ナイター競走
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ナイター競走( - きょうそう)とは、最終競走を夜(概ね20時30分前後)の時間帯に合わせるよう、第1競走ほか各競走の発走時刻を設定した、公営競技の開催形式のことである。ナイターレースとも呼ばれる。
名称については野球のナイターを模して呼ばれている。主に気温が上がる春から秋にかけて行われているが、冬期においてもナイター競走を実施している公営競技場もある。
日本では、1986年7月31日に大井競馬場(東京シティ競馬)で公営競技初のナイター競走開催が実施された。大井競馬場のナイター競走成功による売上増加という結果を受けて以降、増益確保やイメージアップを図る観点から開催する公営競技場が増え、いわき平競輪場、丸亀競艇場、大村競艇場も将来、ナイター競走場に加わる予定である。
日本以外ではイギリスやスペイン、それに香港などの競馬でもナイター競走は行われる。中には開始時間が日没後という例もある。
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[編集] 実施された背景
- 南関東地区の地方競馬は、土曜・日曜開催の中央競馬と商圏が重なるため平日に開催せざるを得ない。
- 平日の昼間に会社員は来場することが難しく、観客層が限られる。これに対し、会社が終わる午後5時以降に集客焦点を合わせてレースを実施できる。
- したがって、大都市圏では特に平日の昼間に開催するより夜間に開催したほうが、照明代などの夜間開催にかかる経費を差し引いてもそれに見合うだけの集客が見込める。
- 大井競馬場は住宅地区とは離れており、夜間開催による周辺地域への影響が少ない。
[編集] 問題点
- 夜間に開催を行なうことから周辺地域への影響が大きい面もあり、屋内施設の前橋競輪場や、既にほぼ施設の整っている立川競輪場は、開催を希望している[要出典]ものの実現していない。また名古屋競馬場でも、20年来の検討課題とされ、近年も存続の切り札として検討されているが、設置費用や周辺住民の理解の問題から、未だ実現していない[要出典]。
- 各公営競技のビッグレースがナイターで開催されると、テレビやラジオの視聴率や全国枠(放送時間)の問題から地上波民放での中継が独立UHF放送局以外ほぼ不可能になるので放送エリア外の地域では視聴手段が衛星放送、ケーブルテレビ、インターネット中継などに限られてしまう。
- 競輪では全国的にナイター場外発売体制が整っておらず一部の競輪場や場外車券売場でGIIであるサマーナイトフェスティバルを含めナイター競走の場外発売を行っていない。このため、ナイター競走を行っている小倉競輪場では競輪祭朝日新聞社杯争奪競輪王決定戦を、また四日市競輪場では記念競輪 (GIII) を唯一昼間に開催している。
- 競艇では、戸田競艇場が競艇場で唯一ナイター競走の場外発売を一切行っていない(同県内のボートピア岡部では行われている)。
[編集] 開催される公営競技場
現在、ナイター競走が行われているのは以下の各公営競技場である(括弧内は各実施主体と愛称名、施行時期)。
- 大井競馬場(トゥインクルレース、3~11月)
- ナイター競走期間中の最終競走発走予定時刻は20時50分(川崎競馬場も同様で、日本で最も遅い)。
- 川崎競馬場(スパーキングナイター、3~11月)
- 函館競輪場(スターライトレース)
- 京王閣競輪場(TOKYOミリオンナイトレース)
- 松戸競輪場(ファンタジーナイトレース)
- 川崎競輪場(アーバンナイトレース)
- 平塚競輪場(湘南ミルキーウェイレース)
- 四日市競輪場(ベイサイドナイトレース)
- 2007年4月より通年開催(記念競輪を除く)。
- 小倉競輪場(スペースナイトレース)
- 住之江競艇場(住之江シティーナイター)
- 若松競艇場(パイナップルナイター、3月~1月初旬)
- 伊勢崎オートレース場(ムーンライトナイター)
- 飯塚オートレース場(愛称なし)
- 上記他場と異なり一定期間の開催を全てナイター競走とする形態は取っていない。
- 飯塚オートレース場には常設の照明設備がないため、初のナイター競走開催となった2005年8月のGIダイヤモンドレースにおいては、移動式照明車を計14台搬入の上、走路内外に配置する形態が取られた(2005年のナイター開催はこのダイヤモンドレースのみ)。なお2006年は、前述のGIダイヤモンドレース(2006年8月19日~23日)に加え、SGオートレースグランプリ(2006年9月20日~24日)もナイター競走として行われた。
[編集] その他
現在に至るまで中央競馬でのナイター競走は開催されておらず、その計画や構想も現在の所されていない。