ゼルドナーシルト
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ゼルドナーシルト(Söldnerschild)は1997年9月25日にセガサターン用ソフトとしてセガから発売されたシミュレーションRPGである。なお、企画・製作光栄(現コーエー)で、後にプレイステーション版が発売されたときには光栄単独の発売となり、タイトルも「ゼルドナーシルトSpecial」とされた。
一介の傭兵から身を起こして、大陸統一を目指すのが、本作の目的である。他のシミュレーションゲーム(特にコーエーのそれ)と異なり、内政や外交などに直接携わることはできないが、傭兵の立場から国を動かすというスタイルなどからマニアックな人気を博している。
なお、本稿に出ている年数は史実のものではなく、ゲームの中のものであることを予め断っておく。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ストーリー
舞台はリグリア大陸という架空の大陸。この大陸の西部では以前からラーガイル王国と神聖ラーナ帝国の二大勢力の拮抗により平和が維持されていた。ところが、大陸歴939年、ラーガイル王国国王カール8世の急死により、事態は一変する。カール8世の跡を継いだのはまだ1歳のカール9世であり、摂政としてクローヴィス侯爵がその地位に着くと、これに不満を持つ貴族たちがラーガイル王国からの独立を宣言し、ザクセン公国を建国する。さらに穏健派貴族たちも独立、エスタニア共和国を建国し、ラーガイル王国は完全に分裂した。
一方の大国、神聖ラーナ帝国は東方植民政策をやめ、この期に乗じて大陸制覇を目指す。二大国の間にあった諸国も同時に軍事行動を開始し、大陸全土が戦乱の坩堝に投げ出されるようになった。
主人公はこの乱世に終止符を打つために傭兵団を率いて特定の国に貢献し、大陸を統一へと導かねばならない。
[編集] ゲームの進行
1月を1ターンとして都市間の移動、仕事の依頼、戦闘などを行う。
- 中隊長時代
- ゲーム開始から3ヶ月(3ターン)はティーグル傭兵団の一中隊長として過ごすことになる。この時期は仕事を選ぶこともできず、都市の移動も強制であり、チュートリアル的な時期である。
- 傭兵隊長時代
- 951年3月のミッション終了後、ティーグル傭兵団の団長・シュタインドルフの遺志を主人公が継ぎ、新たな隊長となる。この時から自由に都市を移動でき、また仕事の中身も選択することができるようになる。ただし、中隊長が6人になる(951年7月)まであまり多くの仕事を選ぶことはできない。また、隠しパラメーターの武勲値や貢献した国の勢力拡大などに伴い、強制的にミッションが決定する場合もある。
- 武勲値と特定国家への貢献度が一定以上になると騎士に勧誘される。受諾すれば騎士となり、断れば傭兵のまま大陸統一を目指すことになる。
- なお、隠しパラメーターであるカルマ値が一定以上に達したり、傭兵のまま954年に入るとバッドエンドに突入してしまう。カルマはティーグル傭兵団の理想に反した行為や八方美人な戦略を行うと上昇し、教会に寄付を行うと減少する。
- 騎士団長時代
- 騎士への登用を受諾すると、主人公は騎士になり、部隊名もティーグル傭兵団から○○騎士団(騎士団名は各国ごとに異なる)に変更される。騎士になると都市間の移動パートはなくなり、首都に滞在し続けることになる。また、仕事の種類も以下の順に固定され、ミッションへの突入前には100人ほど兵士が補充される。
- 防衛線突破
- 血煙傭兵団との決戦
- 敵国首都攻略1
- 各国ごとの任務(エンディングに影響する)
- 葬送傭兵団との決戦
- 敵国首都攻略2
- 内戦(自国の騎士団や正規軍との戦い)
- なお、最後のミッションはこれまでの選択やミッションの成否で反乱軍か反乱鎮圧軍かのいずれかに自動的に加わる。そして、これまでの応答やミッションの成否によって大陸が平和となるグッドエンドか新たな戦乱の勃発を予見させる「いまいちなエンディング」になる。
[編集] 戦闘
戦場場面はスクエア(四角形)型のマップで構成されている。中隊同士が接触し、攻撃を始めると集団戦闘が始まる。
[編集] 基本システム
