ニルスのふしぎな旅
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『ニルスのふしぎな旅』(スウェーデン語:Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige)は、スウェーデンの女流作家セルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Lagerlöf)が、1906年に執筆した子ども向けの物語。原題は「ニルス・ホルゲションの素晴らしきスウェーデン旅行」の意。
目次 |
[編集] 概要
ニルス・ホルゲルソン(原作では「ニルス・ホルゲション」―出身地から「西ヴェンメンヘーイの」という冠詞が付く)という少年がトムテ(TOMTE 妖精、ノームのスウェーデン名)によって小人にされ、ガチョウのモルテンやガンの群れと一緒にスウェーデン中を旅する物語。実は、子ども達に自分たちの国の地理をよく理解させるためという意図で書かれたものである。著者のセルマ・ラーゲルレーヴは、女性で初めてノーベル文学賞(1909年)を受賞した人物でもある。(全賞を通じての女性で初はマリ・キュリー(1903年に物理学賞))。
邦訳(完訳版)
- 香川鉄蔵、香川節 訳『ニルスのふしぎな旅』(全4巻)偕成社 ISBN 4-03-651061-4 (1982).
その他、抄訳や翻案が多数あり。
[編集] アニメ化
NHKでアニメ化されて放送されている(1980年1月8日 - 1981年3月17日)。これはスウェーデンでも放送されて好評を博し、その中のカットは、スウェーデン政府観光局のCMにも使われた。この他にハンガリー、ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、イスラエル、トルコ、フィンランドで放送された。
アニメはスタジオぴえろ(現ぴえろ)が製作し、製作当時、スタジオぴえろの社員であった押井守も演出として参加している。後にテレビ東京が系列ぐるみで同じものを放送したが、CMを入れるためオープニングの一部やエンディングをカットした。 その後、NHK衛星第二放送やファミリー劇場で再放送され、このときはエンディングがないテレビ東京バージョンで放送された。 NHKでの放送時、日立製作所がキャンペーンキャラクターとして使用している。
アニメ版最終回:ニルスが我が家に戻ってくると(事情は分からないが)畑は荒れ家畜も減って貧しくなっていた。祭のためモルテンが両親に殺されかかるのをニルスが助けた瞬間、魔法が解け元の体に戻り両親と再会する。翌朝アッカ隊長と岬で出会うが、ニルスは動物と話す力を失っていた。「春になったらきてごらん、畑は緑できれいだ。野原は花でいっぱいだ。きっと君たちは気に入るよ…」ニルスはラップランドに飛び去る雁の群れに、この大地を大切に守ると叫んで約束する。
[編集] 劇場版
1982年には、押井・案納正美の共同演出・絵コンテ、鳥海の総監督の下テレビアニメ版とほぼ同じスタッフで劇場版(オリジナル長編版)が製作された。しかし、チーフディレクターの鳥海が途中で制作に飽きてしまった為「ほとんどの実作業は僕がやった」と押井が後に語っている。[1]
実際には学研の都合で劇場公開されず一時幻の作品となった。後にビデオソフト、またDVD化。
[編集] スタッフ
- 原作:セルマ・ラーゲルリョーブ
- チーフディレクター:鳥海永行
- プロデューサー:神保まつえ、森島恒行、平井寛
- 企画:原正次、石川茂樹
- 脚本:田口成光、中原朗
- 演出:鳥海永行、布川ゆうじ、案納正美、上梨満雄、押井守、高橋資祐
- 原画:岡田敏靖、高橋資祐、半田輝男、前田康成、田中亨、山崎隆生、他
- 動画チェック:上梨一也、藤田茂
- 仕上検査:小磯栄子、西香代子
- オープニングアニメ:羽根章悦
- エンディングアニメ:中村泰敏
- キャラクターデザイン、作画監督:岡田敏靖
- 作画監督補佐:道下有希子、宮川洸二
- 美術監督:中村光毅
- 撮影監督:都島雅義
- 録音監督:斯波重治
- 特殊効果:朝沼清良
- 色指定:内田千代子
- 音楽:チト河内
- 背景:デザインオフィスメカマン、プロダクションアイ
- 仕上:アートキャッツ
- 撮影:緒方プロダクション
- 編集:戸田礼子
- 現像:東京現像所
- 調整:桑原邦男
- 効果:イシダサウンド
- 録音制作:千代田プロダクション
- タイトルデザイン:杉澤英樹
- 制作デスク:伏川政明
- 製作担当:松本堯一
- 設定進行:木村房代
- 製作進行:久保真、神島功、阿部信雄
- アニメーション制作:スタジオぴえろ
- 製作:学研
[編集] 声の出演
- ニルス:小山茉美
- キャロット:山崎唯 ※アニメ版のオリジナルキャラクター。原作には存在しない
