ドルビーラボラトリーズ
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ドルビーラボラトリーズ(英語:Dolby Laboratories, Inc.)は、映画、テレビ、記録メディアその他の音響記録・再生技術の研究、開発を行う米国の企業である。現在、サンフランシスコ(本社)、バーバンク、ニューヨーク、ロンドン、東京にオフィスを持つ。
高校時代、アンペックス社でアルバイトをした事がきっかけで、以来音響一筋60年の米国人技術者レイ・ドルビー博士が1965年にノイズリダクション技術の研究所をロンドンに設立。彼はまた、初期のビデオテープレコーダであるアンペックス社の2インチVTRの開発において、オーディオ記録再生技術を担当した。同社は装置製造だけでなく開発した技術を他社に積極的にライセンスすることで収入を得るビジネスモデルを採用している。MPEG-AACのライセンス供給者の1社でもある。
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[編集] ドルビーエンコードの映画
- 1971年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の英国映画『時計じかけのオレンジ』が初のドルビー映画。エンドクレジットにも記載されているが、商標のドルビーマークは当時存在しなかった。
- 日本映画では、1981年8月8日に劇場公開された東宝製作・配給の特撮戦争大作映画『連合艦隊』で、初めてドルビー・ステレオ方式の音響が採用された。なお、『連合艦隊』で採用されたドルビー・ステレオの音響は、4チャンネル・ドルビー・ステレオ(アナログ)方式である。
[編集] 主な技術・製品
[編集] ドルビーノイズリダクションシステム
詳細はドルビーノイズリダクションシステムを参照
ドルビーラボラトリーズが開発した、音響用雑音低減方式。業務用、コンシューマ用など多数の方式がある。
- Dolby A, Dolby B, Dolby C, Dolby S など
- コンシューマ用カセットテープレコーダーにはDolby Bが広く使われて、ほぼ標準のノイズリダクションシステムになっている。
[編集] 録音時の高域特性を改善する技術
- Dolby HX PRO
- 高域の音声信号は、テープに録音する際の搬送波の周波数に近く、波の重ね合わせにより録音時にバイアスを微妙に変化させてしまう。Dolby HX PRO は、この変化を自動的に補正し、録音時の高域特性を改善するための技術である。Dolby HX PRO は、録音時の特性を改善するための機能なので、この機能を使用して録音されたテープは、録音したプレーヤー(レコーダー)で再生しても、他のプレーヤーで再生しても、Dolby HX PRO の効果は現れる。
[編集] 音響高効率符号化方式
音響の高効率符号化(圧縮)方式として、1980年代から研究を行う。
- AC-3
- 米国の地上デジタルテレビジョン放送(DTV)やDVD-Videoに採用されている。
- AAC(Advanced Audio Coding)
- MPEG-2 AACは主に日本のBSデジタル放送と地上デジタル波放送及びSD-Audioに採用されている。
- MPEG-4 AACは、米アップル社のQuickTimeやiTunesをはじめ、デジタル音楽プレイヤー「iPod」やソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーション・ポータブル(PSP)などに利用されている。
- MLPロスレス
- DVDオーディオに採用されたロスレス(可逆型)の圧縮技術。
[編集] 映画のサラウンド記録再生方式
映画の音響再生で、臨場感を高めるため聞き手の周囲を包む音場を再生する技術で主導的な地位を占める。 ドルビーサラウンド、ドルビーデジタル、ドルビープロロジックなど各種の方式がある。 これらの再生にはそれぞれ専用の再生機(デコーダー)が必要になる。
- ドルビーステレオ(アナログ)
- センター、左、右、リアの4ch音声をフィルムにアナログで2チャンネル記録する技術。
- ドルビーサラウンド(アナログ)
- ドルビーステレオを一般家庭用にした技術。ビデオやレーザーディスク、カセットテープなどの2ch音声のみ記録できる媒体に4chアナログ音声を記録させることができる。専用のデコーダーが無い場合は、2chの音声が再生されるため、機材の無い場合は通常のステレオ音声、機材のある場合は4chの音声を再生させることができる。90年代に入ってからはTVゲームにも採用された。
