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モーリス・アレ - Wikipedia

モーリス・アレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

モーリス・アレ (Maurice Allais, 1911年5月31日 - )は、フランスの経済学者・物理学者。スウェーデン国立銀行賞(ノーベル経済学賞)を1988年に受賞した。受賞理由は、市場の理論と資源の有効活用法への貢献である。

目次

[編集] 人生

モーリス・アレは1911年にパリに生まれた。両親はチーズ店を経営していた。父は1915年にドイツの捕虜として死んだ。モーリスは1931年に理工科学校(エコール・ポリテクニーク)に入学し、1933年に首席で卒業した。1936年から鉱山技師して勤務した。1939年に兵役に入り、1940年のフランスの敗北まで精力的に働いた。1947年には、モン・ペルランの会の設立と同時に会に加入した。その後行政庁の役人に戻り、1948年まで勤務した。その年には彼の最初期の仕事を数冊出版した。彼は研究者・教師として充実した生活をし、科学賞を14回も受賞した。その14のなかには国立科学研究所金賞、ノーベル経済学賞もある。1980年に定年を迎えたが、いまも研究・教育活動に取り組んでいる。

[編集] 「カレーの旅行者」

モーリス・アレは、「パリ行きの列車にカレーから乗った旅行者は、どれほどの費用を払うことになるか」という問題を考えた。

  • 追加の資源の消費が本当は非可算であることに車掌が気付き、ほとんど全く無視したいような気になる。
  • 列車長が謙虚な場合:もし60人の旅客が彼と同様の行動をしたら、列車に車両をもう1両つながねばならない。それゆえ、旅程において、その車両の値段の60分の1を無視せねばならなくなる。
  • 路線の管理者がこの事実を耳に入れようとしない場合:いつまでの追加の車両を列車につないでおくわけにはゆかない。20両編成の列車の端では、それらを2倍して計算する必要がある。なので、彼は、先行する車両のモーターの費用と乗務員の給与のさらに60分の1、つまり1200分の1を無視したい願う。
  • 鉄道網の責任者が全くこれらに同意しない場合:列車の量を多くするには、必ず線路そのもののリスクがかかる。50本の列車を1日に運行するには、線路を2倍にせねばならない。それゆえ、鉄道会社は、線路の敷設の費用の120000分の1を加えて計上する(いつも輸送の時期と関係がある)。

モーリス・アレは、これらの単純化した議論により、鉄道会社が赤字を望まない限り、切符の最小の費用の算定する方法を見出した。この理屈は「カレーの旅行者」という隠喩的な名前で知られている。

[編集] アレのパラドクス

アレの発言で最も有名なのは、1953年にニューヨークで行われた会議における「アレのパラドクス」である。これは、ジョン・フォン・ノイマンが育てた「望ましい効用」という常識を基礎にしている。

この会議のとき、アレは、連続する2回のくじに関する質問を、たくさんの参加者に問いかけた。

  • 1回めのくじ
    • オプションA:確実に1000ドルがもらえる。
    • オプションB:10%の確率で2500ドルがもらえて、89%で1000ドル、そして1%は賞金なし。
  • 2回目のくじ
    • オプションA:11%の確率で1000ドルがもらえて、89%は賞金なし。
    • オプションB:10%で2500ドルもらえて、90%は賞金なし。

ほとんどの場合、参加者は1回目のくじではAを選択し、2回目のくじではBを選択する。1回目のくじにおいては、個人は期待利得の低い方を選択し、2回目のくじにおいては、期待利得が大きい方を選択したのだ。この実験は何度も繰り返されたが、全て同じ結果になった。 このパラドクスは、新しい学問である行動経済学において、プロスペクト理論などで理論的な説明がなされている。

[編集] アレ効果

「アレ効果」は「アレの特異状態」とも呼ばれるもので、1954年にアレが証明した。アレ効果は、中断により起こる:皆既日食の間、振り子時計は正常な動作をするように調整される。1959年の日食のとき、物理学者アレは自分の理論を証明を試みた。しかしそれは今日に至るまで成功していない。アレ効果は稀にしか観測されない。その主な理由は、皆既日食が稀少であることと、厳密な実験計画の設計と維持が難しいことである。いまのところ、最新の実験でもアレ効果の存在を確信させる結果は出ていない。

今日までの実験結果から考えると、アレ効果はエーテルという物体によるものだと考えられる。エーテルとは、宇宙でanisotropiqueを手に入れるためのものである。アレは自分の理論を、1997年の著書『宇宙におけるanisotropie』で解説している。

[編集] 格言

「あえて言うが、銀行が通貨を創造することと犯罪者が通貨を偽造することの違いは、法律で禁止されているかどうかだけだということはみな知っているだろう。」

「制度上の市場経済は、世界規模の自由貿易を支持する自由放任主義者の奇妙な仮装行列とはまったく違うものだし、また、これら二つに共通点はまったく無い。」

[編集] 論文

モーリス・アレは90本以上の論文を出した。

アレの書いたもののうち最も重要なのは、『今日の世界の危機』(クレマン・ジュグラー、1999)である。この本のなかで、アレは、リベラル陣営は世界規模での財政システムの改革をトービン以上に積極的に提言していることを指摘しており、そして、もし彼らが「左派の経済学者」になるならば、それはユートピア主義的で良くないと主張している。その本の献辞はこうだ:「この本は世界的な自由貿易主義者のイデオロギーや、致命的に間違ったイデオロギーによる世界中の無数の犠牲者のなかで、自由貿易イデオロギーに踊らされていない賢明な人に捧げる。」

[編集] 文献

  • Le comportement de l'homme ratinnel devant le risque: critique des postulats et axiomes de l'ecole Americaine, Econometrica 21, 503 - 546. 1953
  • La crise mondiale aujourd'hui (Clement Juglar, 1999).

[編集] 外部リンク


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