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劣等感 - Wikipedia

劣等感

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

劣等感(れっとうかん Inferiority complex)とは、他人に対して自分が劣っていると感じる事。

目次

[編集] 概要

これは主に人間精神)に発生する感覚である。人間は成長の過程で自我を発達させるが、この段階で他人との競争意識が生まれ、その競争面での挫折の結果が劣等感とみなされる。

なお一般にはコンプレックスとも形容されるが、心理学用語としてのコンプレックスは、複合的な心理作用による様々な状態を指す物であり、また心理学用語上のコンプレックスは分析心理学上のフェティシズムに近い概念でもある。このため日本で日常的に、大衆によって使われるコンプレックスとは、より狭義の劣等コンプレックスの略語か、和製英語の一種と見なす事ができる。

劣等感は、これを抱く人を憂鬱(暗く沈んだ気持ち)にさせるが、同時にこれは克服することで、更なる展望を生む。多くの場合、児童青少年は様々な劣等感を抱いている。しかしそれらは、成長途上の、今まさに伸びんとする苦しみであるといえよう。

[編集] 劣等感の元になる特徴など

劣等感を催させる個人の特徴(個性や身体的なもの)には、様々なものが挙げられる。場合によっては、それが複合的に作用して劣等感を生む劣等コンプレックスの要因となる場合もある。

ただし劣等感の中には、事実無根であるような謂れの無い中傷を真に受けて、思い悩んでいるケースも見られる。場合によっては、社会の中でより有利に働く場合もある特長に対して、周囲の心無い者に拒絶され、これに劣等感を抱くケースもあり、人それぞれである。

比較的多く見られる傾向としては、不細工であるなど容姿関連や、馬鹿であるなどの知能関連、あるいは趣味おたく的であるなどの当人の指向性といった要素が劣等感を抱かるケースが見られる。

なお体臭も、社会的な清潔さへの関心が高まる過程で、自身が気付きにくい要素としてしばしば取り上げられる。ただ一概に体臭といっても食事や体調によっても絶えず変化することが知られており、この他にも身につけている物品などといった要素にも絡み、化粧などといった行為の延長で、またはセンスにも絡んでも問題とみなされる傾向もある。当人が匂いに慣れて判らない場合も多くある一方、劣等感に絡みやすい匂い(特定の体液の匂いなど)もあり、様々な系統も見受けられる。日本では入浴の生活習慣が盛んであることに加え、近年では社会的にも不潔感に対する拒絶の傾向(→雑菌)も強く、ことさらこの匂いに関する要素が様々な方面で取り沙汰される傾向も見られる。

[編集] 解消の手段

これらでは、劣等感を抱く事が、自我にとっては好ましい状況では無いため、往々にして何等かの方法で解決しようとする欲求を生む。解決の手段としては、以下のような行動が見られる。

  • 反応1
    • 努力による改善
    • 他の、得意とする分野で優位性を持つことで解消する
    • 劣等感に対する認識を変える(認知療法
  • 反応2
    • 劣等感を抱くこと自体を否定せず、肯定もしない。
    • 何等かの合理的な理由付けをするなどして諦める
    • コンプレックス産業の提供するサービスを利用する
  • 反応3
    • 優位性を持っている相手を貶すことで自分を慰める
    • 自分より下位にあると考える相手を貶めて自分を慰める
    • 抑圧して意識しないようにしてしまう
    • 自棄を起こして逃避する

いずれにせよ、どれを選択するかは、当人の自由である。いずれの行動も選択できない場合は、適応障害に陥る危険が大きい。この部分に関しては防衛機制の項も参照して欲しい。

なお一般に自身の属性としては劣等感の対象にされやすいものでも、それをうまく利用することも可能である。例えば不細工は、これを個性の一端として表現することにも利用される。有名な逸話としては、ショーン・コネリーは禿を隠さず晒すようになって、映画俳優としての幅が広がったという話がある。隠すか晒すかはその人の価値観にもよるが、隠そうとすることで余計に目立ってしまう面もあるため、過度の劣等感はいずれにしてもデメリットしかないと言えよう。

[編集] 注意点

なおこの劣等感であるが、過度に感じる事で心理的に非常な負担(→ストレス)となる。これが成長途上の、しばしば時間などが勝手に回復させてくれるような物ならまだしも、時間の経過で変化しなかったり、むしろ悪化するようなものでは、常にを吐き続ける怪物のように、その人の精神を広く蝕む。

このような、心理的なダメージで心が傷ついたり弱っている状態を指して、心理学などでは抑鬱状態という。このような場合には、周囲に助力を求める事が必要であろう。また過度な抑鬱状態が続く場合、鬱病として治療を要する状態になっている恐れもあり、早めの受診が必要になる。

またこのような状態では、周囲の励まし(自助努力の強要・根性論の一種)は、当人のストレスを増大させる事にも繋がるため、医学上の禁忌とされている。

[編集] 関連項目


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