スティーヴン・セガール
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Steven Seagal スティーヴン・セガール |
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2006年2月、Pollstar Awards |
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生年月日 | 1951年4月10日(57歳) |
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出生地 | アメリカ・ミシガン州 |
職業 | 俳優 |
活動期間 | 1988年- |
活動内容 | 1988年:デビュー |
家族 | 娘 = 藤谷文子 息子 = 剣太郎セガール |
主な作品 | |
『沈黙の戦艦』『暴走特急』 『グリマーマン』 『DENGEKI 電撃』 |
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スティーヴン・セガール(Steven Seagal, 1951年4月10日 - )はアメリカ合衆国の俳優。
目次 |
[編集] 経歴
ユダヤ系の父とアイルランド系の母のもとミシガン州ランシング市に生まれる。
7歳から格闘技に接する。青年期はカリフォルニア州フラートン市で過ごす。カリフォルニアにあるアミューズメント施設のジャパニーズ・ディア・パーク (Japanese Deer park) で空手の実演をした。17歳で来日、英語を教えながら禅、合気道、剣道、柔道、空手を学ぶ。合気道7段。ほかにも太極拳を始めとして、複数の中国武術を学ぶ。
大阪・十三にある合気道道場の娘、藤谷美也子と1975年に結婚し、大本教に入信。藤谷文子と剣太郎セガールをもうける。1983年にアメリカへ帰国。1984年、女優アドリエーン・ラルッサと結婚。この時点でセガールは事実上の重婚となる。この重婚を知ったアドリエーンはこれが許せず、同年に離婚。1986年には、さらに最初の妻・美也子とも離婚が成立。その後、『ハード・トゥ・キル』で競演した女優、ケリー・ルブロックと1987年9月5日に結婚し、一男二女を授かるが、1996年に離婚。
[編集] 演技の特徴
[編集] 無敵の男
身長193cm。『如何にも強そう』な精悍な顔立ちをしている。代表作は『沈黙の戦艦』を始めとする沈黙シリーズ。元軍人や刑事、元特殊部隊の隊員などの百戦錬磨の経歴を持ち、東洋武術の達人で凄腕かつ冷静な主人公を演じることが多い。大きな困難やピンチが無く、一方的に敵を壊滅させるストーリーが大半で、その圧倒的な強さが痛快で人気を博している。出演する映画の役作りは、髪の毛をうしろで束ね、黒ずくめもしくは中国風の服を着た寡黙な武道の達人というキャラクターでほぼ共通している。出演する映画における役柄がほとんど同じと言うこともあって、役ごとの演じ分けがあまり見られない。
セガールは常に、圧倒的戦闘力を持つ不死身の男を演じている。最も大きなダメージを受けたハード・トゥ・キルでも、全身に銃弾を浴びるが死には至らず、7年後に目を覚まして回復している。
主演作では無いものの、『エグゼクティブ・デシジョン』(友情出演)では途中でアッサリと退場し、観客を唖然とさせている。この作品がセガールが映画の中で唯一死亡した作品と言われているが、死体の確認はなされていない。
近年ではこうした「強すぎる」ヒーロー像が、マンネリを通り越して一種の様式美として成立している節もあり、ファンの間ではしばしば「セガールを倒すにはどうしたら良いか」「セガールをもっと真面目に活躍させよう」といった議論が冗談混じりに交わされることがある。またセガール自身も、マウンテンデューのTVCM(日本未放送)において、『強盗に襲われているコンビニに偶然立ち寄ったセガールが、普通に買い物をする過程で次々と悪漢たちを自滅させていき、最後には助けたはずの店員や、駆けつけて来た警官まで誤って倒してしまう』というセルフパロディを演じている。
[編集] セガールアクション
主に合気道の技法を中心としている。ナイフ格闘術はフィリピン系の武器術。他に空手、太極拳、なども多用する。これら武道家ならではのリアルな格闘アクションは、「セガールアクション」「セガール拳」と呼ばれることがある。若い頃、スタントアクション指導中に、ショーン・コネリーの手首を骨折させた。