- 代表作 スーパーダライアス(PCエンジン)ジュラシックパーク(スーパーファミコン)パラサイト・イヴ(プレイステーション)スターツインズ(NINTENDO64)など
- ドルビースペクトラルレコーディング(Spectral Recording 略:ドルビーSR)(アナログ)
- ドルビーステレオで行われていたノイズリダクション効果を強力にし、記録音域もさらに広げて音響のクオリティを向上させている。
- ドルビーデジタル
- ドルビー社の音声高効率符号化方式であるAC-3を使った記録方式。ドルビーSRDとも呼ばれる。1チャンネルからマルチチャンネルまで幅広いチャンネルに対応。今までの技術との違いは、アナログではなくデジタルで音声を圧縮記録するということ。AC-3とドルビーデジタルは同じ意味。音声をデジタル処理しフィルムのスプロケット穴と穴の間(フィルムの両端に等間隔であいている穴と穴の間)に信号を記録している。
- ドルビー・デジタル・サラウンドEX
- 家庭用機器ではドルビーデジタルEXと呼ばれる。右後スピーカーと左後スピーカーの間に後部の中央サラウンドスピーカーを置くことによってさらなる音の広がりができた、6.1ch音声。
- ドルビーデジタルプラス
- ドルビーデジタルの後継となる規格。HD DVDの必須音声方式、Blu-ray Discのオプション音声方式として採用されている。最大7.1ch。
- ドルビーTrueHD
- Blu-ray Disc、HD DVDよりさらに次の世代の高精細光ディスクを見据えたロスレス(可逆型)の圧縮技術。96 kHz/24 bitでは最大8(7.1ch)チャンネル、192kHz/24bitでは最大6チャンネルまで記録できる。
[編集] マトリックスデコード再生技術
- ドルビープロロジック(アナログ)
- 2ch音声を4ch音声に変換する技術。ドルビーサラウンドとの違いは2ch記録音声から位相的にサラウンド信号成分を抽出するだけの簡易型技術がドルビーサラウンド、ロジック(方向性強調)回路により隣接チャンネルの分離度を高めるよう4chに変換する技術がドルビープロロジックである。
- ドルビープロロジックII、ドルビープロロジックIIx
- さらに技術を向上させたプロロジックII(2ch音声を5.1chに拡張)、プロロジックIIx(2ch音声を6.1chに拡張)もある。
- プレイステーション2やWiiにはドルビーデジタルプロロジックII対応をうたうソフトがある。対応するデコーダがあれば効果音等を5.1chサラウンド出力できる。
- また、当初はデコード(再生)側だけで7.1ch(または6.1ないし5.1)化する再生オンリーの技術であったが、ドルビープロロジックIIxにおいて、ゲーム用にドルビープロロジックIIインタラクティブエンコード技術が開発された。このエンコード技術を用いてマルチチャンネル音声をマトリックスエンコードし、それをドルビープロロジックII、ドルビープロロジックIIxでデコードする事で、エンコード無しの場合に比べて製作者の意図をより大きく反映する事が可能となった。こうして製作されたソフトはドルビープロロジックII対応ソフト[1]とされ、プレイステーション2、プレイステーションポータブル、Wii(WiiWare含む)等に対応ソフトがある。
[編集] バーチャル技術
- ドルビーバーチャルスピーカー
- 2chのスピーカーで5.1chサラウンドを体験することができる。
- ドルビーヘッドフォン
- 部屋でのスピーカー再生をシミュレートしヘッドフォンでサラウンドを体験することができ、一部のMDプレーヤーやAVアンプで利用できる他、ほとんどのコードレスヘッドフォンで利用できる。
[編集] 記録用音声技術
- ドルビーデジタルレコーディング
- DVDレコーダーやHDD内蔵ビデオカメラで、ステレオ音声を「ドルビーデジタル」の圧縮信号で記録出来るフォーマット。
- ドルビーデジタルステレオクリエーター
- 2ch音声を圧縮信号で記録できるフォーマットで、音声トラックを編集可能。
- ドルビーデジタル5.1クリエーター
- 5.1ch音声を比較的容易に記録できるフォーマット。DVDオーサリングソフト、DVDレコーダー、5.1チャンネル音声記録対応ビデオカメラ等に採用されている。
[編集] 脚注
- ^ 上述の「ドルビーデジタルプロロジックII対応をうたうソフト」とは違う事に注意。