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サムライうさぎ - Wikipedia

サムライうさぎ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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サムライうさぎ』は、「週刊少年ジャンプ」で2007年14号から連載中の福島鉄平による少年漫画作品。連載話数の単位はタイトルの「うさぎ」にちなんで「第○羽」。単行本は2008年4月現在5巻まで発刊中。

目次

[編集] 概要

本作品は15歳の下級武士の夫婦を軸にした時代劇である。

下級武士の視点で江戸時代を描いた本作品では、上級武士が権威や規範としている「武士道」というものを懐疑的に描いている[1]。主人公が出会う人物たちの価値観についても、深く知る程にその裏側が明るみになって、それが笑いや話のオチ、時には登場人物の葛藤の原因となる様な構成になっている。こうした構成を支えているのが、現代の日本語による軽い台詞回しであり、「空気読めよ」や「マジうめーよ」、「ウザい」等といった2000年代の若者言葉さえも積極的に取り入れられている。基本的に、物語は主人公のモノローグ(独白)によって進行する。真面目な主人公の台詞やモノローグには若者言葉などは用いられておらず、他の登場人物の台詞とのコントラストを生み出している。

江戸時代の風物については都度解説が挿入されているが、「」を題材に扱ったマンガでありながら、この作品内で登場する剣術は現実の剣術作法とは異なっている[2]。さらに武士の身分を持つ登場人物が全員、長い日本刀を二振り差しており、脇差しを持っていない様に見える[3]。その他、武士の身分にある人物がまげを結っていなかったり月代を剃っていなかったり、武士の作法に重きを置く講武館の人物が二本差しのまま客間に座るなど実際にはありえない描写が多々見られ、時代考証は曖昧で正確とは言い難い。



注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


[編集] あらすじ

時は江戸時代士農工商の身分制度の頂点という位置とは裏腹に、多くの侍は縦社会の圧迫や体面にとらわれて厳しい生活を送っていた。立派なサムライを目指す宇田川伍助は、理不尽な理由から父と兄を次々に失い、家を継ぎ上司の機嫌を気にしながら働いていた。だが先輩の紹介で志乃と結婚し、出世して妻を楽にさせてやるため剣術道場で腕を磨いたりと、大変ながらもそれなりの日々を過ごす。しかし、身に着けた剣術が身分の差のために他人の昇進の踏み台にされる現実を知り絶望する。悔しさに思い悩む日々の中、志乃の見せた自由奔放な姿や言動から、窮屈な侍の世界に見切りをつける。志乃のため、自分のために、くだらない体面・見栄からの自由を目指し、「うさぎ」になって天下一の剣術道場を開くことを決意する。

[編集] 登場人物

[編集] 宇田川家

宇田川 伍助(うだがわ ごすけ):使用刀・朱塗兎大小拵/兎咬(しゅぬりうさぎだいしょうこしらえ/とがみ)
本作の主人公。年齢15歳[4]、身長約五尺四寸(162cm)。既婚。宇田川家の当主を務める御家人。職務は作事方物書で、年収は二十俵三人扶持(現代で換算すると123万1000円)。決して裕福ではない。また、役職の都合上、だいたいの書体は読むことができ、自身も筆の腕前は一流である模様。一人称は「オレ」で、ややかしこまった話し方をする。次男だったため家を継ぐ予定はなかったが、父と兄が次々と切腹を命じられ、結果的に当主となった。父や兄の末路を教訓に、体面を気にして神経をすり減らす毎日を送る。先輩の紹介で志乃を嫁にするが、性格劣等感を持っている・生活が苦しい事を、彼女に申し訳ないと感じている。その様な生活から脱して昇進するため、幼い頃に嗜んでいた剣術の腕を上げようと剣術道場に入門し、そこで自らの剣術の才能に気付く。その後、剣術道場の主や門下生が俗物だと知り落ち込むが、志乃の言葉を受けて立ち直り、身分に関係なく真に剣術を愛する者が集う道場「うさぎ道場」を開くことを決意する。
流派は自ら生み出した「うさぎ流剣術」。自身の持っている強い跳躍力を活用し、それを力に置き換えた剣術。元々才能があったせいか、剣術の腕前は達人級であり、木製の橋を刀で切り落としたり、真剣を持った20人あまりの剣術道場の門下生をぐるみの剣で倒すなど、かなりのものである。
「15才」という年齢は極めて若いが、その当時から見れば元服(成人)である。父と兄の他界により、元服後間もなくして宇田川家の当主になった為、背伸びをして生きているように描かれている。その一方で、まだ少年らしい感情を多く持っており、門弟の千代吉と同様に喜怒哀楽の激しい豊かな人間性を持つ。
「朱塗兎大小拵」は清比人がうった伍助の刀。元々は良成にもらったもの。刃が全く研がれていないので、相手を「斬る」ことはできない。刀本来の役割を考えるとナマクラでしかないのだが「伍助に最もふさわしい刀」として、周りも本人も納得の一振り。
宇田川 志乃(うだがわ しの)
伍助の妻。年齢15歳、身長約五尺二寸(155cm)。伍助の先輩の妹で、兄の仲介で宇田川家に嫁ぐ[5]。性格は明朗闊達で自由奔放かつ少々無軌道。一人称は「あたし」で、夫や門弟をあだ名で呼ぶなど、くだけた言葉遣いをする。夫の伍助を友達のように接し「ごっちん」と呼ぶなど、精神的にはまだ幼く、摂津正雪から「武家の妻女にふさわしい娘」と聞かされていた伍助を驚かせる。また、その幼さからか布団を並べて寝たのは結婚初夜のみである(この後は一緒に寝るようになった)。しかし、夜寝ている間に忍び泣きをするなど、無邪気かつ能天気なだけではない一面も見せる。身分にとらわれない考え方で、伍助の生き方に影響を与える。
かつて講武館師範代の松山桐之進を夫に持っていたが、それは桐之進が周囲へ見栄を張る為の形だけの結婚に過ぎず、「自尊心を傷付けようとするものなら殺されるのではないか」と思うぐらいに脅されていた。兄の立場を慮って一年間も愛のない結婚生活に耐えて来たものの、遂に縁切寺へ駆け込んで離縁する[6]。夜中の忍び泣きもこの頃の記憶によるものらしかったが、伍助と共に松山との関係にケリをつけて以降はそれもなくなった。だが、その後も講武館に対するトラウマは残っている。
好きな動物はうさぎで、好物は蕎麦。幼くして家事は得意らしく、美味い料理を作る。家計の足しにするためうさぎの面作りの内職をしている。内職で作ったうさぎの面は自分でも被っていることが多い。うさぎの事を「月に辿りつく為に頑張っている動物」だと考えており、その事が伍助が自分の流派を「うさぎ流」と名付けるきっかけになった。
宇田川 喜兵衛(うだがわ きへえ)
故人。宇田川家の先々代当主。伍助の父親。「マゲを結わぬ武士など武士にあらず」という信条のもと、苦肉の策で禿げた頭に海苔を乗せ城に行くが、「フザけた頭で城に来た」という理由で切腹を命じられる。この事件が、伍助に「のちょげ(海苔ちょんまげ)の息子」という不名誉なあだ名を招く事となった。ちなみに、禿げた理由は伍助との稽古で頭を叩かれまくったせいらしいが、伍助自身も15才ながらにかなりデコが広いことから、単に遺伝の可能性もある。
伍助の兄(仮称)
故人。宇田川家の長男で先代当主。父親が亡くなった後に家を継ぐが、ハエを追い払っていた動作を上司に誤解されてしまい、理不尽な理由により切腹を命じられる。
伍助の母(仮称)
夫と長男を相次いで亡くした後、故郷の紀州で療養している。この為、伍助が志乃と結婚した時には江戸に居なかった。伍助や志乃と手紙をやり取りしている。