だが、リアルであるが故にアクロバット要素が薄く、洗練されているがゆえに若干地味でもある。そのため、人気のある派手なアクションに押され気味で、映画の興行成績も下降気味である。また、体重増加や加齢により、セガール自身のアクションも往年のキレを失っている。
近年の作品では格闘シーンに、弱点であった派手なアクロバット要素を取り入れるため、代役(スタントマン)を使うことが多くなり、魅力が半減していると見る向きもある。本国アメリカでビデオストレートとして制作された作品、中でも『撃鉄2 -クリティカル・リミット-』のアクションシーンは、スタントマンのアクションにセガールの顔が挿入されている。
また格闘のほか、拳銃コルトガバメントに愛着がある。彼が演ずる主人公達は、『エグゼクティブ・デシジョン』以外、この銃をメインで使用している。(刑事ニコ/法の死角でも、一部のシーンでSIGやベレッタを使用している)
その圧倒的な戦闘力から、実際にCIAの特殊工作員だったという噂があり、『刑事ニコ/法の死角』のビデオでもそれについて触れられている。『DENGEKI 電撃』公開時に来日した際のインタビューでは、「CIAにいたことなどない」と否定している。
[編集] 日本通
長期間日本の大阪に滞在していたため日本語(大阪弁)は堪能。淀川長治とは日本語で対談を行った。淀川の「日本語がお上手ですね」に対してセガールは「恐れ入ります」と応えた。初主演作品の『刑事ニコ』のオープニングのシーンや、2005年公開の映画『イントゥ・ザ・サン』では日本語の台詞を用いている。2008年、『DAKKAN 奪還 -アルカトラズ-』のテレビ放映時に出演し、日本語はもう20年ほど話していなかった為、忘れてしまったと日本語で語っている。
また、映画の宣伝のために来日した際には、インタビューや出演したバラエティー番組等で大阪仕込のノリ・ツッコミを披露した。日本のテレビコマーシャルにも多数登場し、「アリナミンA」の爆走する車につかまり「こう見えても、疲れまんねん」と言うCMシリーズでは娘・藤谷文子と共演した。ゴジラ(日本)のファンでもある。ただし日本食のうち、マグロの刺身は苦手だという[1]。 しかし、「世界バリバリバリュー」出演時にはマグロの姿造りをホテルで特別注文させて、娘とリポーター山崎まさやとで 普通に食べていた。
日本語は忘れてしまったと謙遜しているセガールだが、コメディアンで画家のジミー大西がTV番組のロケでアメリカを訪れた際、たまたまロケ現場に居合わせたセガールはジミーに「おう。元気か。」「ウチはどこや。」「新宿か。新宿の何処だ。四谷か。そうか。」等話しかけるなど、流暢な日本語でやり取りをしていた。
長く伸ばした髪を後ろで束ねたおなじみのヘアースタイルは侍の髷を意識している。映画宣伝のため来日した際、出演したバラエティー番組で、尊敬する俳優は三船敏郎・志村喬と答えている。セガールが出演した映画の中で、興行的に大成功を収めた作品にはジョエル・シルバーがプロデュースしたものが多いが、シルバーは『DENGEKI』にセガールが出演する際、役作りのための減量のほか「髷」を切るように指示し、セガールはこれに従った。
セガール映画そのものの魅力のほかに、このような経緯もあって「第二の故郷」日本での人気はいまだ根強く、アメリカでビデオストレートの作品が、日本で劇場公開されていることも多い。
[編集] 趣味・こぼれ話
映画中で、ギターを上手に演奏するシーンがあることから分かるとおりギター愛好家で、ヴィンテージのギターやカスタムのアンプなどを大量に保有している。腕はかなりのもので、雑誌『Player』で2005年12月号、2006年3月号で特集された。なお、2005年にはアルバム『Songs From The Crystal Cave』でミュージシャンとしてもデビューしている(このアルバムではゲストミュージシャンとしてスティーヴィー・ワンダーも参加)。ほかにも料理などが得意とされているが、詳細は不明。 日本刀のコレクターとしても有名である。多くの日本刀を所有している。
スターだった時の名残りか、遅刻と早退の常習犯で、『沈黙の脱獄』と『沈黙の傭兵』を製作したキル・マスター・プロダクションとニュー・イメージから、映画製作を遅らせたとして訴えられた。その訴訟内容の中には勝手に脚本を書き換えたり、取り巻き連中による撮影の妨害という内容まである。