- モルテン:安原義人
- アッカ:寺島信子
- グンナー:田中秀幸
- イングリット、ナレーション:松島みのり
- グスタ:千葉繁
- ラッセ:緒方賢一
- スイリー:松金よね子
- ダンフィン:滝沢久美子
- ゴルゴ:玄田哲章
- レックス:富山敬
- ニルセン:三輪勝恵(第39話のみ高坂真琴)
- 妖精:槐柳二
- エメリック:はせさん治
- バタキ:八代駿
- オーサ:中野聖子
- マッツ:横沢啓子
- 雄鶏:水鳥鉄夫
- メイローズ:増岡弘
- ニルスの父:津嘉山正種
- ニルスの母:池田昌子
ほか
[編集] サブタイトル
全52話 各25分(実各29分)
- 第1話 わんぱくニルス
- 第2話 小さくなったニルス
- 第3話 がちょうに乗って
- 第4話 森のリスのSOS
- 第5話 モルテンの大ピンチ
- 第6話 鳥の体力テスト
- 第7話 ネズミの戦い
- 第8話 ツルの舞踏会
- 第9話 はらぺこニルス
- 第10話 レックスの悪だくみ
- 第11話 あるく銅像
- 第12話 モルテンの初恋
- 第13話 地獄谷の羊たち
- 第14話 月夜に浮かぶ幻の街
- 第15話 欲ばりカラスと金貨のつぼ
- 第16話 カラスのボスを決めろ
- 第17話 おとりにされた子ガモ
- 第18話 湖がなくなる
- 第19話 あまえん坊の子ジカ
- 第20話 ヘビの仕かえし
- 第21話 お天気魔女のいたずら
- 第22話 森を追われるふたごのクマ
- 第23話 大洪水 白鳥の湖
- 第24話 くたばれレックス 番犬作戦
- 第25話 空からの救えん隊
- 第26話 嵐の日の出来事
- 第27話 モルテンの婚約
- 第28話 街角でうたうニルス
- 第29話 捕らわれのオオワシ
- 第30話 焼きたてのパンの味
- 第31話 森の妖怪
- 第32話 危ないニルス 山火事だ
- 第33話 五羽のていさつ隊
- 第34話 太陽と氷の精の戦い
- 第35話 父を探すガチョウ番の子
- 第36話 鳥たちの恋
- 第37話 しんまいパパのモルテン
- 第38話 日が暮れないラプランド
- 第39話 あとを追わないでゴルゴ
- 第40話 オオカミのしゅうげき
- 第41話 湖の火まつり
- 第42話 森をつくった大男
- 第43話 ニルスの子守
- 第44話 閉じこめられたバタキ
- 第45話 満月のゆうれい屋敷
- 第46話 銀いろに光る海
- 第47話 村まつりのよびもの
- 第48話 レックスの新しい旅立ち
- 第49話 秘密を知ったニルス
- 第50話 ガンのプレゼント
- 第51話 なつかしいわが家へ
- 第52話 さようならアッカ
[編集] 主題歌
- エンディング
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- 「いつまでも友だち」 作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、歌:加橋かつみ
- 挿入歌
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- 「ワンダフルアドベンチャー」 作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、歌:加橋かつみ
- 「ぼくはキャロット」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:キャロット(山崎唯)
- 「腹ペコ・レックス」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:レックス(富山敬)
- 「わたしは歌う(スイリーのテーマ)」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:スイリー(松金よね子)
- 「わんぱくニルス」 作詞:奈良橋陽子、山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ、歌:小山茉美
- 「The Song to Nils」 作詞:奈良橋陽子、作曲:タケカワユキヒデ、歌:加橋かつみ
- 「ニルスのふしぎな旅」の英詞版
[編集] 豆知識
- スウェーデンの20クローナ紙幣の表面には作者セルマ・ラーゲルレーヴの肖像が、裏面にはモルテンに乗っているニルスの絵が印刷されている。[1]
[編集] 脚注
- ^ 「イノセンス 押井守の世界 PERSONA 増補改訂版」より
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
NHK総合 火曜19:30枠 | ||
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