クロード・シャブロル
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クロード・シャブロル(Claude Chabrol、1930年6月24日 - )は、フランスの映画監督・映画プロデューサー・脚本家。
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[編集] 来歴・人物
1930年6月24日、パリに生まれる。父親は薬剤師。彼自身も薬学を専攻。
1952年6月、最初の結婚をする。妻アニエスとの間には、ジャン=イヴとマチューの2人の息子がいる。
1953年、初代編集長アンドレ・バザン時代の「カイエ・デュ・シネマ」誌で映画評を書き始める。このときのペンネームはシャルル・エテル Charles Eitelとジャン=イヴ・グート Jean-Yves Goute名義。のちのヌーヴェル・ヴァーグの旗手たち、批評家時代のジャン=リュック・ゴダール、ジャック・リヴェット、兵役から帰ったばかりのフランソワ・トリュフォーらと出会う。当時、それと平行し『ミステール』誌に探偵小説を書き、20世紀フォックスのパリオフィスで宣伝アシスタントの仕事をしていた。
1956年、妻の祖母の巨額の遺産を相続し、この潤沢な資金で製作会社AJYMフィルムを設立、リヴェットの短編『王手飛車取り』を製作、脚本をリヴェットと共同執筆、ゴダールやトリュフォー、リヴェットとともに出演する。ヴィルジニー・ヴィトリ、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズとジャン=クロード・ブリアリが主演し、ジャン=マリー・ストローブが助監督であった本作は、シャブロルをはじめ彼らにとって初のプロフェッショナルな短編映画製作となった。
1957年、エリック・ロメールとの共著『ヒッチコック』が出版になる[1]。ヒッチコックはサスペンス主流の彼の作品に大いに影響を与えている。
1957年12月、つづいて自らの監督デビュー作『美しきセルジュ』を製作(1959年1月10日公開、ジャン・ヴィゴ賞受賞)。1959年3月11日公開の監督第二作『いとこ同志』(第9回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞)が興行的にも成功をおさめ、この収入が、ロメールの処女長編『獅子座』の製作費に当てられ、1959年夏のパリで撮影されることになる。
1960年、トリュフォーの会社レ・フィルム・デュ・キャロッスとシャブロルのAJYMフィルムとの共同製作で、リヴェットの処女長編『パリはわれらのもの』を製作・公開。本作にはシャブロルもリヴェットもゴダールもジャック・ドゥミまでもが出演し、トリュフォーは『突然炎のごとく』の劇中でジャンヌ・モローにこの作品のタイトルを叫ばせている。当時のヌーヴェルヴァーグの熱狂のなかにシャブロルはいた。
1964年、アニエスと離婚、女優ステファーヌ・オードランと結婚。1963年4月24日にはオードランの間にすでに息子トマ(現俳優)が誕生していた。オードランとも1980年には離婚。現在の妻は、古くからのスタッフであったオーロール・パキス。
1995年、永年の業績に対して第12回ルネ・クレール賞を受賞、満77歳の現在(2007年)をもって非常に多作である。1985年の『意地悪刑事 Poulet au vinaigre』(日本未公開、東京日仏学院での特集上映題)以降、最新作にいたるまでのほぼ全作品をマラン・カルミッツがプロデュース、カルミッツの会社MK2が出資している。
[編集] 主な監督作品
- 美しきセルジュ Le Beau Serge (1958)
- いとこ同志 Les Cousins (1959)
- 二重の鍵 À double tour (1959)
- 世界詐欺物語 Les Plus belles escroqueries du monde (1964)
- パリところどころ Paris vu par... (1965)
- ジャガーの眼 Marie-Chantal contre le docteur Kha (1965)
- 女鹿 Les Biches (1968) ※第18回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- ジャン=ポール・ベルモンドの交換結婚 Docteur Popaul (1972)
- 血の婚礼 Les Noces rouges (1973) ※第23回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- ヴィオレット・ノジエール Violette Nozière (1978) ※第31回カンヌ国際映画祭コンペティション上映
- 意地悪刑事 Poulet au vinaigre (1985) ※第38回カンヌ国際映画祭コンペティション上映
- マスク Masques (1987) ※第37回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- ふくろうの叫び Le Cri du hibou (1987)
- 主婦マリーがしたこと Une affaire de femmes (1988)
- ボヴァリー夫人 Madame Bovary (1991)
- 沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 La Cérémonie (1995)
- 嘘の心 Au coeur du mensonge (1999) ※第49回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- ココアをありがとう Merci pour le chocolat (2000) ※ルイ・デリュック賞受賞
- 悪の華 La Fleur du mal (2003) ※第53回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- 石の微笑 La Demoiselle d'honneur (2004)
- 権力への陶酔 L'Ivresse du pouvoir (2006) ※第56回ベルリン国際映画祭コンペティション上映
- La Fille coupée en deux (2007)
[編集] 註
- ^ Éric Rohmer, Claude Chabrol, Hitchcock, Paris, Éditions Universitaires, collection Classiques du cinéma, 1957年 (1992年英語版、ISBN 1857100069)
[編集] 外部リンク
- Claude Chabrol - IMDb 英語