ガンダムX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
GX-9900 ガンダムX(ガンダムエックス、Gundam X)は、テレビアニメ『機動新世紀ガンダムX』及び漫画『機動新世紀ガンダムX~UNDER THE MOONLIGHT~』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・MS)。本項では改修機であるガンダムXディバイダーの概要も記述する。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 機体解説
ガンダムX | |
型式番号 | GX-9900 |
---|---|
種別 | サテライトシステム搭載型MS |
所属 | 旧地球連邦軍→フリーデン |
生産形態 | 少数生産機 |
全高 | 17.1m |
本体重量 | 7.5t |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
武装 | サテライトキャノン 大型ビームソード シールドバスターライフル ブレストバルカン×4 ショルダーバルカン |
主な搭乗者 | ガロード・ラン ジャミル・ニート カイ 他 |
第7次宇宙戦争において、旧地球連邦軍の切り札として開発された「ガンダムタイプ」MSの1機。 宇宙革命軍の「コロニー落とし作戦」を阻止するために実戦投入される。しかし、サテライトキャノンの威力を恐れた革命軍は作戦を強行し、皮肉にも地球にコロニーが落着した元凶となった。
本編では第1話でガロードがこの機体を発見し、事前にフリーデンに忍び込んだ際に入手したGコン(Gコントローラーの略、右側の操縦桿を取外し可能にして、そのまま機体稼動のためのキーとしたものであり、またサテライトキャノン専用制御システムも兼ねたトリガーでもある)を利用して起動させる。この時の機体は未使用のまま、廃棄された基地内に眠っていたものである。
ジャミルが第7次宇宙戦争の際に搭乗していた機体は、ランスロー・ダーウェルの搭乗したフェブラルとの戦闘により中破し、そのまま遺棄されていたはずだったが、アニメ中盤にゾンダーエプタ島で新連邦が開発していたガンダムダブルエックスのデータ供給のために使われていた場面で登場する(ただし、ゲーム「SDガンダム GGENERATION」シリーズで「ガンダムベルフェゴール」という機体が存在し、そちらがジャミルの乗機だったという説もある)。TV本編のプレストーリーの『機動新世紀ガンダムX外伝 ニュータイプ戦士ジャミル・ニート』では背部のサテライトキャノン関連の装備を外し替わりに高機動スラスターパックを搭載していた。
ガンダムXはジャミル機、のちにガロード機となる大戦中は地球で保管凍結されていた1機の他、あわせて3体が製作されたという説があり、残る1機はジャミルの上官であったルチル・リリアントが搭乗したものではないかと目されている。その後このルチル搭乗機は彼女が搭乗した後もしくは精神崩壊し「Lシステム」に組込まれた後に破棄されたか、もしくは輸送途中に破壊されたといわれているが詳細は不明である。
上記との関係は不明だが、A.W.0024に黒いGXがローレライの海で発見された。外伝『~UNDER THE MOONLIGHT~』に登場するのはこの機体である。(こちらは、後述の同型機を参照の事)
1号機(NT-001)がガロードの搭乗した機体。戦時中ジャミルの搭乗していた機体は2号機(NT-002)。
[編集] 武装
- 大型ビームソード
- サテライトキャノンの後部にマウントされた接近戦用の武器。サテライトシステムからエネルギーを供給。また、抜刀時にX字のごとくエネルギーが放出してから緑色のビーム刃が形成される。
- シールドバスターライフル
- シールドを装備したライフルで、他の武器の約3倍の強度を持つ装甲が施されている。銃身・スコープを引き込み装甲部を展開する事でシールド形態となり白兵格闘に適した防御兵装となる。通常はバックパック下部ハードポイントに接続して、エネルギーを補給する。
- ブレストバルカン
- 胸部に4門内蔵している接近戦用のバルカン砲。
- ショルダーバルカン
