ニシン目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニシン目 Clupeiformes | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
タイセイヨウニシン Clupea harengus |
||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
下位分類 | ||||||||||||||||
本文参照 |
ニシン目(にしんもく)Clupeiformesは、硬骨魚類の分類群の一つ。イワシ、ニシン、サッパ、コノシロなどを含むグループである。
目次 |
[編集] 概要
83属・約360種が知られ、うち日本には26種が分布する。全長は10cm-30cmほどのものが多いが、オキイワシは全長1mほどになる。
熱帯から温帯にかけての温暖な浅い海に多くの種類が分布する。ただし中には寒帯の海や汽水域に分布するニシン、産卵期に川を遡上するエツなどの例外もある。日本産ではないが一生を淡水で過ごす種類もいる。
体型は細長い円筒形のものや、植物の葉のように左右に平たいものがいる。胸鰭は腹側に偏り、背鰭は1つだけである。鰭は全て軟条からなり、棘条(とげ)は発達しない。各鰭は体に対して小さく、遊泳力が高い。速く泳ぐ時は体の後半部を激しく振って泳ぐ。体色は背面が青や灰色、体側から腹部にかけては銀白色になっているものが多く、これは光が差す水中で保護色となる。
群れを作って環境や季節に応じた回遊をしながら生活するものが多い。特にマイワシやニシンなどは海面が黒く染まるほどの大群を作ることがある。
おもな食べ物はプランクトンで、口を開けて海水ごと吸い込み、鰓にある鰓耙(さいは)でプランクトンを濾過摂食する。ニシン目魚類の歯は発達しないが、プランクトンを捕捉する鰓耙は櫛状によく発達する。ただしオキイワシは犬歯状の鋭い歯を持ち、他の魚を捕食する。
天敵はイカ、サメ、アジ、カマス、マグロ、クジラ、イルカ、人間など多岐にわたり、海の食物連鎖で重要な位置を占める。これらの天敵に遭うと密集隊形を作り、一斉に同調して泳いで敵の攻撃をかわす。この時に他の個体とぶつかることはない。
多くが重要な食用魚となっており、巻き網や定置網、刺し網などで多量に漁獲される。食用の他にも釣り餌、飼料、肥料などに使われる。
[編集] 分類
- デンティケプス科 Denticipitidae
- カタクチイワシ科 Engraulidae
- オキイワシ科 Chirocentridae - オキイワシ(サイトウ)
- ニシン科 Clupeidae
ただし、ヒラ亜科はヒラ科(Pristigasteridae)とし、ニシン科とは別に分類することもある。
ニシン科の化石種 Knightia alta |
[編集] 参考文献
- 岡村収監修(ニシン目執筆者 : 佐藤陽一)山渓カラー名鑑『日本の海水魚』 ISBN 4-635-09027-2
- 藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
- 檜山義夫監修 『野外観察図鑑4 魚』改訂版 旺文社 ISBN 4-01-072424-2
- 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0042-7