ジェームズ・ヘックマン
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ジェームズ・ヘックマン(James Heckman,1944年4月19日 - )は、アメリカ合衆国のシカゴ大学の経済学者。2000年に労働経済学の計量経済学的な分析を精緻化したことでアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞を受賞。
主要な業績
1978年の論文(Econometrica)によって内生ダミー変数の扱いを論じ、ヘックマンの二段階推定量(通称 Heckit)と呼ばれる推定方法を提案した この内発性は、計量経済学者には観測されない個人のみが知っている要因が存在し、それに基づいて予想されたTreatment Effectによって個人がTreatmentを選択していることが前提となっている つまり、データとなるTreatmentを受けたグループとTreatmentを受けなかったグループでは、Treatment Effectは必然的に異なり、Treatmentを受けなかったグループがTreatmentを受けた際(Counterfactual)のTreatment Effectを推定可能にした 様々な政策評価や賃金の教育に対するリターンなどで利用されている
Selection Biasに留まらず、通常の回帰では個人間で一定とされてきた係数は、様々な集団によって異なるというリターンの多様性を強調している 2005年の論文(Journal of Labor Economics)では、異なる集団(テスト時における学年の違い)によって異なるFactor Loadingsを許容するFactor AnalysisをNoncognitive Factor、Cognitive Factorの双方で用いた
1985年の論文(Robbとの共著)以来、Treatmentモデルの精緻化を続けている
論文の特徴としては、現実の労働経済に関する豊富な知識から得られる問題意識を、様々な統計手法を用いて計量経済モデル化し、実データを用いて分析するという三段構えのものが多く、長大化する傾向がある。論文生産量はコンスタントに年5本以上という計量経済学者にあるまじきハイペースを続けている。あまり査読にかけられないのか読みにくい論文も多く、院生泣かせな研究者である
学者となって以来、コロラド大学、プリンストン大学、コロンビア大学、シカゴ大学と移りながら研究を重ねてきた。
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