- 宇宙戦闘用のガンダムXに、陸上戦闘用MSのバルカン砲を改造して、バックパック左上部のハードポイント(左肩部)に装備できるようにした火器。登場回数は1回でガンダムヴァサーゴに破壊されてしまった。
[編集] サテライトシステム
サテライトシステムとは月のマイクロウェーブ送信施設からマイクロウェーブ(厳密にはスーパーマイクロウェーブ)を受信、稼働エネルギーとするものでありこれを直接ビームに変換して砲撃する武装がサテライトキャノンである。その威力は絶大で、第7次宇宙戦争の時にはガンダムX1体に対しビットモビルスーツ12機で戦隊を組み、コロニーを何基も撃破している。サテライトキャノン使用時には、機体背面のリフレクターを銀色の受光部側を前に向けX字状に展開してマイクロウェーブを受信する。
リフレクターにはエネルギーの吸収・貯蓄機能、及び貯蓄したエネルギーを放出しホバーリング飛行に用いる機能があり、この際リフレクターは受光部を後ろに開く。またバックパックを介し武装にエネルギーを供給する機能もある。
使用時の初期設定にはフラッシュシステムを介し月のマイクロウェーブ送信施設に機体を認証させる必要があるため、やはりニュータイプ能力が不可欠であるが、一度登録すれば以降ニュータイプの補助は必要ない。ガロードが初めてサテライトキャノンを起動させた時は、ティファの力を借りることでこの問題を解決していた。
第7次宇宙戦争中は反射衛星を経由することにより場所・時間を問わずマイクロウェーブを受信することが出来たが、戦後反射衛星が全壊してしまってからは、地球上においては月の施設と一直線上に存在する時(いわゆる「月が出ている」時)でないと受信は不可能である。また、月からマイクロウェーブが地球上の機体に到達するまでの4.03秒の間に移動してしまうと、マイクロウェーブを受信できないという欠点もある。が、それを逆手にとり湖にわざとマイクロウェーブを当て水蒸気爆発を起こすという使い方もなされた。
また、外伝である『UNDER THE MOONLIGHT』では、中波した中継衛星を改修した『BATEN』から、場所・時間を問わずマイクロウェーブを受信することが出来る。サルベージされたガンダムXでは、最初月からのアクセスを行っていた物であったが、送信施設が壊れていることから、似たような役割を持つ『BATEN』からの再アクセスが行われた。(但し、衛星からの照射の為、月の送信施設の30%程の出力しか出なかった描写がある) また、技術交換によって製造されたディクセン・ホーネット(X装備)の場合は、『BATEN』のアクセスデータが既にあり、銃身に取り付けられた専用リフレクターにマイクロウェーブを受信していた。 同様の技術がシルバーホライゾンにもあり、こちらはビッグサテライトキャノンとして、クラウド9コロニーを破壊する計画であった(表面上はBATENと連動して、地球で起こる慢性的なエネルギー不足解消の手段として用いられる筈だった)。
普段は巨大な砲身を斜めに背負っているシルエットが印象的だが、デザイナーの大河原邦男によれば、これは佐々木小次郎がモチーフになっているそうである。
[編集] フラッシュシステム
フラッシュシステムはガンダムシリーズの宇宙世紀作品群に登場したサイコミュと似た位置付けのものであり、ニュータイプにしか起動させられないシステム。サテライトキャノンの初期起動登録を扱うだけでなく、モビルスーツ型ビットともいえる「ビットモビルスーツ」を操るシステムであり、同様の機構はガンダムレオパルドやガンダムエアマスター、ラスヴェートなどにも搭載されている。旧連邦はフラッシュシステムを無人モビルスーツの操作に用いたが、旧宇宙革命軍はビットと呼ばれる無人浮遊砲台といったような小型の攻撃兵器を操るのに用いておりベルティゴなどに搭載された。
また、MS大全集によればガンダムヴァサーゴやガンダムアシュタロンにもフラッシュシステムは搭載されているが、これらの2機は戦後に作られた機体であり、ニュータイプではないフロスト兄弟以外のパイロットが存在しないため、フラッシュシステムが起動された事は全く無い。
[編集] ガンダムXディバイダー
ガンダムXディバイダー(D.V) | |
型式番号 | GX-9900-DV |
---|---|
種別 | ディバイダー装備MS |
所属 | フリーデン |
生産形態 | カスタム機 |
