エルマ・ベルケEMP44省力短機関銃
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正式名称 | エルマ・ベルケEMP44 | |
全長 | 721mm | |
銃身長 | 251mm | |
重量 | 6.6㎏ | |
口径 | 9mm×19 | |
装弾数 | 32発 | |
発射速度 | 約500~600発/分 | |
製造国 | ドイツ | |
製造 | エルマ・ベルケ社 |
エルマ・ベルケEMP44省力短機関銃は、1944年にドイツで開発された短機関銃である。
[編集] 開発経緯
第二次世界大戦中、ドイツ軍が使用する代表的な短機関銃としてMP40が上げられる。しかし大戦後期に入ると、ドイツ各地では連合軍による爆撃を受け、工業生産力は軒並み低下していった。そのためナチス・ドイツはそれまで正式短機関銃であったMP40に変わる、より簡単で大量製造が可能な短機関銃の開発を必要としていた。当時MP40を開発した銃器メーカー「エルマ・ベルケ社」は同社に所属している銃技師、ハインリッヒ・フォルマーを中心とした研究グループにより研究が進めることとなった。
[編集] エルマ・ベルケEMP44省力短機関銃の登場
新型短機関銃の研究は主に1942年から1943年にかけて進められ、翌年の1944年にエルマ・ベルケEMP44省力短機関銃は完成した。しかし開発当初の銃器名称としては「エルマ・ベルケMP44短機関銃」であったが、MP44という名称は当時ヒトラーから生産許可が下りずハーネル StG44突撃銃を短機関銃と偽って生産していた時に使用していた名称がMP43/MP44であり、MP44という名称が既に使用されていたため急遽エルマ・ベルケ社は、自社の頭文字である「E」の文字を使用し、「MP44」から「EMP44」と改名したエピソードがある。 特徴としては、銃本体のほとんどの機構(コンペンセイター・銃身・ストック・銃床)に至るまで鋼管及び鋼板をプレス加工して製作、外見を見ても曲線部分が極めて少なく、他の短機関銃に比べて全体的に角ばった形状をしている。その分MP40と比べると生産工程が単純となり、短時間での大量生産が可能となった。しかし、欠点としては、発射機構を極力単純化したため射撃に関してはフルオート発射のみ、しかも全体に至るまで鋼管で作成したため、総重量も6.6kgと重かった。
[編集] その後
その後、エルマ・ベルケ社はナチス・ドイツに対し、機甲部隊用の車載短機関銃としてEMP44の提出を行っている。しかし大戦後期に入ると、ハーネル StG44突撃銃に代表されるアサルトライフルが歩兵用の標準使用火器として進出するようになり、その後、用途不要となったEMP44は生産を中止している。