 |
1995年 | KC/SEA | 115 | 455 | 66 | 131 | 23 | 6 | 5 | 29 | 181 | 37 | 80 | 42 | 16 | .288 |
1996年 | CIN | 33 | 84 | 10 | 13 | 1 | 1 | 1 | 4 | 19 | 9 | 31 | 12 | 2 | .155 |
1997年 | DET | 6 | 14 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | .071 |
通算 | 13年 | 1371 | 5406 | 849 | 1425 | 176 | 89 | 28 | 346 | 1863 | 477 | 960 | 752 | 177 | .264 |
※太字はリーグ最多。
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- 選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube
獲得タイトル・記録 | ||||||
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