キングスロード

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この項目ではプロレス団体について記述しています。ロンドンの街路についてはキングス・ロードをご覧ください。

キングスロードは、2005～2006年に渡って活動していたプロレス団体。略称はKR、プロレスファンからはキンローと呼ばれる。

[編集] 概要

2005年10月、全日本プロレス役員であった青木謙治と高橋英樹が全日本を退団。その後、「ジャイアント馬場さんの作った王道プロレスが、現在の全日本には無い。我々は王道プロレスを目指したい」と、11月にかつて全日本本社があった六本木に事務所を構え、当時の電話番号を買い取った。

その後、5月に全日本を退団していた宮本和志がキングスロードに移籍し、第一号選手となる。旗揚げ戦は2006年 1月15日、後楽園ホールで行われた。川田利明の参戦も期待されたが、結局カードは組まれなかった。観客動員数は団体からの公式発表では1800人（満員）だった。

リングは1980年代の全日本を意識したような、青と赤のツートンカラーとなっており（青木は「たまたま」と主張）、会場にもかつての全日本ファンであろう中年男性を中心に多くの観客が入ったが、メインイベントとなった宮本と天龍源一郎の試合以外は「王道」と言える試合は無く、ターザン後藤やケンドー・カシンらによる場外乱闘を中心とした試合もあり、会場からは「どこに王道があるんだ!」と、厳しい野次も飛んだ。リングアナを務めた人間が、素人だったこと（選手コールのタイミングを取れず、選手からツッコミを入れられるなど）の運営の拙さを批判された。

団体、そして宮本自身は「三年後の日本武道館大会を目指す」と公言しているが、業界内外からも批判が多い。宮本がプロレス誌のインタビューで、「武道館開催はいつでも可能」と述べ批判を受け、その後自身のブログにおいて、「使用料を払うだけならの意だった」と軽はずみな発言を控えると反省の意志を見せた（武道館は会場クラスの割に使用料は割安であるものの、業界でも一、二を争うと言われるほど審査が厳しい会場として知られている）。

しかし、この見解を述べる前には大森隆男がかつて結成していたタッグチームNO FEARを自分と組んで復活させろとの要求を出しており、この発言にも批判を受けた。また、旗揚げ第二戦に天龍源一郎が不参加となった際に「相応しい対戦相手が用意できなかったため」と同日に参戦するレスラーには相応しい者がいないと取れる発言もしている。宮本はエースとしての責任感からか舌禍となってしまう発言を繰り返している。

その大森も、旗揚げ戦でのインタビューにて「3年後なんて悠長なことは言ってられない。3年間待ってくれるファンやマスコミなんていない」と厳しく叱責し、看板としている王道プロレスに関しても「自分自身が馬場さん率いる全日本にいて、王道とは何かが分からなかったのに、王道とは何かの答えなど見つかるはずもない」と手厳しい。また、天龍からも「王道とは形の無いもの。王道と言う言葉でファンの方を刺激するのはやめて、精進してほしい」とメッセージを送られた。

第二戦は2月28日に、後楽園ホールにて行われた。ジョージ・ハインズや石狩太一、長井満也など全日本プロレスに出場経験のある選手や、新日本プロレスから退団したばかりの後藤達俊、元FMWのミスター雁之助、リッキー・フジらも参戦したが、観客動員数は公式発表で950人と半減した。試合後宮本は「俺が王道だー！」と空気を読まずアピールしたものの、会場からは冷ややかな対応しか無かった。さらに、後藤と長井からも酷評を受け、第1回以上の失敗となった。

4月に第3回大会を開催。プロレスリング・ノアの仲田龍渉外部長に協力を申し入れ、三沢光晴社長のほか、菊地毅、志賀賢太郎、丸藤正道の4選手が出場した。試合後、次回大会以降は「BATTLE LEAGUE」というイベントとして開催されることが発表され、会場も新宿FACE、北沢タウンホールと縮小、ZERO1-MAXの主要選手との抗争ストーリーの展開が団体の中心軸となっていたが7月1日北沢大会で青木社長が活動停止を宣言、団体「キングスロード」は通算僅か5回の興行で幕を下ろすこととなった。

所属選手はZERO1-MAXやフリーの道へ、フロントはZERO1-MAXを運営するFOSへ吸収されていった。

2006年7月末日をもって公式ウェブサイトは閉鎖され、電話番号も使用が停止された。すでに事務所も閉鎖され、残務処理中のフロントは全て8月1日よりFOS事務所に移動し、ZERO1-MAXの業務を行っている。

[編集] 王道プロレスについて

業界外からの批判の多くは、「ジャイアント馬場の王道復活」を信念に掲げているキングスロードの立ち上げの中心人物たちが、フロント・所属レスラーともにジャイアント馬場の死後に全日本に入社しており、馬場と直接協働した経験がないことを根拠としている。フロントの青木は武藤敬司と共に新日本プロレスから移籍していて、高橋もかつては邪道プロレスで隆盛を誇ったFMWに所属していた。

所属レスラーの宮本にしても、馬場が社長時代の全日本に在籍しておらず、三沢光晴社長時代に練習生として参加しているものの、練習の辛さから合宿を逃げ出している。「王道」と言う言葉が独り歩き、または客寄せのためのコピーとして使われているのではないか、とプロレスファンからは批判される原因となった。また本人は旗揚げ前の週刊プロレスのインタビューで「馬場さんのプロレスは馬場さんにしか出来ないと思うから、ボクは四天王プロレスを目指す」と話しているが、馬場が現役時代行っていたプロレスと王道プロレスは全くの別物であり（四天王プロレスと王道プロレスはほぼ同意語である）、理解出来ずにいたこともファンから批判された。

ファンの批判を気にしてか、キングスロード側は2006年2月旗揚げ第二戦を前に、公式サイトで「キングスロードという事務所（団体という表現は使わず）は、実力はあるが活動機会の少ない選手に試合リングを提供するために立ち上げたものである。王道はジャイアント馬場であるからこそ言える言葉であり、王道という言葉の濫用は控えたい。我々の様な段階で使ってはならないと考えている」という声明を発表した。しかし、この声明は団体名や当初発表された旗揚理念（ジャイアント馬場が築いた信頼と王道に近づくべく旗揚げした。キングスロードが王道か、と批判されるとは思われるが王道は形・答の無いものである）との整合性を欠いていることが指摘された。

キングスロードの活動停止に際し、旗揚げ戦にも参戦した天龍は「しょっぱかったからねぇ。キングスロードなんて大きな名前をつけて、自分は首脳に『こんな名前付けて大丈夫なのか?』と聞いたが、『大丈夫です』と言われた。宮本も、周りは被害者だとか不幸だとか言うかもしれないけれど、貰ったチャンスを自分で手放しただけ。まぁ、歯痒いですよ」と語った。