[編集] うさぎ道場

摂津 正雪(せっつ まさゆき):使用刀・黒札(くろふだ)
うさぎ道場の門弟の一人。志乃の兄。年齢22歳、身長約六尺一寸(182cm)。職務は作事方同心。伍助の先輩であり義理の兄、飄々とした性格だが、何かと伍助に助言をする兄貴分的な存在でもある。女好きで、よく茶屋(遊里)に通っているが、意外と妹思いな面もある[7]。めんどくさいことは苦手でとことん避けようとする。かつて「ヒグマ道場」の門弟だった頃は寝る間も惜しんで人一倍の努力を繰り返していたが、剣の才能がないようで、今に至るまで試合では一度も勝ったことがない。そのことは自分が一番よく知っており、その後突如うさぎ道場を辞めると切り出したのも、己の才能のなさゆえに仲間に迷惑をかけることを嫌ってのことだった。しかし千代吉や薄雲に後押しされ、ケジメをつけるために鰐渕が企画した手合せに参加する。その後再びうさぎ道場に戻った。剣の才能はないものの、毎日の剣の素振りの甲斐あって、筋力は人並み以上にある。主要登場キャラの中では最も冷静な性格の持ち主。
「黒札」は清比人がうった摂津の刀。巨大な黒刀で、重量感があるため扱いづらい。闇雲に振り回しても当たらないため、筋力以上に『相手がどこを攻撃してくるか』を予測する洞察力が必要となる。
大天下御前試合では副将として鳳と対決。侍に対して強い憎しみを抱く鳳に、自分は流人たちを卑下するつもりはまったくないことを分からせるため勝負の途中から黒札を使わず、素手のみで勝負を挑む。いくら攻撃を仕掛けても刀を持たない摂津の姿に、鳳の心が揺らぎ始める。最後は鳳の鉄傘の一突きを黒札で弾き、その一瞬の隙を突いて彼を殴り倒して気絶させ、人生初勝利を飾った。
名字はブライアン・セッツァー、名前は由比正雪に由来する[8]
千代吉(ちよきち):使用刀・七菜鍬(なななしゅう)
うさぎ道場の門弟の一人。年齢12歳、身長約五尺三寸(158cm)。江戸の外れの貧しい農村・七菜(ななな)村の少年で、若くしてナナガミの神官を務める。伍助に弟子入りしたのは、村のトラブルを解決してもらうためであったが、解決後も伍助のことを慕っている。うさぎ道場に入門する前からナナガミへのお供え物を盗賊などから守ったりするなどしていたため腕は最初の頃からなかなかのものであった。語尾に「っス」をつけるのが癖。伍助曰く「一番まともそうな弟子」。実際真面目で純粋な性格であり、それ故伍助に代わって仲間たちを鼓舞する場面もよくみられる。七菜村でのトラブルの後も、たまにだが特殊な効果を持つ「七菜シリーズ」を登場させている。志乃には「ちよっち」と呼ばれている。試合の時は鍬を模した竹刀を使用する。
「七菜鍬」は清比人がうった千代吉の刀。一見すると鍬のようだが歯の部分が刃になっており(備中鍬に近い形)、土を掘るのに適している。普通の鍬としても使用可能。
大天下御前試合では、中堅としてウズラと対決する。七菜鍬を使って土壌の脆い部分を掘り、足場を崩して戦う。本人は「七菜流鍬術」(なななりゅうしゅうじゅつ)と命名している。自分で足場を崩し、砂に沈んだウズラを助けるために蟻地獄に飛び込むが、自身も気を失ってしまう。その後うさぎ道場の面々に救助され、鰐渕の計らいで引き分けとなった。
本間 魯山(ほんま ろざん):使用刀・天掌絶刀羅神元(てんしょうぜっとうらしんがん)
うさぎ道場の門弟の一人。通称・マロ。年齢17歳。眉毛が異様に短い。極度の無口で、天然な所も持ち合わせている。しょっちゅう剣の構え方が変わる。志乃には「マロマロ」と呼ばれている。いつもは埋立地や墓地にいるらしい。身長が異様に低く、登場回数を重ねるごとにどんどん小さくなっていった。摂津曰く、「人間かどうかも怪しい」とのこと。