一個中隊は一~三個小隊(一個小隊は小隊長と兵士25人(最大)からなる。また、中隊長は一個小隊の小隊長も兼任する)で構成され、戦闘では小隊ごとまたは全小隊に指示を出す。指示を出す際にはコマンドポイントと呼ばれるポイントを消費する。コマンドポイントは制限時間まで上昇し続ける。また、コマンドポイントが足りなければ指示を出すことはできない。
[編集] 兵科と相性
兵科には騎兵・歩兵・槍兵・弓兵・神聖兵・暗黒兵の6種がある。兵科にはそれぞれ相性があり、騎兵は歩兵に強く、歩兵は槍兵に強く、槍兵は騎兵に強いというのが基本的な相性である。また、弓兵はどの兵科に対しても弱く、暗黒兵は神聖兵以外のすべての兵種に対して強く、神聖兵は暗黒兵に強い。
- 騎兵
- 歩兵に対して強く、槍兵に弱い。最も機動力が高く、騎兵のみで構成した中隊は行動範囲が広くなる。平野で最も力を発揮し、森や建物などでは防御力や機動力が落ちる。兵種はトルーパー・ウィングフッサー・ドラグーンがある。
- 歩兵
- 槍兵に対して強く、騎兵に弱い。森や建物で防御力が上がる。兵種はファイター・ガーディアン・ベルセルクがある。自軍では編成できず、敵軍または友軍としてのみ登場するものとして山賊・海賊・盗賊・異民族・村人があるが、これらも歩兵に準じる(なお、海賊は海上で最も力を発揮する)。
- 槍兵
- 騎兵に対して強く、歩兵に弱い。森や建物で防御力が上がる。兵種はパイク・ファランクス・テルシオがある。
- 弓兵
- 接近戦はできないが、コマンドポイントを消費して強力な弓攻撃を行うことができる。なお、弓攻撃には一定の距離が必要である。兵種はショートボウ・ロングボウ・スナイパー。
- 神聖兵
- HP・攻撃力・防御力が非常に高いが、魔法防御力が極端に低い。戦場場面で召喚魔法を使うことで編成できる。兵種はアースゴーレムとストーンゴーレムの二種。
- 暗黒兵
- 神聖兵以外の兵科に強く、魔法防御力がずば抜けて高いが、他の能力はあまり高くない。戦場場面で召喚魔法を使うことで編成できる。兵種はゾンビとスケルトン。
[編集] 魔法
魔法には攻撃魔法・回復魔法・召喚魔法・補助魔法がある。一定のレベルに達すると教会で習得することができる。
- 攻撃魔法
- 敵小隊にダメージを与える。魔法ごとに攻撃範囲が決まっており、タイミングを誤るとほとんどダメージを与えられないこともある。また、一定の距離をとらなければ使用すらできないものもある。自軍中隊長はいずれかの攻撃魔法を習得する。また、山賊・海賊・盗賊・異民族および暗黒兵は必ず習得している。
- 回復魔法
- 味方小隊の兵士・小隊長のHPを回復する。主に神聖兵を率いるものが習得する。
- 召喚魔法
- 神聖兵と暗黒兵を召喚したり、消滅させたりする。召喚するものは戦場画面でしか使えず、戦闘に突入すると使用できない。逆に召喚した兵を消滅させるものは戦闘中しか使えない。
- 補助魔法
- 戦闘中、味方ステータスを上昇させたり、敵ステータスを減少させたりする。特に敵の魔力(=魔法防御力)を減少させるドレイン系は極めて「凶悪」な威力を発揮する。
[編集] 一騎打ち
戦場マップで特定の敵中隊と主人公の中隊が接触し、戦闘を開始するとイベントが発生し、一騎打ちが発生することがある。攻撃と防御を交互に行い、HPがゼロになったほうが敗北となる。野戦での一騎打ちに敗北すると即ゲームオーバーになるので受けるか否かの判断は慎重に行う必要がある。
- 攻撃側コマンド
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- 攻撃
- 通常攻撃。回避されたり、反撃を受けたりすることもある。
- 気合
- 必殺技を使うために必要なテクニカルポイント(TP)をためることができる。通常は2ポイントたまるが、素手のときのみ3ポイントたまる。
- 必殺
- TPを5~10消費して大ダメージを与える。強力な技ほど、多くのTPを消費する。武器によって必殺技の種類が異なり、武器ごとの必殺技を習得していなければ使用できない。
- 防御側コマンド
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- 防御
- 必ずダメージを受けるが、その威力を確実に半減できる。
