ジョーカー (トランプ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョーカー(Joker)は、トランプの中に含まれる特別なカードである。
目次 |
[編集] 概要
通常のデッキには2枚のジョーカーがある。ジョーカーのデザインはトランプのメーカーによって異なる。メーカーによっては1枚のジョーカーのデザインがフルカラーで、もう1枚のジョーカーが同じデザインで白黒になっている。ほかのメーカーのものでは、1枚が赤いジョーカー、もう1枚が黒いジョーカーになっている。ジョーカーの間にもランクがあるゲームでは、色つきのジョーカーが白黒のジョーカーよりも上位に位置する。赤いジョーカーと黒いジョーカーがあるものでは、赤いジョーカーがハートまたはダイヤ、黒いジョーカーがスペードまたはクラブの代用になる。ジョーカーには、しばしばジェスター(Jester)がデザインされている。
ジョーカーの使用方法は非常に多様である。多くのトランプゲームはジョーカーをまったく使用しない。その他のゲームでは、ジョーカーはそのゲームの中で最も重要なカードとなる。しばしばジョーカーはワイルドカードとなり、既存のカードが存在する範囲でそのカードを再現することを許可する。「ザ・ジョーカーズ・ワイルド」(The Joker's wild)という用語はこれが起源である。
ジョーカー(Joker)という言葉は英語で「おどけ者」という意味(ゆえにしばしば道化師が図案化されている)だが、当時家庭内のゲームとして遊ばれていたユーカー(Euchre)のアルザス語(ドイツ語のアレマン方言)形であるユッカー(Jucker、標準ドイツ語では馬車うまの一種を指す)から来ていると考えられている。あるいは、当時一般に最も普及していたユッカーとポーカー(Poker)の言葉を組み合わせて作られたとも言われている。
ジョーカーは有益なカードであるが、時として有害なカードにもなる。ユーカーでは最高位の切り札としてしばしば用いられる。ポーカーではワイルドカードである。しかし、こどもたちのゲームであるババ抜きでは、孤独なメイドを再現するジョーカーは避けられるカードである。
ジョーカーは時々Uの上にSが置かれた記号で表されることがあるが、誤ってドル記号が起源であると思われている。これは米国の大手カードメーカーであるU.Sプレイング・カード社が自社のカードのジョーカーにUとSを組み合わせた意匠を用いているものである。
ジョーカーはしばしばタロットの大アルカナに含まれる愚者と比較される。愚者とジョーカーにはその外観やプレイの機能において多くの類似点をもつ。愚者もしばしば最高位の切り札として用いられる。
[編集] トランプゲームでの使用例
- ユーカーやファイブ・ハンドレッド(500)、スペードでは最高位の切り札であり、ベニー(Benny)またはトップバウアー(top bower)と呼ばれる。
- カナスタではジョーカーと各スートの2がワイルドカードである。しかし、ジョーカーを含んだ組み合わせ(melding)が50点であるのに対し、2を含んだ組み合わせは20点という違いがある。
- ジン・ラミーではジョーカーはワイルドカードである。
- ハートではジョーカーを入れないのが標準的なルールだが、変則ルールで特別な性質を持つペナルティカードである。
- ポーカーではワイルドカードであるが、変則ルールではAとして使うか、フラッシュまたはストレートに含めることしかできないなどのようにジョーカーの効力を制限することがある。効力が制限されないと非常に強力だからである。ジョーカーが手札の中に含まれていれば最低でもワンペアが保証されるし、ワンペアがスリーカードに昇格し、ツーペアがフルハウスに昇格する。はなはだしい例では、フォーカードがファイブカードに昇格し、しかもファイブカードはロイヤルストレートフラッシュよりも上位に位置する最高位の役である。
- またポーカーでの別の使用例として、どのプレイヤーがディーラーであるかを示すボタン(Button)の代わりに用いられる(麻雀の起家マークのようなもの)。
- チェイス・ザ・エース(Chase the Ace)の変則ルール「チェイス・ザ・ジョーカー」では、Aの代わりにジョーカーが用いられる。
- 戦争では、ジョーカーはすべてのカードに勝つ。
- ババ抜きでは、逆に最後までジョーカーを持っている人が負けとなる。
[編集] トランプ以外での使用例
[編集] フィクションにおける使用例
- 『バットマン』に登場する敵役のジョーカーは、当初はトランプのジョーカーに基づいた外観であった。最近のバージョンでは、武器と名刺として非常に鋭利なトランプ(特にジョーカー)を用いる。
- NINTENDO64のゲーム、『ファイティングカップ』にはジョーカーという名前の最も強いキャラクターが登場する。