実は志奈乃藩七万五千石の大名本間家の後継ぎで、本間流剣術を体得し、母・おりうを喜ばせた存在として、弟・良成の憧れの存在でもある。集団でかかってきたヤマネコ道場勢を一気に蹴散らすほど強い。うさぎ道場に入門したのも、自由な交流を望んでのこと。嫡子のため、自分の言うことが全て命令だと受け取られてしまうのを恐れ、喋ることを控えていた。喋る時もほとんど聞こえないような音量で喋る(解説うさぎの説明が入るほど)だが、怒ると普段からは想像もつかない大声で怒鳴りつける。ただし手紙では自分の思いをしっかりと表現することができ、敬語などの文法・句法も完璧である。尾牙鰆流の行書を好んでいる模様。「ちゅるーん」という擬音と共に他人の懐の中に滑り込む術も持っている。良成によれば、この「ちゅるーん」は蛇活疾歩と呼ばれる移動術で、「獄殺本間流剣術」の奥義の一つであると言われる。他にも、回転したり、両手で刀を振り回したりする技も、この剣術であるという。現在、本間家の屋敷には帰っておらず、うさぎ道場を寝所代わりにしている模様。ゴミ捨て場をあさって食事を済ませたり、道端で大道芸じみたことをして食費を稼いだりしている。
「天掌絶刀羅神元」は清比人がうったマロの刀。刀身が剣先ほどしかない極短い刀である。そのため慣れないと攻撃が当てづらいという欠点があるが、縦方向に回転して突進することで、絶大な破壊力を生み出す。また、刀身、鍔共に非常に硬いため、小柄なマロにとっては体のいい盾となる。
大天下御前試合では先鋒としてスズメと対決。初めは慣れない刀で戦いづらかったが、勝負の最中「獄殺本間流剣術」新奥義を開発。スズメの鎖段平をすべて叩き割った。その後、男尊女卑の考えを持つ侍がスズメを馬鹿にしたことを一喝したことで、スズメは試合場から逃亡、勝利を修めた。
穂波 多助(ほなみ たすけ)
うさぎ道場の門弟の一人。年齢16歳、身長約五尺五寸(165cm)。摂津正雪の頼みで入門する。恋愛には奥手。モチ肌。「女の子みたい」と言われたことがある。見切りと居合い斬りを得意とすることから、「神速の居合い」という異名を持つ。志乃からは「ほなみん」と呼ばれる。
生まれて一度も髪結所に行ったことがないらしいが、それは「町で喧嘩を吹っ掛けられる度に相手が(刀で)切ってくれるから」らしい。つまり、わざと髪にかするように見切ることで、それを調髪代わりにしているということ。
昔講武館の門弟だったことがあり、その時期に百舌九と戦って惨敗している。講武館の門弟たちの傍若無人ぶりを目の当たりにして自ら門弟を辞めることを決意した。講武館に入ってよかったことは、羽織を貰えたことだけだと言っている。大天下御前試合二回戦の次峰として、鶴屋と対戦。相手の攻撃をかいくぐり、居合い斬りで勝負を決したかのように見えたが、油断したところを鶴屋に斬られ、敗北した。戦いの最後の最後まで、彼に降伏を勧めていた。大将戦終結後は、うさぎ道場に対する考え方を変えた鶴屋と和解した。
風間 反蔵(かざま はんぞう)
うさぎ道場の門弟の一人。年齢19歳、身長約六尺三寸(190cm)。摂津正雪と縄のれん(居酒屋)で会い、道場に入ってほしいと頼む彼の態度に感嘆し、入門する。伍助のことを「伍っさん」と呼ぶ。自分にしかわからないような言葉をよく使う。記憶力は悪い。天然の面があり、一度寝ると何があってもなかなか起きない。志乃からは「風(ふー)さん」と呼ばれる。
ガラは悪いが友情を大事にする性格。一度交わした約束を破ろうとしたり嘘をつこうとすれば、仲間であろうと烈火のごとく怒る。幼い頃いじめっ子に独楽を盗られたことがきっかけで強くなることを目指した。
いちおう刀を携えているのだが、戦闘では専ら素手で戦う(うさぎ道場の外壁を素手でぶっ壊し、道場内まで貫通させたことあり)。そのため、清比人からも「(刀は)あるだけジャマ」と言われた。本人曰く「風間流合気道」なのだが、単なるケンカ殺法にしか見えない。
清比人が館の後始末をしている時に置き去りにされて火傷を負い、しばらくうさぎ道場で療養していたため、大天下御前試合では観戦のみ参加していた。

