グレート・ウェスタン鉄道4120型蒸気機関車
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グレート・ウェスタン鉄道4120型蒸気機関車(4120 Class)はイギリスのグレート・ウェスタン鉄道(Great Western Railway:GWR)が製造した旅客用テンダー式蒸気機関車の1形式である。その内の1両の固有名から、アタバラ型(Atbara Class)[1]とも呼ばれる。軸配置はアメリカン(4-4-0あるいは2B)である。
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[編集] 概要
GWRの技師長(Chief Mechanic Engineer:CME)であったウィリアム・ディーン(William Dean:在任期間:1877年~1902年)によってブルドッグ型(3300 Class)の急行列車牽引専用バージョンとして1900年に設計された。
[編集] 設計
基本となったのはブルドッグ型の中でも初期の新造グループ(Nos.3332-3372)であり、車番もこれの続番が割り当てられている。その一方で大きな設計変更が行われており、その形状は原型機とは異なったものとなっている。
シリンダーを車輪間に並べて配置し、弁装置も内側スティーブンソン式、という基本構成には何ら変わりはない。だが、動輪径の拡大[2]、それに主台枠の全面的な設計変更[3]という2つの主要部設計の変更で、その印象はかなり異なったものとなった。
特に後者は本形式の外観に大きな影響を及ぼし、ブルドッグ型初期車やデューク型などに残されていた優雅なビクトリア朝の面影が払拭され、リベットの並ぶ実用本位の無骨な姿に一変した。
なお、この新設計台枠は好評であったらしく、ブルドッグ型の後期新造グループおよび本形式の直接の後継機種であるシティ型(3700 Class)にも継承されている。
[編集] 製造
1900年から1901年にかけて、Nos.3373-3412の計40両がGWRスウィンドン工場で製造されたにとどまった。以後の増備はボイラーを新設計のNo.4形(Type No.4)へ変更して性能の更なる向上を図ったシティ型に切り替えられた。また、本形式の中からNos.3400-3409の10両が抽出されてNo.4形へボイラーを換装する工事が実施され、これらはシティ型へ編入された。
なお、本形式は1912年末に改番が実施され、事故廃車[4]と先述のシティ型編入車を除く29両がNos.4120-4148に整理・改番されている。
[編集] 運用
本形式は急行列車専用という一つの目的に特化した設計で製造された車両であり、その目的においては持てる性能を遺憾なく発揮した。
もっとも、高速機の生命線とも言うべきボイラーの蒸気発生量の不足が早くから指摘されており、後継となるシティ型では新設計のNo.4形に変更された他、本形式の残存各車についても搭載していたNo.2形ボイラーの改修が段階的に実施された。
当初搭載されたNo.2形はストレート缶胴の旧型であったが、ブルドッグ型と同様に短円錐形、長円錐形と順次改良する工事が1904年から開始され、更にはセイント型(Saint Class)などに先駆けて1909年には過熱装置の装着が完了し、性能が大きく引き上げられている。
しかし、同じ動輪径で単式4気筒の強力な4-6-0機であるキャッスル型(Castle Class)の製造が開始されると、牽引力で大きく見劣りする本形式は次第に余剰を来すようになった。このため、1927年から1931年にかけて全車が廃車となり、自社スウィンドン工場で解体処分されている。
[編集] 諸元
- 全長 mm
- 全高 mm
- 軸配置 2B(アメリカン)
- 動輪直径 2,044.7mm
- 弁装置:内側スティーブンソン式弁装置
- シリンダー(直径×行程) 457.2mm×660mm
- ボイラー圧力 14.0kg/cm² (= 200lbs/in2 = 1.38MPa))
- 火格子面積 m²
- 機関車重量 t
- 最大軸重 t
- 炭水車重量 t
[編集] 脚注
- ^ アタバラという固有名はアフリカの河川の名称に由来する。本形式の製造当時、第二次ボーア戦争が勃発していたことにちなんで、アフリカゆかりの地名が命名されている。
- ^ 同一の弁装置、同一のシリンダで高速化を実現するため、5フィート8インチから6フィート8 1/2インチへ約31cm拡大された。これにより同一回転数でも18%の速度引き上げが可能となった。
- ^ 保守の容易化を図って動輪の軸箱上部で円弧状に湾曲して盛り上がっていた主台枠が、軸箱位置の変更などによってそのままでは使用できなくなった。このため、動輪部分が完全に箱状で強固な板台枠構造に変更された。
- ^ 1911年の事故で大破し復旧不能と判定されたNo.3382 Mafekingが廃車処分されている。
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