全高 | 17.1m |
本体重量 | 7.7t |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
武装 | ディバイダー 大型ビームソード×2 ビームマシンガン ブレストバルカン×4 X-グレネーダー×2 ハイパーバズーカ |
主な搭乗者 | ガロード・ラン ジャミル・ニート |
フォートセバーンにおけるベルティゴとの戦闘でサテライトシステムを破壊されてしまったガンダムXを、キッド・サルサミル及びメカニッククルーの手で改修した機体。新たにハモニカ砲(一列に19基のビーム砲が装備されている)内蔵の盾であるディバイダーとビームマシンガンを装備され、ビームソードも2本に増えている。オプション兵装としてX-グレネーダーも用意された。
ディバイダーを背中のバックパックに装着することで「ホバーリングモード」になることができる。この形態では、バックパック上部ハードポイントに追加された可変展開式バーニアとディバイダーの両端のバーニアにより、長時間・長距離のホバーリングをすることができる。バックパック下部ハードポイントにはリフレクターで賄っていたエネルギー貯蓄機能を補う為のエネルギーポッドが2本装着されている。このエネルギーポッドは、1本で約12時間の行動が可能となる。このエネルギーポッドとビームソード・追加バーニアユニットで、X字のシルエットを描く。
この改修により、サテライトキャノンを失ったために火力は著しく低下したものの、サテライトキャノン自体の使い勝手が悪かった事もあり(対MS戦闘では効率的に使えない武装であった事や、使用時以外はデッドウェイトであった)ディバイダー装着による機動力の向上、対MS戦闘に適正な火力の装備などから、総合的な戦闘力・運用の幅は改修前を上回る機体となった。
オルクとの水中戦の時には、水中用の砲弾を発射するハイパーバズーカで出撃したこともある。
また、フラッシュシステムも継続して搭載されており、ローレライの海においてジャミルは、Lシステムに組み込まれたかつての上官ルチル・リリアントの助けを借りてGビットを起動している。 後にガロードがガンダムDXに乗り換えた以降は、ガロードの所持していたGコンはガンダムDXに引き継がれたため、Gコンを使用しなくても起動出来るようコクピットを通常の連邦MS仕様に変更し、ジャミルの乗機として戦闘に出ている。 ガンダムシリーズの作品前半の主人公機の中では珍しく、最終回を完全な稼働状態で乗り切った機体でもある(途中で2度改装はされているが)。
[編集] 武装
- ディバイダー
- サテライトキャノンに変わるガンダムXディバイダーの主兵器。旧革命軍の戦闘車輌に搭載されていた対MS用19連装ビーム砲・通称「ハモニカ砲」、モビルアーマー専用の大口径スラスター、試作型の展開式のシールドなどのジャンクパーツから製造された兵器である。通常は盾として使用しており、両サイドのバーニアによって、手持ち型の推進補助システムとしての機能も兼ね備える。内装武器使用時に盾が2つに折れて中からハモニカ砲が展開され一斉に発射するがカッタービーム状や拡散連射等発射モードは用途に合わせて変更可能 。「ホバーリングモード」では、バックパックに装着される。ちなみにディバイダーは製図具の名前であり、分ける、仕切り、といった意味がある。
- 大型ビームソード
- 改修前と同一の装備だが、予備としてもう1基が装備されている(従来の1本を元にキッドが複製したものと思われる)。通常はバックパック追加バーニアユニット内のソードラックに装着されている。
- ビームマシンガン
- 旧連邦の戦艦に搭載されていた2連装メガ粒子砲を手持ち用に改造した武装。出力重視の単射モードの他、文字通りマシンガンとして使用可能な連射モードの2つが存在する。
- ブレストバルカン
- 改修前と同一の装備。
- X-グレネーダー
- 戦艦用のミサイル弾頭を投擲用に改造した装備。2本まで専用ラックを追加した左腰部に装着出来る。劇中未使用。
- ハイパーバズーカ
- 水中用の魚雷型砲弾が使用出来るよう改造された旧連邦標準仕様のバズーカ。オルクとの戦闘時に使用された。同型の通常仕様のバスーカはドートレスが使用している。
[編集] ガンダムX(A.W.0024仕様)
ガンダムX | |
型式番号 | GX-9900 |