[編集] 幕府

浅野(あさの)
伍助の上司。体面を気にしてか、伍助に何かと文句を付けては「どーん!」と言いながら殴りつける。
伊左衛門(いざえもん)
伍助の同僚。彫り物代をケチって自力で背中に彫り物をしようとしたが失敗し、今も傷痕が残っている。また、単行本のおまけマンガでは見た目を立派にしようと宇右衛門と二人で互いの頭に月代(さかやき・前髪を中央にかけて半月形に切り落としたもの)を施そうとするも、失敗して大量の血を流して倒れる。なお、血まみれで倒れているカットで致死量の血を流しているように見えるものの、その後また登場するので死にはしなかった模様。
宇右衛門(うえもん)
伍助の同僚。痩せるために刀で贅肉を切り取ろうとするが失敗し、今も傷痕が残っている。伊左衛門と互いの頭に月代を施そうとして、失敗し、大量の血を流して倒れるも、一応生存。
鰐淵 鉄叉(わにぶち てっさ)
江戸幕府大番頭。寛大な性格の故に清木とよく問答をしている。志乃の作ったうさぎの面を気に入っており、自らうさぎ道場を応援すると語る。片手で大砲を担げるほどの怪力の持ち主で、登場するたびに並外れた筋力トレーニングを行ってる様子が伺える。
穂波 彦左衛門(ほなみ ひこざえもん)
穂波の父。幕府に仕える身でありながら、度々農村に出向いて宴会を開いていたことを幕府に咎められ、監視役を付けられた。建前上、穂波を講武館へ入門させた。

[編集] 講武館

清木 清左衛門(きよき せいざえもん)
江戸幕府御目付役。講武館の師範。年齢28歳、身長約六尺(180cm)。達観した雰囲気を持ちながらも、武家に生まれた者は町民・農民の手本になるべきと考え、それに恥ずべき行動をした者を斬り捨てる行為を"巡回"と称し行うなど、非常に偏った武士道を持っている(巡回中に買い物中の志乃を目にし、「武家の女が自ら買い物をしている」のを「下卑た行為」として殺そうとしたこともある)[9]。規則には厳しく、角を直角に曲がらなかっただけで刀を突き付けるほど。ただし、本来殿中での抜刀は重罪である。
うさぎ道場に危険度"十"を示す黒旗を立て、道場が成長して初めて叩くことを門弟たちに知らしめる。
松山 桐之進(まつやま きりのしん)
江戸幕府の書院番士。講武館の師範代。年齢19歳、身長約五尺七寸(172cm)。志乃の元夫。知行800石で将来を有望視されているが、相手の頭を軽くはたいたりし、遊里で金をたくさんばら撒くなど、陽気で気取らない性格をしている。しかし、それはあくまでもポーズだけで、性根は他の数多くの武士達と同じ歪んだプライドの塊であり、一度尊厳を傷つけられると女相手でも容赦なく斬り殺すなど、極めて残忍な人物。本質的には自分を良く見せる為に他人を出汁に使う卑劣漢で、かつて志乃を娶ったのも周囲に対する見栄に過ぎなかった。冷たい結婚生活に耐えかねて逃げ出した志乃が再び結婚したという事を知り、接触を図ってくる。その後、道場に乗り込んできた伍助と相対し、不意打ちで傷を負わせたものの一撃で倒される。そしてのびていた所を門弟らに発見され、切腹を迫られるものの、門弟らを切り殺して逃走し、人相書きとなった。
乾(いぬい)
講武館の門弟の一人。長髪の男で、清木の考えに心から賛同している。かつて流人たちを捕える際に穂波らと共に戦いに赴いている。
身分の低いものは徹底的に軽蔑しているが、戦闘においては物陰に隠れているだけの卑怯者。
菅谷(すがや)
講武館の門弟の一人。額に大きなバツ印の傷がある。最初は素行が悪いと見なされた武士を、泣きながら斬っていたが、その後次々と武士達を斬り捨てていくうちに性格が変わり、清木に認めてもらうために少しでも素行が悪いと見なした者は容赦なく斬り捨てるという残忍な性格になった[10]。清木からは「講武館の理念に心酔した気概溢るる若者」として有望視されている様子。また、講武館の門弟たちは菅谷ほどではないものの、皆「素行を正す」という名目の下何人であっても無慈悲に切り捨てる精神をもっているようだ。
直助(なおすけ)
伍助が買い食いしているところに「武士のすることではない」と、言い斬りかかろうとしたところ返り討ちにあう。その後、自ら切腹。
伴四郎(はんしろう)
伍助が買い食いしているところに「武士のすることではない」と、言い斬りかかろうとしたところ返り討ちにあう。その後、自ら切腹。

[編集] 連兵館

岩破 隆兵(がんば りゅうへい)
連兵館の師範。左眼に大きな傷を持つ大柄な男。礼儀正しい性格で鰐渕にも気に入られた。講武館と幕府お抱えの座を最後まで争ったことでも知られている。大会の1回戦で優勝したうさぎ道場を見て、武士は自分ではなく人を思うことができるべきだということを学び、うさぎ道場との手合せを鰐渕に申し出る。しかし突如道場に現れた流人たちにより門弟たちが襲撃を受けてしまう。
磯野 拳兵(いその けんぺい)
連兵館の師範代。岩破とは気の合う仲で、その強さは穂波曰く「岩破と並び、伍助より二段上」。流人たちの人質となっている。

