ドクター・バン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドクター・バンとは、松本零士の作品に登場する架空の人物。
目次 |
[編集] 声優
- ただし当初のクレジットは謎の声であり、正体が明らかになる第112話及び最終回エンディングのクレジットでもメーテルの父で、劇中でもドクター・バンの呼称はない。
- 東映アニメBBプレミアムで配信中のwebアニメにおいて、メーテルに指令を下す謎の声として原作者の松本が声を当てている。
- 竹本英史(OVA『宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝』)
- 最終回でメーテルに話しかける場面以外は台詞がなく、竹本はハーロックでクレジットされているためにクレジットはない。
[編集] キャラクター概要
メーテルの父にしてプロメシュームの夫であり、劇場版及び漫画版のプロメシューム曰く「反機械化世界を目指した裏切り者」。近年の作品では、メーテルとエメラルダスが姉妹と設定されたことにより、二人の父となっている。
『999』作中でのプロメシュームとの会話から、彼女の機械化政策に反対し対立などがあったとみられるが、『999』をはじめとする各作品中ではそうした経緯について描かれていない。講談社から出ていた映画1作目のフィルムコミック第4巻での人物紹介では、機械人間の社会を嫌って星を出たとされている。
『999』作中では既に体は滅していたため、原作及び映画1作目においてメーテルが持つペンダントに付けられたカプセルに身をやつしていた。TVアニメでは大母星である惑星プロメシューム都心部から離れたところに巨大なクリスタルの結晶がそそり立つ場所があり、それを模した建物の一室に安置されていた。このカプセルは機械化母星メーテルや機械化帝国の首都とされる大母星(漫画版は惑星大アンドロメダ)を破壊する力を持っている。原作及び映画1作目では黒いカプセル型の形状をしており、前面と後面には松本作品でおなじみの多針メーターが配され、青白い光を放っている。TVアニメではデザインが異なり、白っぽい色をした菱型で真ん中に赤い玉がついたものに変更されていることに加え、メーテルからは「お父様」、妻であったプロメシュームからは夫を呼ぶときの「あなた」と呼ばれており、先述の通りドクター・バンという呼称は漫画版と劇場版1作目でのみ呼称され、TV版には出てこない。
また、『暗黒星メフィストの黒騎士』及び『装甲惑星』のエピソードで、重傷を負ったメーテルの傷を治癒するなど、特殊な力もある。
[編集] 劇中での登場
[編集] 銀河鉄道999
『999』原作の漫画及びTVアニメと映画1作目『銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)』で登場。娘のメーテルに、機械化母星(漫画及びTVアニメでは大母星)と人間の心を失い機械化人となった機械化帝国の女王プロメシュームを滅ぼすよう指示をする。
初登場は漫画及びTVアニメ第1話で、鉄郎とメーテルが泊まったホテルの一室にあるバスルーム内でのメーテルとの会話シーンだが声だけであり、初めて正体が明かされたのは原作の漫画が連載中に公開された先述の映画1作目。
当初は、その指令をメーテルが実行していたが、映画1作目の最終局面では父母の間で悩むメーテルに代わり星野鉄郎が実行し、TVアニメではメーテルと鉄郎により指令が実行された。なお、原作ではメーテルが一人で実行している(詳しい経緯はラー・アンドロメダ・プロメシューム#銀河鉄道999の節を参照)。また、「C62の反乱」(TV版69話)では、鉄郎が指令を実行するのにふさわしい少年かどうかをテストすべく、「時間を食べるテスト」として999から機関車を切り離した状態で1日以上停止させたこともあった。
[編集] メーテルレジェンド
メーテルとエメラルダスの父であり、1000年周期の軌道から離れて寒冷化していくラーメタル星の住民のために人工太陽を作ったが、プロメシュームの部下で惑星や住民の機械化を進めようとするハードギアの謀略により、カプセルの姿に変えられてしまったことが示唆されている。999に乗ってラーメタル星を離れるメーテルへの餞別の品として、メーテルはプロメシュームから黒い喪服と共にカプセルを付けたペンダントとして渡される。
[編集] 宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝
『宇宙交響詩-』では、メーテルの傍に寄り添う猫として登場。最終回で猫の体が黒焦げになってしまうが、その中からカプセルが出てくる。彼は猫の姿を借りて娘のメーテルを見守り続けていたのだった。
[編集] 備考
- メーテルの登場も予定されていたアニメ『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』では、ドクター蛮(ばん)というキャラクターが登場していた。
- 松本零士監修の関連本では、『1000年女王』に登場する少年「雨森始」と同一人物とされている[1]。ただし、始が弥生(プロメシューム)のいる惑星ラーメタルへ渡ったことが描かれている作品はない。また、『メーテルレジェンド』作中でプロメシュームが一家4人で暮らしていた時のことを回想する場面において、生身の体だった頃のドクター・バンの姿が映るが始とは顔や姿が全く異なっている。
- ゲーム『松本零士999』では、『ミライザーバン』のバン一族とも友人であり、彼の名を譲り受けたとされている。
- 『999』DVD-BOX5「時間城の海賊」の封入特典は、設定からリアルに再現したドクター・バンのペンダントである。
[編集] 血縁者
- ラー・アンドロメダ・プロメシューム
- メーテル
- エメラルダス(1990年代以降の作品)
[編集] 参考図書
- ^ 別冊宝島708号『銀河鉄道999 PERFECT BOOK』、松本零士監修、宝島社、2002年、ISBN4-7966-2989-0