「僕は映画出演は好きじゃない」とインタビューで答えたことがある。
アメリカでは「Steven Seagal's Lightning Bolt」という栄養ドリンクをプロデュースしている。
阪神タイガースのファンである。タイガースの低迷期に大阪の朝日放送のインタビューで「今年もまた負けたらしいのう。わしゃ、もう情けないわ」と関西弁で答えた。
[編集] 受賞歴
- ゴールデンラズベリー賞 最低監督賞:『沈黙の要塞』
[編集] 主な出演作品
邦題は「沈黙」の名が冠され、「沈黙シリーズ」と呼ばれることが多いが、実質シリーズ作なのは『沈黙の戦艦』とその続編『暴走特急』のみ。
- 刑事ニコ/法の死角(1988) Above The Law
- ハード・トゥ・キル(1990) Hard To Kill
- 死の標的(1990) Marked For Death
- アウト・フォー・ジャスティス(1991) Out For Justice
- 沈黙の戦艦(1992) Under Siege
- 沈黙の要塞(1994) On Deadly Ground
- 暴走特急(1995) Under Siege2 "Dark Territory"
- エグゼクティブ・デシジョン(1996) Executive Decision (友情出演)
- グリマーマン(1996) The Glimmer Man
- 沈黙の断崖 (1997) Fire Down Below
- 沈黙の陰謀 (1998) The Patriot
- 沈黙のテロリスト (2001) Ticker
- DENGEKI 電撃(2001) Exit Wounds
- DAKKAN 奪還 -アルカトラズ-(2002) Half Past Dead
- GEKITETZ 撃鉄 -ワルシャワの標的-(2002) The Foreigner
- 沈黙の標的 (2003) Out For a Kill
- 沈黙の聖戦 (2003) Belly Of The Beast
- ICHIGEKI 一撃(2004) Out Of Reach
- 沈黙の追撃 (2005) Submerged
- イントゥ・ザ・サン(2005) Into The Sun
- 沈黙の脱獄 (2006) Today You Die
- 撃鉄2 -クリティカル・リミット-(2006) Black Dawn
- 沈黙の傭兵 (2006) Mercenary For Justice
- 沈黙の奪還 (2007) Shadow Man
- 沈黙のステルス (2007) Flight Of Fury
- 沈黙の激突 (2007) Attack Force
- 沈黙の報復 (2007) Renegade Justice ※米国版DVDでは「Urban Justice」と表記。
- 弾突 DANTOTSU(2008) Pistol Whipped
- Killing Point (2008)
なお、『沈黙のステルス・激突・報復』は、「オヤジの映画祭」と銘打って3連続[2]で封切されている。これはシルヴェスター・スタローン(61歳)とブルース・ウィリス(52歳)、それぞれの『ロッキー・ザ・ファイナル』『ダイ・ハード4.0』での活躍という「オヤジの波」にセガールも乗っていこうというものである。コンセプトは「2007年、リタイアを迫られる団塊の世代。でも本当に終わりでいいのか? あきらめきれない夢はないのか? 己の生き様を見せつけたスクリーンのヒーローたち。そして今、人類最強のオヤジが新たに戦いに挑む。オヤジ達よ、熱い魂を呼び覚ませ! 挑まんかい!」
ちなみに『沈激のステルス・激突・報復』にはそれぞれ「オヤジ、空に挑む。オヤジ、超人に挑む。オヤジ、死に挑む。」と、テーマ付けされている。
[編集] 日本語吹替えを担当する声優
- 大塚明夫:(主にテレビ版。最近はビデオ版も担当)
- 玄田哲章:(主にビデオ版、ワーナー・ブラザーズ配給のものが多い)
- 津嘉山正種:(初期のビデオ版)
- 屋良有作:(初期のビデオ版)
- 谷口節:(初期のテレビ版)
- 宇崎竜童:(『ハード・トゥ・キル』DVD版のみ)
セガール本人の声は、どちらかと言えばややか細く優しい感じで、その勇ましい顔つきとは対照的である。そのためセガールの吹き替えをする声優を選ぶのは難しかったようで、初期の頃は本人の声に印象の似た声優が選ばれていたが、役柄とのギャップがあったためか、最近では「顔」に合った声優が担当している。