[編集] ヤマネコ道場

阿倍 定ノ丞(あべ さだのじょう)
小普請組。ヤマネコ道場の師範。右目に猫型の眼帯をしている。恋人のサユキとのデレデレぶりは周りをイライラさせるが、剣の腕は確かなようであり、現に蝶番が外れて落下したうさぎ道場の看板を、二刀流と見られる剣術によって一瞬で切り刻んだ。うさぎ道場の看板を猫に作り変えて、自分の道場と5対5の勝ち抜き戦を行うよう宣戦布告を行う(理由は「天下一の道場は江戸に二つもいらない」とのこと)。江戸の道場破りとしては有名であり、去り際に「愛の力に敵は無え」と台詞を残している。伍助だけでなく本間藩の武士たちからも煙たがられている様子。試合前には必ず口吸いする。なお、本当に好きな動物はで、「ヤマネコ道場」はサユキのために建てたらしい。「愛力(まなぢから)」というオリジナルの言葉を使っている。
サユキ
定ノ丞の恋人。定ノ丞のことは「定くん」と呼ぶ。着物を着てはいるが、性格や口調は現代のギャルそのもの。一見すると軽薄で蓮っ葉な印象を与えるが、伍助に倒された定ノ丞を見て取り乱したり、彼が負けてもなお涙しながら愛を囁いたりと、定ノ丞への愛情は確かなものの様子。
甲斐 九郎次郎(かい くろうじろう)
ヤマネコ道場の師範代。定ノ丞のことを「ジョー」と呼ぶ。顔に縦と横の刀傷がある。千代吉から伍助までを一気に一本で倒すが、良成の前に倒れる。女性には奥手である。ヤマネコ道場1の器量良し。
権田 鉄心(ごんだ てっしん)
ヤマネコ道場の門弟。隻眼。先鋒として千代吉と戦うが、竹刀を弾かれて床に叩きつけられてめり込む。その後も定ノ丞に踏まれた。
玉(たま)
ヤマネコ道場の門弟。見上げるほどの大男だが、性格は引っ込み思案であり、戦う時も相手を気遣うような言動を見せる。中堅として良成と対決。指の間に計8本の竹刀を挟むような形で試合をするが、攻撃の際は結局パンチになる(竹刀は当然折れる)。良成の突きで吹き飛ばされてしまう。本名は不明で、「玉」というのは定ノ丞から呼ばれていることからあだ名のようなものと思われる。
唐島 激(からしま ゲキ)
ヤマネコ道場の師範代。この世で一番嫌いなのは「負けること」。羽織の中に仕込んだマタタビの粉による目潰しなど、良成に対し卑怯な手を使って勝とうとするが、横入りしたマロに一撃で吹き飛ばされる。

[編集] 白馬道場

白石 久寿夫(しらいし くすお)
白馬道場の師範。色黒のイケメン侍。性格はかなり悪く、うさぎ道場によく喧嘩を吹っ掛ける。弱い者には強気に出るが、自分よりも強い相手にはとたんに態度が小さくなる。門弟たちは皆イケメン揃いで、不細工な門弟は何の落ち度がなくても追放させるほど。迷子になった千代吉を使って人気取りをしようとするなど卑劣な手も惜しまず使う。
門弟たちとは互いを「親友」と呼び合っているが、内心では蔑み合っている。千代吉をダシに使った事でうさぎ道場の怒りを買い、本人は他の門弟と一緒に摂津のバックドロップを喰らった。この卑怯な手がたたってか、大天下御前試合では3位だったのにも関わらず2回戦への出場は取り下げられた。

[編集] 他道場主・師範

鏡明新智流の道場主(仮称)
伍助が入門した剣術道場の主。伍助の筋の良さを褒めて鍛錬させる。しかし伍助に八百長試合を強要して名声と金を手に入れるなど、正体はかなりの俗物。その後、「道場を辞める」と申し出た伍助を門下生を使い力ずくでとどまらせようとするが、分が悪いとみるや「伍助に道場を与える」と言い残し逃げ出した。その後、また別の剣術道場を開いているようだ。
ちなみに上記のような手口で金を儲けていた為、とうぜん門下生も剣の腕は弱い。道場主にいたっては伍助にうさぎ道場の理念を質問してきた青年に負けるほどの弱さである(単行本のおまけ漫画参考)。
ヒグマ道場の道場主(故人)
摂津がまだ志ある青年だった時代、弟子入りしていた道場の主。面倒見のいい老人で、摂津やおキヨにとっては親同然の存在だった。摂津が試合に負けたことを笑った者を懲らしめるほど摂津のことを気にかけていた。道場破りと戦って重傷を負い、それがもとで亡くなる。

[編集] 流人

罪人として島流しにあった者たち。幼い頃からの親友同士であり、同時に侍から士農工商差別を受けてきた仲でもある。それ故侍を憎み、幕府お抱えである講武館を公の場で屈服させ、侍の地位を失墜させる事を目論む。極刑を免れないほど夥しい数の侍を殺したが、まったく赤の他人の武士を首謀者に仕立て上げることでそれを回避した。全員が武家の出身である。流人達の名前は、全員鳥類に由来している。