- 回避
- 成功すると、ダメージを受けないばかりか、TPが1ポイントたまる。回避成功率は素早さに左右される。必殺技は回避できない。
- 反撃
- 成功すると、敵の攻撃を回避して逆にダメージを与える。TPを1消費する。成功率は素早さによる。必殺技には反撃できない。
[編集] ゲーム中の国家・傭兵団
[編集] 傭兵団
- ティーグル傭兵団
- 主人公たちが所属する傭兵団。団長はシュタインドルフから主人公に。大陸を統一し、平和をもたらすことを目的とする。騎士団に登用されると名称がそれぞれの国ごとに変化する。
- 葬送傭兵団
- 大陸最強の傭兵団であり、ティーグル傭兵団の宿敵。非常に強大だが、相手だけでなく雇い主も滅ぼすといわれ、恐れられている。
- 血煙傭兵団
- 略奪や虐殺といった非道な仕事を好む傭兵団で、葬送傭兵団と共にティーグルの宿敵。
- メデューサ傭兵団
- 大陸では珍しい、女性幹部のみの傭兵団。主人公たちとは因縁浅からぬ関係で、敵対することも協力することもある。
- クロトワ傭兵団
- ティーグル傭兵団と志を共にする数少ない傭兵団。主人公が騎士に登用されると二つのミッションで協力してくる。
[編集] 国家
- 神聖ラーナ帝国
元首は皇帝フリードルム2世。キーパーソンは副宰相のオズワルド。ゲーム開始段階で領土・軍事力共に最大の国家。聖職者の叙任権をめぐる争いから法王との関係が悪化し、法王寄りのフェンリル王国と敵対する。フリードルム2世は軍備増強に力を入れる一方で、内政には関心を持たず、国政は宰相ラスローに一任されている。軍備優先の政策のため、国内には重税が課されており、不満を持つ民衆による革命の動きもある。また、法王との関係についても皇帝と宰相との意見が食い違っており、法王寄りのラスローはしばしばフリードルムを諌めている。騎士団名には雷の字がつく。
- グラングール王国
元首は国王カール9世。キーパーソンは摂政・クローヴィスと軍事総督・フランソワ。分裂したラーガイル王国の正統を継ぐ。ラーガイル分裂のきっかけを作ったザクセン公国を謀反人の国として、敵視する一方、エスタニア共和国とも対立している。摂政クローヴィスは政務能力に長けた忠義の士ではあるが、独裁的な性格のため、国内の騎士の一部も反発を強めている。騎士団名には日・月・星がつく。
- ザクセン公国
元首は国王フォイエルバッハ。キーパーソンは双頭竜騎士団団長フェルディナント。クローヴィスと敵対していたフォイエルバッハが、一族や彼に共鳴した貴族たちと共にラーガイルより独立する。独立より十数年を経たが、フォイエルバッハは病がちとなり、王子マンフリートは優しい性格から軟弱者とみなされている。このため、フェルディナンドとその姉ロイテガルドは王子を廃嫡に追い込み、国をのっとろうと画策しているふしがある。騎士団名には竜の文字がつく。
- エスタニア共和国
元首は共和国議長ジョバンニ。キーパーソンは大陸一の宿将アルベルト。ラーガイル分裂の際にクローヴィスにもフォイエルバッハにもつかなかった貴族たちが中立的な立場を保全するためにラーガイルより独立する。大陸で唯一の民主制国家(ただし、議会は貴族議会)であるが、よく言えば温厚、悪く言えば優柔不断なジョバンニは議会をまとめ切れず、執政官のロレンツォの発言力が大きくなっている。ゲーム開始段階で最も軍事力が脆弱である。騎士団名には天候にちなんだ名前がつく。
- フェンリル王国
元首は女王クリスティナ4世。キーパーソンは最高顧問のフレデリカ。元首・最高顧問共に女性で、女性優位の国家。大陸の国々の中でも最古の国で、国民の信仰心も厚い。こうした歴史から領土拡大には興味がなく、教会とも極めて良好な関係にある。列国の中でも最北国で厳しい自然環境のため、あまり豊かな国ではなかったが、近年、著しく経済成長している。その影には海賊を利用しているという噂もある。騎士団名には氷の字がつく。
- マイラルド王国
元首は国王アレクシオス3世。キーパーソンは王子ウィレム。辺境の島国であったが、ラーガイル分裂を契機に大陸へ侵出する。旧ラーガイルの中で最弱のエスタニアに標的を絞って侵攻している。大陸進出を積極的に進めているのが王子のウィレムで、その理由は恋人に地平線を見せると約束したことによる。こうした王子の直情的な性格は国民の熱狂的な支持を受けているが、国王の異母弟のエセルバルドはこうした情勢を苦々しく思っている。騎士団名は海にちなんだものがつく。