---|---|
種別 | サテライトシステム搭載型MS |
所属 | バルチャー |
生産形態 | 少数生産機 |
全高 | 17.1m |
本体重量 | 7.5t |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
武装 | ブレストバルカン×4 大型ビームソード バスターシースライフル →バスターシースライフル・改 ホルスターシールド →ゲネイオンシールド サテライトキャノン |
主な搭乗者 | リック・アレル カイ 他 |
『機動新世紀ガンダムX~UNDER THE MOONLIGHT~』に登場するガンダムX。こちらは、ローレライの海にてサルベージされた。 コクピット内部には、Nシステムを装着したまま冷凍睡眠していたカイが搭乗していた。
9年前に発見された1号機とは違い、こちらの機体は既にサテライトシステムへのアクセスが行われてあった事により、マイクロウェーブの受信が可能であった。しかし、この時代になると、送信施設が既に破壊されていた為、同様の役割を持った『BATEN』からの再アクセスをしなければならなかった。 また、フラッシュシステムを使うことは出来るが、肝心のGビットが既に破壊されており、使用することが出来なかった(この技術は、奇しくもディクセン・モードエックスのシステムに組み込まれることとなる)。
NT研究所の廃墟では、ベルフェゴールに搭乗してミラージュのメンバーに攻撃を行うカイを止める為にリックが出撃。この戦闘中に右腕をクローに握り潰されてしまう。
この後、旅の途中で出会ったマナが一時盗み出そうとする。だが、彼女は廃墟にあった設備とでっち上げのパーツにて右腕を再生。「バスターシースライフル」と「ホルスターシールド」の新装備が追加され、サテライトキャノンが外され、 通常戦ではデッドウェイトだったサテライトキャノンの分の機体の軽量化になって、機動性も多少向上している。 また、彼女の趣味により、黒を基調としていたカラーを白に一新した。
[編集] 武装
- 大型ビームソード
- サテライトキャノンの後部及びシースライフルの銃尻にマウント(格納)されている。基本的に1基で運用され、両方を同時に装備した最終決戦の時に、二刀流で複数のビット機を一気に切り伏せた。
- バスターシースライフル
- 基となるシールドバスターライフルに比べ、銃としての機能を特化させて大型化したビームライフル。銃尻にビームソードを格納することができる。また、機能を特化させたことで、若干弾速の強化もされているようだ。なおシース(sheath)とはシースナイフに用いられる鞘の事である。
- バスターシースライフル改
- ブラック・ホーネット隊との戦闘で破損したシースライフルに改良を施したモノ。銃身が単発から双発型になり、弾速・熱量共に異なる2つのビームを同時に発射することにより、ディクセンの新鋭装甲を貫く程の火力が備わった。
- ホルスターシールド
- 基となるシールドバスターライフルから、盾としての機能を特化させたシールド。左腕に半固定の形でマウントされる。また、シールド内にシースライフルを格納することも可能ではあるが、若干左右のバランスが崩れる。しかし、リックは何の苦も無く制御出来ていた様である。
- ゲネイオンシールド
- ホルスターシールドを改良した盾。こちらもシールド内にライフルを格納することが可能。
- ギリシャ語で「顎」の意味を示すように、新たに4本のクローアームが取り付けられた。劇中では、レムレス塗装の弱点を突き、アームを展開してディクセン・モードエックスの動きを捕らえた。そして、ローザⅡ世の洗脳を解き、エディンからの奪還に成功。直後、ディクセンのビット機を捕まえ、振り回した上で他のビット機にぶつける他、アームを直接機体に突き刺してコードを引き抜く等の活躍を見せた。
[編集] 関連項目
|
||||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
||||||
ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
|
||||||
ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
|