スズメ
女流人。百舌九たちと共に蛇原島から逃げ出してきた。「鎖段平」と呼ばれる、鎖で繋いだ身の丈ほどもある二丁のを武器とする。太刀筋自体は単純だが、生半可な刀では防ぐ事はできず、刀もろとも斬られてしまう。背中にはもう一組の段平を隠しており、計4回の攻撃を連続で叩きこむことができる。侍だけが帯刀を許されていることに不満を感じている。他の流人と比べると、感情的になりやすい。
大天下御前試合では、先鋒としてマロと対決。二組の鎖段平で追い詰めるが、マロの「獄殺本間流剣術新奥義」である「螺旋漆黒(らせんしっこく)」、「螺旋絶無(らせんぜつむ)」により、すべての段平を壊されてしまう。しかし、壊された鎖段平の破片でなお戦い続けようとする執念を見せたが「男尊女卑」を持つ侍達がスズメを囃し立てたのをマロが一喝した事で、侍に対する感情が変わったようである。
鶴屋(つるや)
流人の一人。眼鏡をかけた礼儀正しそうな青年。流人になる前は医者を目指しており、痺れ薬や猛毒を塗った毒針「嘴(くちばし)」を駆使して戦う。また、自分にも痛みを抑えるツボを針で指すことにより、痛みを感じずに戦うことを可能としていた。幼い頃は、人に迷惑をかけることを躊躇う性格で、医者を志したのも、痛いことが嫌だからという理由からである。
大天下御前試合では、次鋒として穂波と対決。スズメとは違って侍に対する復讐心は強く、穂波の説得にも全く耳を貸さなかった。穂波にツボのカラクリを破られ、一撃を加えられて倒れたかに見えたが、最後の力で穂波を倒し、次峰戦で勝利を修めた。穂波敗北時はうさぎ道場に対しても敵意を向けていたが、ウズラ、鳳と試合が進むごとに、徐々にうさぎ道場に対する思いに変化が起こる。最終的には元講武館門弟の穂波とも和解した。
ウズラ
流人の一人。普通の人間の何倍も身長のある巨大な男。見かけによらず、動きは素早い。スズメのことを「スズメっち」、鶴屋のことを「つるやん」と呼ぶなど、見かけによらず可愛らしい言動の持主。鶴屋を治すための志乃の心遣いを撥ね退けるなど、侍に対する憎しみは鶴屋に劣らない。柄のない黒刀を使って戦う。また、身体の脂肪を燃やすことで自身から熱を出し、触れた相手を火傷させる。黒刀の柄が無いのは熱が伝わりやすく、切り口からも発熱させることができるからである。また、脂肪を燃やして痩せることで、身軽さも上がる。生まれつきその特異体質を持つがため、生まれてすぐに「気味が悪い」という理由で実の親に捨てられ、後に飛鳥に拾われた過去を持つ。
大天下御前試合では、中堅として千代吉と対決。熱を発することで、千代吉が土で造り上げた七菜城を砂に変えて圧倒するが、自らの熱で足場の土も砂に変えてしまい、蟻地獄に落ちてしまう。その後自分を助けようと飛び込んできた千代吉と共に気を失うが、その直前に千代吉の腕を掴んでいた。うさぎ道場の面々に救助され、鰐渕の計らいで引き分けとなった。
鳳(おおとり)/佐倉 智之進(さくら とものしん)
流人の一人。背中から肩口にかけて入れ墨がある事を除けば、人当たりの良さそうな好青年に見える。しかし、副将戦で戦う摂津を「ニワトリ野郎」と卑下したりと、侍に対しては容赦のない侮蔑を吐く。武器は鉄傘を使用(本人曰く「じっくりいたぶることができるから」)。柄の先端には飛鳥がくれた碁石を入れた袋がついている。高速移動からの突きが主な攻撃だが、傘を開く事で急停止や方向転換も思いのままである。また、裏返しにすることで相手を突き刺す巨大な槍状の武器にもなる。
農民を騙し、必要以上に年貢を搾り取ってきた父親を傍らで見て育ったため、武士になることをためらっていた。さらに当時信頼していた友人にも裏切られ(武器が鉄傘なのはこのためと思われる)、その事で激昂した父親から切腹を迫られ家を飛び出す。誰も信用できない性格になり、放浪していたところを飛鳥に拾われる。碁石の賭けで飛鳥にイカサマ勝負を仕掛けたり躍起になっていたが、彼が目が見えず、賭けの結果をすべて自分の言葉で把握していたことを知り、心を入れ替えた。
大天下御前試合では、副将として摂津と対決。刀を用いず素手で戦う摂津の姿に、飛鳥の姿が重なり、戸惑いを覚えながら戦っていた。最後は鉄傘の突きを黒札で弾かれた一瞬の隙に、摂津に素手で殴り倒され気絶した。摂津の思いに感嘆し、うさぎ道場や侍への思いを変えた。
百舌九(モズク)
流人の一人。額に鉢巻をしている。連兵館を襲撃・壊滅させる。「自分たちを捕えた講武館への復讐」を理由に、岩破を脅迫して天下御前試合に連兵館の門弟として出すよう迫る。二刀流である他に足にも刀を仕込んでおり、変幻自在の攻撃を繰り出す。また、そのスピードは穂波の眼でも捉えられないほど速く、脚力に置いても伍助に引けを取らない。自分の私怨による目的を果たすためなら手段を選ばない。
元々不器用な性格で、飛鳥の家に皆と同棲している間も何かと失敗ばかりしていた。それでも飛鳥を慕い、彼の眼になって共に行動をしていたが、山へ竹取りに出かけた時に飛鳥の転落死を目撃してしまう。足を鍛え足刀を使いこなせるようになったのは「あと少し速く走れていれば、飛鳥を助けられたかもしれない」という彼の想いからであろう。講武館への復讐の真意は飛鳥の仇討ちであった。
大天下御前試合では、大将として伍助と対決。圧倒的な力を見せ付けるが「妻のために戦う」伍助を貶しつけた挙句、陰湿・陰惨極まりない戦法で虐げ、その様に正雪やスズメは怒りを露にした。しかし、最終的には伍助の「妻を思う気持ち」の前に敗れ去る。私怨に捕われていた自らの過ちに気付き、流人としての罪をすべて自ら被ろうとした。現在は他の4人と共に鰐渕に身柄を預かられている。
飛鳥(あすか)
玩具屋を営む盲目の若者。鳥を彷彿させる仮面を付けている。人を笑わせることが仕事であると言い切り、自分のことよりも常に他人を思いやる心を優先して大事にしている。幼くして家を飛び出した鳳と孤児のウズラの保護者代わりとなっていたことがある。他の流人たちとも長屋で同棲していたが、庶民の身でありながら武家の子供を養う彼の存在は、講武館から見れば目の上のこぶだった。百舌九と山へ竹取りに出かけた際に、講武館の門弟に崖から突き落とされて命を落とす。