- ウィッグ神教団
元首は法王クロトーネ7世。キーパーソンは大司教イグナティウス。大陸で信仰されているウィッグ教の総本山。各地の領主の寄進によって一エリアを支配するほどの勢力を持つ。叙任権問題からラーナとの緊張が高まっており、フェンリルをはじめとした諸国を通じて間接的に対抗している。ウィッグ神教団で大陸を統一することはできないが、主人公に異民族撃退の任務を依頼することもある(通常、法王領のギルドではその隣接国からの依頼を受けることができる)。騎士団は法王直属の聖マウテス騎士団のみ。
[編集] 主な登場人物
[編集] ティーグル傭兵団
- 主人公(デフォルト名・アイン)
- 中隊長、後に団長(展開によってはさらに騎士団長)。幼い頃に両親を失い、アナスタシアの父・ロバートに養育される。ロバートが血煙傭兵団によって殺された後に、命の恩人であるシュタインドルフの理想に共感してティーグル傭兵団に加入する。シュタインドルフの死後、彼の理想を継いでティーグル傭兵団の団長となる。
- アナスタシア
- 小隊長、後に中隊長。主人公とは幼馴染の関係。ロバートの死後、主人公やリュークと共にティーグル傭兵団に加わる。気が強い反面、淋しがりや。平和のためにやむなく戦っている様子である。
- リューク
- 小隊長、後に中隊長。主人公たちとは同郷(ただし、面識はなかった様子)。血煙傭兵団によって家族が虐殺されたため、その復讐を目的に主人公たちと同時にティーグルに加わる。性格は一本気な熱血漢。ストーリーが進むにつれ、目的も敵討ちから最強の男になることに移っていく。
- ルイーザ
- 中隊長。騎士に憧れをもち、独学で剣術や兵法を学ぶ。ティーグルでは古参的存在。沈着冷静だが、なぜか「おばさん」と呼ばれることが多く、そう呼ばれると激怒する(設定では主人公より二つ年上で、20代半ば)。
- アントニオ
- 中隊長。伊達男で、ナンパが趣味。ルイーザと同様に古参だったが、誤解から一時追放される。シュタインドルフの死後、中隊長に復帰する。
- ギルフォード
- 中隊長。強大な魔力を持つ伝説的な魔法使い。息子であり、弟子でもあったスマイリーの野望を阻止するためにティーグルに入団する。
- シュタインドルフ
- 初代団長。戦乱を静めるための傭兵団であるティーグル傭兵団を設立する。優れた剣士で二刀流を習得していたが、かつてギルフォードと共にスマイリーと戦った際、左腕を失う。葬送傭兵団との戦いの中で主人公たちを逃がすためにスマイリーと一騎打ちを行い、戦死する。
[編集] 他傭兵団
- スマイリー
- 葬送傭兵団の団長。強靭な肉体と膨大な魔力を持つ。大陸の混乱に乗じて大陸制覇の野心を持つ。大陸統一のための最大の敵であり、シュタインドルフの仇でもある。実はギルフォードの息子かつ弟子。
- コルテス
- 血煙傭兵団の団長。残忍な性格で殺戮と略奪に喜びを覚え、鎧の布地を相手の血で染める趣味がある。主人公、アナスタシア、リューク共通の仇。
- イザベル
- メデューサ傭兵団の団長。自分の美貌に絶対的な自信を持つ。傭兵稼業で手に入れた金は化粧や装飾品のために使う。主人公は昔の恋人に似ているらしく、彼女にとって気になる存在である。
- バーシバル
- クロトワ傭兵団団長。主人公たちの理解者。
- オルハン
- 元ティーグル傭兵団の中隊長。後にティーグルを裏切り、葬送傭兵団に加わる。粗暴で嫉妬深い性格で、部下の手柄を横取りしたり、町の住民を恐喝することもあった。
[編集] SS版とPS版の違い
上記の通り、PS版は光栄単独発売となり、タイトルに「Special」が付け加えられた。それに伴い、PS版ではいくつかの追加・変更が見られる(ハード的な仕様の変化に伴うものは省略)。
- スマイリー、コルテス、イザベラが絡む一部イベント、および前三者と自軍中隊長が魔法を使用した際にCVが挿入される。
- BGMの追加。
- ロードの追加。
- 自軍小隊長や歌姫のプロフィール内容の追加・修正。
- グッドエンディングの場合、スタッフロールが挿入される。
- その他、ゲームバランスの調整。