[編集] 刀鍛冶

清比人(きよひと)
穂波の知り合いの刀鍛冶。剣の生成に力を注ぐため、とてつもなく太い竹(超宗竹)が生い茂る竹林の奥に住んでいる。初対面の伍助たちの剣の腕前を、一瞬で量るほどの目利き。また、斬った紙切れの切り口で刀を切り裂くなど、刀匠としての腕は並外れている。「どんな駄武士でも、自分の刀を持てば数段強くなれる」と自負する。大切なことは、刀を充分に使いこなしてくれる事だと言う。自宅の屋根には若いころの失敗作の刀がたくさん刺さっている。常に新鮮な気持ちで仕事をするために、一仕事終えると住処を仕事道具ごと燃やして新しい住処に移る。
権太(ごんた)
清比人の一番弟子。
千次(せんじ)
清比人の二番弟子。

[編集] 札差

華屋 加四郎(はなや かしろう)
札差。年齢23歳、身長約五尺六寸(168cm)。名前は作者の祖父に由来する[8]。容姿は黒髪のオールバックに眼鏡(二十八羽から髪型が変わっている)。いつもそろばんを弾いている。金を貸してもらうのにも一苦労だが、返すことはさらに覚悟しなくてはならない。返さないと何をしでかすかわからない、ある意味危険な男(その姿は伍助に「町人とは思えぬ威圧感」と思わせた)。越後屋大名をも凌ぐ天下一の富豪になるのが夢。
江戸中の札差たちの中心となって打ちこわしを起こす。騒動終了後はキクと久々に一緒に食卓を囲んだ。田丸が島流しにされた後はキクと共に筆学所を開き、伍助たちにその講師を頼む。
娘が居ることから妻帯経験があるものと思われるが、相手の女性がどんな人物であったのかは不明。
華屋 キク(はなや きく)
加四郎の娘。恐らく実子だが、母親である人物については不明。黒髪を小判型の竹細工の飾りが付いた紐で二つくくりにしている。幽霊などは苦手な様子。一人称は「オレ」。性格・容姿・口調など、立派に父親を引き継いでいる。伍助達に借金を返す見込みがあるとし、仕事を紹介する。加四郎が多忙のために一緒に食事をすることがないらしく、橋の上でいつも生米を食べている。
父の夢を手助けしたいと日ごろから願っている。田丸の一件の後は、生米を食べることはなくなったらしい。

[編集] 遊女

おキヨ/薄雲(うすぐも)
遊女の中でも最高位に位置する女性で、摂津の行きつけの遊里で働いている。貧しい家の五人兄弟の末子で、吉原に身売りされた。摂津とは彼がヒグマ道場の門弟だった頃から付き合いがあり、当時は口喧嘩ばかりしていた。摂津が彼女にあげた志乃お手製のお手玉は、今も愛用している。

[編集] 本間家

本間 良成(ほんま りょうせい)
マロの弟。年齢16歳、身長約五尺八寸(175cm)。眼鏡をかけている。一見マロとは似ても似つかない長身の青少年だが、眉毛の短さはマロとそっくりである。志乃には「りょーくん」と呼ばれている。後継ぎでありながら本間家を飛び出したマロを連れ戻すためにうさぎ道場を訪れる。穏便にマロを連れ戻そうとするが、うさぎ道場に残るというマロの想いを組み、少しでも里心がついてくれればと伍助たちに本間家の道場を稽古用に貸し出す。母の銅像がかざってある広間で稽古をしている。
後継ぎであるマロばかり目をかけられることにコンプレックスを感じていたが、ヤマネコ道場との対決でマロの心配りに涙する。マロも認めるほどの剣の腕を持つ。なおヤマネコ道場の一件以来、眉毛を隠すように長かった前髪を切り落とし、眉毛を露出するようになる(おそらく眉毛は兄を立てるために隠していた模様)。
登場当初は常識人であったが、最近ではマロに対するブラコンから時折キャラが変わることがある。
名前は作者の友人に由来する[8]
本間 おりう(ほんま おりょう)
マロと良成の母。故人。マロと顔がとても似ている。生前は二人に「屋根に飾ってあるしゃちほこのように二人仲良く生きなさい」と口癖のように言っていたらしい。死後、彼女の銅像が良成の命によって堂内に建てられたが、現在は兄の心を察した良成の意志によって解体されている。
御前(仮称)
本間家現当主であり、マロと良成の父。良成と同じく眼鏡をかけ、しゃちほこを象った兜を被っている。かなりの年配。礼儀に厳しく、客人に粗相を働いた家臣に対しては容赦なく木刀で叩きのめす。「算盤・習字は二の次、武士の本分はやはり武芸。故に一日も稽古を休む事はまかりならん」という本間家のならわしにのっとり、マロと良成をシゴきまくった。

[編集] 七菜村

加代(かよ)
七菜村に住むナナガミの巫女。年齢17歳、身長約五尺六寸(167cm)。千代吉は「加代姉」と呼ぶが、実の姉弟ではない。七菜村が衰退し始めた頃から酒浸りな日々を送っている。七菜村の人間ながらも、村の名物であるなな菜を「クソまずい」と評していた。が、千代吉を救ったなな菜を忘れられずに、3年をかけてなな菜を元に美味しい酒を作り出した(味見をしている内に酒飲みになった)。
村長(仮称)
七菜村の村長。伍助が間違えて刀で切った事を根に持つ、割と引きずる人物。「なな菜を美味しいものだ」と言い続けていたが、嘘がバレてしまい村人からボコボコにされる破目となった。
ヤマネコ道場との果たし合いの際も村総出で千代吉の応援に駆けつけていたが、その時は裸で天井からつりさげられるという哀れな格好だった。
その後、段々痩せ 縄から抜けてしまい新しい村長と名乗った。

[編集] 羅漢組

「硬派」と低価格がウリの鳶職。うさぎ道場の改築を請け負った。「無口」と「不器用」を気取っている為、杜撰で方向性がおかしい工事をしてしまっていたが、伍助の志を知ってからは、見違える様に良い仕事をする様になった。

[編集] 浪人

田丸 広之進(たまる ひろのしん)
浪人。貧しい子供たちのための筆学所を作ると称し、裏では多くの札差から総額一万両もの大金を借りていた。貯まりに貯まった借金を踏み倒すため浪人たちを使って騒ぎを起こし、高札場にて札差に借金の帳消しをするよう差し向けた。キクを人質に取って江戸から逃げようとするが、伍助によって叩きのめされた。その後、札差によって奉行所につきだされ、島流しになった。

[編集] うさぎ

作中にたびたび描かれている象徴的な動物。志乃がお面の為にデザインした耳の垂れたうさぎのキャラクターが、表紙のイラストや道場の看板としても登場している。作中やイラストには生き物のウサギも登場しており、一般的な耳の立った姿で描かれている。また、用語の解説の為に挿入される「かいせつうさぎ」のキャラクターの耳も立っている。

志乃が創作したうさぎ(仮称)
作中において、志乃が内職で作っているお面の為にデザインしたうさぎ。一般のウサギのイメージとはデザインが異なり(そのため引き取りにきた商人にはうさぎかと聞かれる程)、耳が垂れている[11]。うさぎ道場の看板のオブジェやうさぎ流のマークにもなっている。こうした意匠以外にも想像上の動物として登場するが、ストーリーに絡む事はなく、各話の表紙のイラストなどに現れる。当初、伍助の目にはウサギには見えなかったが、志乃にとってはこれがウサギのイメージなのである。志乃は物語の初期には一般的な耳の立ったうさぎや猫などの面も作っており、物語が進んでからも必要に応じて耳の立ったうさぎの面を作っている。なお、イメージ的な鳴き声は「ぶもー」。
かいせつうさぎ
大きく開けた口が吹き出しとして作中の解説時、コミックスの目次に使われている。ちなみに目つきが悪いのが♂、マツゲがあるのが♀である。本来は解説だけの為の存在だが、最近では定ノ丞や風間に対してツッコミを入れるなど、なぜか個性が出てきている。

[編集] 単行本

[編集]

  1. ^ 主人公は剣術の鍛錬によって立派なサムライになる事を目指してはいるが、武士道を志向しているわけではなく、あくまでも愛する妻のためなのである。
  2. ^ 一般に目にする現代の剣道の構えは、竹刀と防具着用の打ち合い稽古によって生まれた[1]ものなのである。江戸時代や室町時代から残っている古流剣術では、腰を落とした構えや、左足、左手前の構えなども多く残っている。そのため、当作品での剣術描写が現実の剣術作法と異なるとは一概には言えないが、作中で特別な説明等はない。
  3. ^ 主人公の短い方の刀の長さが、長い方の刀の長さの9割程度になっているので、「長脇差し」を用いているとも解釈できる。この為、登場する武士全員が「長脇差し」を脇差しとして帯刀しているという可能性もある。ただし、武家諸法度によれば脇差しの長さは2尺未満と決められており、武士が長脇差しを使うようになるのは、幕末の事である。また、台詞の上では「刀二本」という表現をしており、「本差と脇差」という概念が登場していない。
  4. ^ 数え年での年齢であるので、実年齢は〈記してる年齢〉-〈1歳〉。その他の人々も同様である。
  5. ^ 兄の名字から旧姓は『摂津』であると推察されるが、劇中では明言されていない。
  6. ^ 歴史上の縁切寺とは異なり、志乃は尼僧になる事なく実家に戻った。
  7. ^ 連載当初にて、彼が伍助と志乃の結婚を仲介したのは、無駄飯喰らいでしかない志乃が邪魔になったからではないかと思われたが、本当はかつての夫であった桐之進から酷い目にあわされた志乃を幸せにしてもらいたかったからである。
  8. ^ a b c コミックス5巻にて著者が記述している。
  9. ^ 目付やその配下の職務は幕臣である旗本や御家人の行状の監察であるが、武士らしくない態度をとったからといってその場で斬り捨てる権限などは当然無い。また、町の剣術道場の主の大半は浪人であるため、彼らの素行を吟味する権限も本来は無い(浪人は町奉行所の支配)。
  10. ^ 志乃を「武家の女なのに下卑た振る舞いをした」と切ろうとしたが、女子などの弱い者を切る事は本来の武士道に反している。
  11. ^ 耳が垂れたウサギとしてはロップイヤー種が知られているが、品種改良でロップイヤーが誕生したのは1940年代のオランダである。よって志乃は現実に存在するウサギをイメージしたのではなく、たまたま耳が垂れたウサギをイメージしたという事になる。
他の言語


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